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平成二十年二月七日提出
質問第六四号

近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一六九第二八号)を踏まえ、再質問する。なお、冤罪という言葉の定義については、前回質問主意書同様、富山県氷見市の柳原浩氏が強姦などの容疑で富山県警に誤認逮捕され、二年あまり服役した後に無罪が確定した事件(以下、「富山事件」という。)や、二〇〇三年の鹿児島県議選において中山信一氏と志布志市の運動員ら十五人を公職選挙法違反容疑で逮捕し、強圧的な捜査等により自白を強要し、後に全員の無罪が確定した事件(以下、「志布志事件」という。)の様に、無実の人間に罪を着せることとする。

一 二〇〇八年一月二十四日に警察庁が発表した、「富山事件」や「志布志事件」等近年の冤罪事件により低下した警察庁の信頼を取り戻し、右の冤罪事件の再発を防止するため、警察官による取り調べの監視や取り調べ中の禁止行為を定めた「警察捜査における取調べ適正化指針」(以下、「指針」という。)につき、前回質問主意書で取り調べを監督する監督担当者(以下、「監督担当者」という。)に警察官以外の者を含める考えはあるか、「監督担当者」が警察官のみで構成されるのなら、取り調べ中に「指針」に反する行為が行われても、同じ警察官である「監督担当者」がそれを適正に指摘できるのかとの問いに対し、「前回答弁書」では「警察庁としては、監督担当者は警察官を含む警察職員とする方向で検討中である。」、「都道府県警察において犯罪の捜査を直接担当しない総務又は警察部門に取調べに関する監督を担当させ、必要な体制を整備することにより、監督対象行為の有無の確認、監督対象行為が行われた場合における監察部門等への通報等が適切に行われるものと考えているが、御指摘のようなことがないよう、都道府県警察に対し、制度の趣旨の周知及び必要な指導の徹底を図ってまいりたいと考えている。」との答弁がなされているが、都道府県警察に対して「指針」の趣旨の周知徹底を図ることで、本当に右に述べたことを防げると警察庁は考えているのか。
二 「指針」が目指す取り調べの適正化を実現させるには、「監督担当者」を警察官を含む警察庁職員とするのではなく、せめて警察庁の上位官庁である国家公安委員会の職員がその任にあたるか、もしくは取り調べ対象となる容疑者の弁護人が務める必要があると考えるが、政府の見解如何。
三 録画・録音等の方法による取り調べの可視化(以下、「可視化」という。)について、政府としてその導入には慎重な検討が必要であるべきとの考えをこれまでの答弁書で述べてきており、その問題点について、「前回答弁書」では「被疑者が、録音・録画により記録された取調べにおける供述の一言一句、その際の動作や表情等が後に再生され、近親者、知人等取調官以外の第三者がこれを視聴することとなる場合があり得ることを意識し、自己のプライバシーにわたる事項等を供述することをためらい、取調官との信頼関係を築くことが困難になるケース、組織犯罪の被疑者が、取調べの録音・録画の記録を視聴した犯罪組織の関係者から報復等を受けることを恐れ、当該犯罪組織の実態や当該犯罪組織における上位者の関与状況等を取調官に対して供述することができなくなるケース等が考えられる。」と、二つのケース(以下、右答弁にある前者のケースを「ケース一」、後者のケースを「ケース二」という。)を挙げている。
 「ケース一」について、被疑者が自身のプライバシーにわたる事項等(以下、「プライバシー等」という。)を供述することをためらうと政府は言うが、そもそも「プライバシー等」が当該事件の真相解明等に関係なく、必要ないものであるのならば、取調官が被疑者に問い質す必要もなく、被疑者も話す必要はない。「プライバシー等」が当該事件の真相解明等に必要なものであるならば、取調官によって問い質され、調書等の記録に残されるのであり、「可視化」によって「プライバシー等」を供述することを被疑者がためらうとする政府の見解は当を得たものではないと考えるが、政府の見解如何。
四 「ケース二」について、組織犯罪の被疑者が関係者の報復等を恐れて供述をためらうと政府は言うが、そもそも組織犯罪の被疑者が逮捕され、取り調べを受けることになった時点で、当該犯罪組織からは、当該被疑者が事件について供述することもあり得ると見なされる訳であり、その事件が解決されれば、当該被疑者の供述があった故と見なされるのは当然のことであり、「可視化」によって報復等を受ける可能性があると被疑者が萎縮するという政府の見解は説得力がないと考えるが、政府の見解如何。
五 「ケース一」、「ケース二」についても、取り調べを録画・録音したものを一般に公開するのではなく、裁判等、事件の真相解明に必要な場のみで用いる、また、取り調べを録画・録音したものを公開する際には、当該裁判を一般非公開とする等の方法によって懸念される事態を防ぐことは可能であると考える。むしろ「可視化」の真の目的は、「富山事件」や「志布志事件」の際に行われた、明らかに度を超した、それこそ「指針」に反する警察官による取り調べを証拠として残すことで、取り調べに関わる警察官の暴走を止め、冤罪事件をなくすことにある。「ケース一」と「ケース二」の、政府が考える「可視化」の問題点は、右の方法によって回避できると考えるところ、冤罪事件をなくすため、「可視化」導入に向けて具体的検討を行うべきであると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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