答弁本文情報
平成二十年十月十日受領答弁第五九号
内閣衆質一七〇第五九号
平成二十年十月十日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出裁判員制度の問題点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出裁判員制度の問題点に関する質問に対する答弁書
一について
裁判員制度は、国民の感覚を裁判の内容に反映させ、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図るために導入されるものである。このような趣旨にかんがみると、国民の関心が高く、社会的にも影響の大きい事件を対象とするのが適当であること等から、裁判員制度の対象事件が法定刑の重い事件とされたものと考えている。
また、控訴審は、第一審判決の当否を事後的に審査する事後審と位置付けられており、その審査の方法は、主に書面からなる公判記録によって、第一審において取り調べられた証拠、その審理の手続等を精査するというものである。これらを踏まえ、控訴審を担当する裁判所については、裁判官のみで構成することが適当であることから、裁判員が第一審のみに関与することとされたものと考えている。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下「裁判員法」という。)第五十二条において、裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理をすべき公判期日等に出頭しなければならない旨が規定されている。お尋ねの「国民の義務」の意味が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、憲法に違反するとの御指摘は当たらないものと考えている。
御指摘の罰則は、関係者のプライバシーを保護するとともに、裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保障するなどのために必要なものであると考えている。
最近の意識調査の結果によれば、九割以上の方が裁判員制度について知っていると答え、六割以上の方が裁判員として裁判に参加するとの意向を示すに至っている。したがって、裁判員制度に対する国民の理解は、相当程度深まっているものと認識しており、現段階において、裁判員法を見直し、又はその施行を延期する必要があるとは考えていない。