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平成二十年九月二十五日提出
質問第二〇号

国連広報センターにおける不正経理問題等に関する質問主意書

提出者  保坂展人




国連広報センターにおける不正経理問題等に関する質問主意書


 国連広報センターの不正経理及びこれに関連する事項については、平成二十年五月二十一日提出質問第四一〇号、六月四日提出質問第四七〇号、六月十三日提出質問第五二八号、六月十八日提出質問第五八六号の四次にわたって、質問主意書を提出し、かつ、平成二十年六月六日衆議院外務委員会でも質疑を行った。これに対する政府の答弁は、国民の税金が適正に使用されていることの責任を果たしておらず、極めて不誠実、不十分な答弁である。
 国連に拠出されている日本の分担金や拠出金は、国民の税金である。それが、どのように使われているかについて、日本政府は国民に説明する責任がある。日本の分担金や拠出金について、第一に、国連のルールに則り使用されてきたかどうか、また、使用されているかどうかを明確にし、第二に、国連のルールに則り使用されているとしても、そのルールによる結果が国民の常識とかけ離れている場合には、そのルールと結果の是正がなされなければ、国連への拠出に国民の理解を得ることはできない。
 国連の改革は、安全保障理事会の構成問題だけではない。日本政府には、国民の税金が適正に使われていることを国民に説明する責任がある。国連広報センター東京事務所(以下「UNIC東京」という。)における不正経理問題及び関連する問題について、日本政府の明確な見解を求める。
 以下、質問する。

