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平成二十年十月八日提出
質問第八七号

赤字国債発行に関する再質問主意書

提出者  滝  実




赤字国債発行に関する再質問主意書


 今回の政府の緊急経済対策は予算規模が一.八兆円で、これでは小さすぎるというのが多くの人の意見である。実効ある景気対策の実現のためには、財源問題は避けて通れないのであり、赤字国債を発行するのが本当に将来にツケを回すことになるのかということに関して、国民的な議論が必要な時であると考える。九月十二日に掲載された朝日新聞の調査だと七三%の国民が財政よりも景気対策を優先して欲しいと言っているそうだし、政府もこの問題に対し恐れず議論をすべきである。
 赤字国債発行に関する質問主意書に対する平成二十年十月三日の答弁書(内閣衆質一七〇第一二号)には、公共投資を増額する政策について、国の債務のGDP比は、当初の一年目及び二年目は低下するが、三年目以降上昇するという内閣府の試算に言及している。これが、「赤字国債を発行すれば、将来世代にツケを残す」という唯一の理論的な根拠とされている。しかしながら、この試算における三年目以降の試算結果を導いた経済モデルには、極めて深刻な欠陥が内在しており、これを政府が鵜呑みにするのは余りにも危険であるから、再度質問する。

一 例えば、平成十八年一月十八日に経済財政諮問会議により提出された「構造改革と経済財政の中期展望」には、「試算は誤差を伴っており、相当の幅をもってみるべきである。また、先の期間になるほど、不確実な要素が多くなることに留意が必要である。」と書いてある。このことは、今年の政府試算(進路と戦略)でも同様だと考えられる。当然のことではあるが、一年目や二年目の試算結果より三年目以降の試算結果は信頼性を欠くと考えるがどうか。
二 図は宍戸駿太郎氏が集めた各シンクタンクの乗数の比較である。これを見ると内閣府のモデルは、極めて特殊と言わざるを得ない。つまり、景気対策を行っても、長期的には景気浮揚効果は他のシンクタンク(参議院も含む)の予測する効果の数分の一の効果しかないとみなしている。これでは、いくら景気対策をしてもほとんど長期的な効果はなく、国の借金が増えるだけということになる。景気悪化に対応するために、政府が景気対策を急いでいるのに、景気対策は効果がないとする内閣府の不自然な試算結果を政府はどのように考えるか。
三 内閣府のモデルでは景気対策は効かないという不自然な前提から、GDPが増えないので、政府債務の蓄積により、三年目以降は債務のGDP比が増えるという結果になる。しかしながら、実際は他のシンクタンクの結果で示されているように、景気対策は有効で、GDPは上昇し、その結果三年目以降も債務のGDP比は下落するという内閣府以外の試算結果のほうが、現実をより正しく記述していると考えるがどうか。
四 過去の内閣における十数回の景気対策においては、必ずそれによってどの程度の景気浮揚効果があるかが示されていた。もちろん、他の予算を削って景気対策をするのであれば、削った分はマイナスの効果であるため、それを差し引きしてトータルの効果を示さねば意味がない。トータルでマイナスになる可能性もある。これから打ち出す景気対策のすべてに対して、トータルのGDP押し上げ効果を国民に示すべきだと考えるがどうか。
五 内閣府の試算(予測)は、はずれてばかりだと言われている。例えば二〇〇八年度の名目成長率はどうかと言えば、二〇〇七年度一月の予想では二.八%であったが、二〇〇八年一月には二.一%に、二〇〇八年の七月には〇.三%に下方修正された。僅か一年半の間になんと十分の一近くにまで下がったわけで最終的には更に下がるのではないか。そのような下方修正は今年だけでなく、毎年年中行事のように行われている。そのように大きくはずれるようでは、三年後の債務の名目GDP比など、全く信用できないというのが現実であり、内閣府の試算結果を基に、「赤字国債発行により将来にツケを回すことになる」という結論を出すことなど論外と言わざるを得ないと考えるがどうか。

 右質問する。


図


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