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平成二十年二月十九日受領
答弁第六四号

  内閣衆質一六九第六四号
  平成二十年二月十九日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木宗男君提出近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する再質問に対する答弁書



一について

 警察庁としては、警察組織内部におけるチェック機能を発揮させるため、都道府県警察において取調べを始めとする犯罪の捜査を直接担当しない総務又は警務部門に取調べに関する監督を担当させ、必要な体制を整備することにより、取調べに係る不適正行為の未然防止を図ることとしている。これにより、先の答弁書(平成二十年二月五日内閣衆質一六九第二八号)一及び二についてで述べた監督対象行為(以下「監督対象行為」という。)の有無の確認、監督対象行為が行われた場合における監察部門等への通報等が適切に行われるものと考えているが、このような制度を有効に機能させるため、警察庁においては、会議等の場を通じるなどして都道府県警察に対して制度の趣旨の周知及び必要な指導を徹底することとしている。

二について

 警察庁としては、取調べは事案の真相を解明する上で極めて重要な役割を果たしており、取調べの機能、犯罪捜査の機密性等を確保しつつ、警察組織内部におけるチェック機能を発揮することにより、その適正化を図ることが必要であると考えている。このような観点から、監督担当者は都道府県警察の警察職員とする方向で検討中であり、弁護人を含め都道府県警察の警察職員以外の者を監督担当者とすることは考えていない。なお、取調べに関する監督の実施状況については、都道府県警察を管理する都道府県公安委員会に定期的又は随時に報告することとしている。

三について

 被疑者の取調べにおいては、被疑者に真実の供述をするよう説得する過程において、被疑者の生い立ち、境遇、家庭環境等を話題にするなど、犯罪事実と直接には関係しない被疑者のプライバシーにわたる事項等についてやりとりをする必要がある場合もあること、取調べの過程でなされたすべてのやりとりが供述調書に録取されるわけではなく、録取されるのは立証に必要であり被疑者が録取に同意した事項に限られること等から、御指摘は当たらないと考えている。

四について

 組織犯罪の捜査においては、例えば、取調べによって被疑者から得た供述を基に収集した他の資料を証拠として、その結果、犯罪組織における上位者を検挙する場合もあるところ、このような場合、当該被疑者の希望等により供述を供述調書に録取しないこととするなど、捜査の端緒を明らかにしないこともあるのであって、御指摘は当たらないと考えている。

五について

 取調べの録音・録画の記録を証拠として用いる以上は、裁判官、弁護人等の関係者がこれを視聴することとなるところ、例えば、犯罪組織からの報復を恐れる被疑者にとっては、自らが取調官に対し組織の実態や上位者の関与状況を供述したことが、そのような供述をするに至った時期や経緯を含めありのままの形で記録され、後に第三者に視聴される可能性があり得ること自体、心理的な圧迫を感じる要因となり、供述をためらわせる大きな要因になるものと考えている。
 取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、衆議院議員鈴木宗男君提出富山県における冤罪判決に関する再質問に対する答弁書(平成十九年十月三十日内閣衆質一六八第一三八号)七及び八についてで述べたとおり種々の問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。



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