一 日本政府の国連への支出及び国連改革に対する姿勢について
 1 日本政府の国連改革に対する姿勢はどのようなものか。
 2 日本政府は、政府機関における無駄の排除、不正の撲滅に取り組んでいると考えるが、国連機関の無駄の排除、不正の撲滅など国連行財政改革に取り組む考えはあるか。あるとすれば、これまで、どのような活動をしてきたか。
 3 日本政府が国連の機関に対して支出している金額はいくらか。そのうち義務的経費の額及び義務的経費の全体の額に占める日本の支払額はいくらか。その義務的経費の全体の額はどのように算定されているか。平成十年から二十年までの、これらの金額について、回答願いたい。
 4 国連の活動について、無駄が排除され、不正が撲滅されれば、必要な額も減額され、日本の支払額も少なくなる。国民の税金を国連に支出している日本政府は、国連の活動に無駄がないかどうか、不正がないかどうか、積極的に調査し、国民に説明する責任があると考えるが、日本政府はその用意があるか、あるいは、国連に拠出した資金に対しては、なんら調査したり、説明を求めたりすることはしないというのが日本政府の姿勢か、明確にされたい。
二 UNIC東京職員のお手盛り高給問題について
 1 UNIC東京の職員給与は、国連のウエブサイトで公表されている給与表によれば、米国の首都ワシントンD.C.の同様の職務の給与よりはるかに高く、約一.六倍となっており、例えば、自動車運転手のカテゴリーの俸給最高額は、ワシントンD.C.では約六三〇万円(一ドル百十円換算)、東京では約一〇〇〇万円になるが、日本政府はこの事実を知っているか。
 2 UNIC東京の職員は七人おり(所長を除く)、国連のウエブサイトで公表されている給与表に従って計算すると七人の給与総額は年間約一億円近くになり、また、施設費が一九一九万円となっており、一方、事業費は、政府回答によると、広報活動費約二〇〇〇万円前後となっているが、このように、事業費が全体経費の二十%に満たない組織は、日本で進めている行政改革の観点からは、職員に給与を支払うための組織であると評価されるのではないか。日本政府の見解を問う。
 3 UNIC東京の職員給与について、日本政府は「国連の職員規程及び職員規則に定められた手続きに従って、毎年、国際人事委員会から国連総会への勧告が行われ、国連総会の承認を経て決定されている」と回答しているが、東京に事務所を置く国連職員が、東京のローカルサラリーを事実上決定する仕組みになっており、職員給与が「お手盛り」で決められているのが現実ではないか。「国連の職員規程及び職員規則に定められた手続き」はどのようなものか、また、それによって、ウエブサイトに公表されている俸給表になる手続きと算定根拠について、具体的に回答されたい。
 4 日本政府にも国連職員経験者はいると考えるが、日本に勤務する国連職員の給与は国連本部から支払われているのか、また、国連の会計担当部局から職員の銀行口座に直接振り込まれるのかなどの支払い手続きについて伺いたい。また、UNIC東京の職員について、国連から直接支払われているか、どのようにして支払われているか、明らかにした上で、このような状況に対する日本政府の見解を伺いたい。
 5 国連職員のうち、日本人が占める割合はどうなっているか。日本人国連職員の割合は、国連のガイドラインに照らし、多いか少ないか、回答されたい。
 6 日本政府は国連職員に日本人を登用するための支援を行っているか。支援を行っているとすれば、その際、国連職員となった場合の給与、年金など国連職員に採用された場合の待遇についてどのような説明をしているか、支援の実態について、回答されたい。
 7 国連職員の年金については、解説書によると、「五年以上勤務した職員に対して、年金が支給され、年金の支給額は離職する過去五年のうちで最も高い三六ヶ月(三年分)の給与額の平均額を基に決められる。」とあり、これによると、UNIC東京の経理担当のカテゴリーの俸給表で約一七六〇万円を得ている職員は、仮に三五年以上勤務している場合は年金も一〇〇〇万円を軽々と超えることとなるが、日本政府は、国連職員の年金の受給資格及び年金支払額について、どのような情報を持っているのか、回答されたい。
 8 日本政府は、UNIC東京の国連職員の給与が他の国の国連職員の給与より高く、また、これが高額な年金支給額につながっているという事実に対して、これを正当なものと考えているか、あるいは、是正するべきであると考えているか、それとも、なんらの見解を持ち得ないのか、日本政府の見解を問う。
三 UNIC東京の施設費二重払い問題について
 1 UNIC東京の事務所が入居している国連大学は、土地は東京都から、建物は日本政府から無償貸与されたものだが、国連大学は、国連大学ビルに入居している国連機関の事務所から事実上の家賃を分担金という形で徴収しているが、これは、日本政府が無償で提供した施設のまた貸しになるのではないか。このことについての日本政府の見解を問う。
