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平成二十年十月一日提出
質問第五九号

裁判員制度の問題点に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




裁判員制度の問題点に関する質問主意書


 二〇〇四年五月二十一日に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下、「法律」という。)が成立し、二〇〇九年五月二十一日より、重大な刑事事件の裁判に一般国民が参加するいわゆる裁判員制度が始まることとなっている。右を踏まえ、以下質問する。

一 裁判員制度において、そもそも同制度の対象が重大な刑事事件に限られ、また裁判員が関われるのは一審までとされたのはなぜか。
二 「法律」によると、裁判員に選定された者には出廷義務が課され、正当な理由なく出廷しない場合、十万円以下の過料が科されるとのことであるが、右は、裁判員制度における出廷は国民の義務の一つであるという趣旨を意味するものか。政府の見解如何。
三 二で、裁判員制度における出廷は国民の義務であると政府が認識しているのならば、日本国憲法で勤労、納税、教育の三つとされている国民の義務に新たな義務が加わったと理解して良いか。
四 三で、裁判員の出廷義務が新たな国民の義務の一つであると政府が認識しているのなら、日本国憲法にその旨明記されなくてはならず、それがなされないまま裁判員制度を開始するのは、憲法に違反することになるのではないか。政府の見解如何。
五 「法律」によると、裁判員には守秘義務が課され、裁判員が評議の秘密や職務上知り得た秘密を漏らした時は、六か月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処されるとのことであるが、右の様な罰則が設けられたのはなぜか。
六 そもそも裁判員制度が創設された目的は、「法律」の第一条にある様に、「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する」ことであると承知するが、五の様な罰則を設けるということは、政府が国民を信頼していないことを示すものであり、その様な条件の下、創られた裁判員制度が、真に国民が司法を理解し、その信頼の向上に資するものとなり得るのか。国民を信頼しない中で、どうして司法に対する理解、信頼が深まるというのか。政府の説明を求める。
七 裁判員制度に対する国民の理解は、十分深まっていると政府は認識しているか。
八 翌二〇〇九年五月二十一日より裁判員制度が開始される予定であるが、右に述べた様に、国民を信頼しないまま創られた現行の裁判員制度を抜本的に見直すか、いっそ廃止すべきであると考える。または、せめて国民の理解が深まるまで開始を延期すべきであると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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