 2 日本政府がUNIC東京に支出している「施設費」について、六月十三日付回答では「UNIC東京の施設費は、国連大学において、UNIC東京を含む国連大学全体の維持管理費に充てられていると承知している」とあり、六月二十四日付回答では、「UNIC東京が国連大学に支払う施設費は、国連大学全体の維持・管理費におけるUNIC東京に係る部分である」としているが、このように閣議決定された政府回答が修正された理由を、説明されたい。
 3 日本政府と東京都が無償貸与している国連ビルに入居しているUNIC東京事務所の事実上の家賃を「施設費」として日本政府が支払うのは「二重払い」ではないか。また、日本政府は、国連との交渉の過程で、この「施設費」の支払いが、「二重払い」となることを認識していたのではないか、日本政府の見解を求める。
 4 UNIC東京に限って、日本政府が施設費という名の事実上の家賃を負担している理由として、日本政府は「国連において国連広報センターの統合・合理化が議論される中、国連が当該機関の所在地国政府に施設費を支援するよう強く求めた」と回答しているが、当時、国連は、国連改革の一環として国連広報センターの整理統合を進めており、現に平成十六年(二〇〇四年)一月一日には、ヨーロッパ九カ国の国連広報センターを閉鎖し、ブリュッセルに国連地域広報センターを設置していることから考えると、国連本部は、UNIC東京の「廃止」やアジアの他国にあるUNICとの「統合」などを求めたのであって、「国連が当該機関の所在地国政府に施設費を支援するよう強く求めた。」のではなく、日本政府が、施設費という形で家賃の二重払いをすることを条件にUNIC東京の継続を求めたのではないかと考えるが、日本政府の見解を求める。また、この件に関する日本政府と国連とのやり取りについて情報公開する用意があるか伺いたい。
四 UNIC東京の不正経理問題について
 1 UNIC東京の広報活動への日本政府の支出について、日本政府は五月三十日付回答で、「各年度の政府の拠出額は、広報活動費について、それぞれ、平成十二年度は約十四万九千ドル、平成十三年度は約十九万八千ドル、平成十四年度は約二十万八千ドル、平成十五年度は約十七万七千ドル、平成十六年度は約二十一万四千ドル、平成十七年度は約十六万三千ドル、平成十八年度は約十二万一千ドル、平成十九年度は約十九万九千ドル」と回答しているが、これ以外に日本政府が国連に拠出している「開発協力信託基金」からUNIC東京の広報活動費に資金が拠出されたことはないか、あるとすれば、これまで何年度にどういう目的でどれだけの額が「開発協力信託基金」から支払われたのかを明らかにされたい。
 2 日本政府の回答では、「平成十二年頃から国連財政手続規則において禁止されている前払が行われ」ており、「UNIC東京職員が年末に予算を使い切る必要があると理解していた」として、不正経理が平成十二年度あるいは十二年末の残余金の処理として行われたことを明らかにし、その上で、平成十二年及び十二年度末のUNIC東京の所長について、「平成十二年八月から平成十四年八月まで」のUNIC東京の所長は「高島肇久」としつつ、不正経理の責任者については、「国連の内部監査報告書には、だれが所長の時に始まったのか言及されていないので、政府として承知しておらず、お答えすることは困難である。」と、他人事の対応をしている。不正経理の責任者を明らかにすることが事実解明の第一歩であり、これらの事実関係から、不正経理が始まった時のUNIC東京の責任者は現在外務省参与となっている高島氏であることが明白であると見られるにもかかわらず、「政府としてお答えすることは困難である」とする理由について、日本政府としての見解を具体的に伺いたい。
 3 不正経理の金員のゆくえについて、日本政府は、「個人が不正に金を着服した等の疑惑はない」との国連事務局の説明を引用し、「国連事務局の説明は、国連の内部監査報告書を踏まえたものであり、政府としては当該説明が正しくないと判断し得る客観的な事実があるとは承知していない。」と断定しているが、国連の監査報告書では「平成十二年頃から不正経理が行われていた」と事実認定しているにもかかわらず、監査が行われたのは平成十七年度以降分だけであり、不正経理が始まった平成十二年度から平成十六年度までの五年間については監査さえも行われていない。平成十二年度から行われていた不正経理について、平成十七年度の監査結果だけで、「個人が不正に金を着服した等の疑惑はない」と結論付けることができるのか、日本政府の見解を伺いたい。
 4 不正経理の経緯について、日本政府は、「国連の内部監査によれば、平成十二年頃から、国連財政手続規則に違反した前払が行われていた」と回答している。一方、平成十一年度以前には、UNIC東京では年度末予算の次年度繰越措置が国連財政手続規則に従って行われていた事実については、「承知しておらず、現在国連に照会中である」としているが、具体的に、いつ、誰に対して、どのような照会を行い、その回答はいつ、どのような内容であったのか、事実関係を明らかにされたい。
 5 平成十一年度以前には、UNIC東京では年度末予算の次年度繰越措置が国連財政手続規則に従って行われていたにもかかわらず、UNIC東京の経理担当者が、平成十二年度になって、突然国連財政手続規則を忘れて業者に前払いをしてしまったなどということは、そもそも成り立たず、国連の内部監査報告が、仮にそのような内容のものであれば「杜撰」との評価をまぬかれない。不正経理の事実関係を明らかにするためにも、日本政府が平成二十年三月に入手した国連の監査報告書を公表すべきであると考えるが、日本政府の見解を伺いたい。また、六月十三日付の回答では、「公表の可否については現在国連側に照会中である。」とされているが、具体的に、いつ、誰に対して、どのような照会を行い、その回答はいつ、どのような内容であったのか、事実関係を明らかにされたい。
 6 不正経理の全容が明らかでないにもかかわらず、日本政府の五月三十日付回答によれば、「内部監査において問題是正のための勧告が行われ、現在、国連事務局によって勧告に沿った措置が検討されていると承知している」となっているが、日本国内の官庁における不正経理問題への対処と同様に、国連の不正経理への対処は国連が信頼するに足る組織であるかを納税者に知らしめる役割を果たす極めて重要なことであり、国連の勧告は具体的にどのようなものであったか、その勧告に沿ってどのような措置が講じられたのか、また、講じられることとなっているか、伺いたい。
五 UNIC東京の定期預金通帳問題について
 1 UNIC東京の五〇〇万円の定期預金の存在は、既にマスコミを通じて公知の事実となっており、予算で活動している公的機関において定期預金は存在しようもなく、日本の官庁の事例からは、これは「裏金」と疑うのが相当である。日本政府の回答によれば、UNIC東京の予算は、人件費を除いてすべて日本政府の拠出金であることから、合理的に考えれば、UNIC東京の定期預金の金員は日本政府の拠出金の剰余金である疑いがあるにもかかわらず、日本政府は、UNIC東京が「定期預金を有していること及びその経緯について承知していない」と回答するだけで、調査もしない理由を伺いたい。
 2 日本政府は、国連所蔵の美術品巡回展の開催を国連に働きかけたことはないか。そのときにUNIC東京の剰余金を使うことを打診したことはないか。
六 国連拠出金のUNIC東京経由問題について
 1 日本政府は、六月二十四日付回答で、「政府は、過去において国連に支払う分担金及び拠出金を国連本部が管理しているUNIC東京の銀行口座に振り込んでいたが、平成十四年以降は、為替の変動による損益の発生を回避するため、米国にある国連本部の銀行口座に送金している。」と回答している。これらの分担金や拠出金を含めて、平成十年度以降の分について、UNIC東京を経由し国連本部に送金されたもの、あるいはUNIC東京に代行させたものを含め、日本政府からUNIC東京に対して支払われたすべての支出について、事実関係を明らかにされたい。
 2 平成十四年以前に、国連に支払う分担金及び拠出金を、UNIC東京の銀行口座に振り込んでいたのは、国連側の要請であったのか、それとも、日本側の事情であったのか、また、国連側の要請であったとすればその内容を、日本側の事情であったとすればその内容を、具体的に説明されたい。
 3 日本政府による分担金及び拠出金の支払い期日は、日本政府がUNIC東京の銀行口座に金員を振り込んだ時点なのか、それとも、UNIC東京から国連本部が指定した銀行口座に振り込まれた時点なのか、日本政府の見解を伺いたい。
 4 平成十四年以前、UNIC東京の銀行ドル口座に、分担金及び拠出金を振り込んだ際の為替手数料及び送金手数料はそれぞれいくらであったか、また、為替手数料及び送金手数料は、日本政府負担か、国連負担のいずれであったのか、事実関係を明らかにされたい。さらに、UNIC東京から国連本部への送金手数料は、日本政府負担か、UNIC東京負担、国連本部負担のいずれであったのか、日本側であったとすれば、送金手数料はいくらであったのか。
 5 平成十四年以降は、政府回答では「為替の変動による損益の発生を回避するため、米国にある国連本部の銀行口座に送金している。」となっているが、日本政府がUNIC東京の銀行ドル口座に振り込んだ時点で円からドルに代わり、タイミングがずれることで為替変動による損益の発生はないと考えるが、「為替変動による損益の発生を回避する」とは、具体的にどのようなことか、UNIC東京の銀行口座に振り込む場合は、どのような「為替変動による損益」が発生し、直接国連本部の口座に振り込んだ場合は、どのようにそれが改善されたか、具体的に回答されたい。

 右質問する。



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