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平成二十年十月二十日提出
質問第一三六号

米印原子力協定およびNSG総会、日本政府の対応に関する質問主意書

提出者  高木義明




米印原子力協定およびNSG総会、日本政府の対応に関する質問主意書


 去る九月六日、NSG(原子力供給国グループ)の総会は、NPT(核拡散防止条約)非加盟国のインドに対し米国の核輸出解禁を、日本も含む全会一致で承認した。これを受け、米印原子力協定が締結された。
 米印原子力協定は、インドの核保有を事実上容認し、国際的な核軍縮・核不拡散の流れに逆行するばかりでなく、NPT未加盟のパキスタンやイスラエル、そしてNPT脱退を宣言して核開発を進めた北朝鮮、NPTに加盟しながらウラン濃縮活動を続けるイランに対し、誤ったメッセージを送りかねない。
 我が国は、唯一の被爆国として、あらゆる場において核拡散に反対し、世界の非核化を推進すべき立場をとってきた。今回のインドに対する「例外」扱い承認は、「核のない社会」を目指す我が国平和外交から大きく逸脱するものである。
 去る七月三十日には、長崎と広島の市長が連名で、米印原子力協定は「世界の核兵器廃絶の取り組みに大きな支障となる」と指摘し、日本政府に対応を要請したことは、ご案内のとおりである。
 インドに原子力協力を行うのであれば、インドの核保有・核開発・核技術移転の禁止、NPTとCTBT(包括的核実験禁止条約)への早期加盟を強く求めるべきであったにもかかわらず、我が国がそういった主張をすることもなく、無条件に例外扱いを承認するに至ったことは大きな問題である。
 今回の日本政府のNSGへの対応、米印原子力協定に対する姿勢は、NPT体制の形骸化・空洞化につながるものであり、将来への禍根が懸念される。
 よって、政府の認識および対応について質問する。

一 米印原子力協定およびNSGガイドラインの変更によりインドの国産ウランが核兵器に回され、インドの核兵器増産に利用される可能性はないのか。ないとすれば、その根拠を示されたい。
二 核兵器の生産を続けるインドに、ウラン濃縮やプルトニウム再処理などの技術の輸出を明確に禁止しないNSGガイドラインの修正に、日本政府が賛成したのは何故か。核兵器生産に利用される可能性はないとするなら、その根拠を示されたい。
三 今後、日本政府がインドに原子力協力をすることを考えているか。考えているのであれば、インドがNPTに加盟し、CTBTに署名することを条件にすべきだと考えるが、どうか。
四 NSGの総会において、日本政府が示した見解はどのようなものか。
 総会に、日本政府は「National Statement(国の見解)」を提出したと伝えられているが事実か。
 提出したのであれば、その内容を公表すべきではないか。ちなみにアイルランド、ニュージーランド、ノルウェー、オーストリア等は公表している。
五 NPTを維持するためには、包括的な核軍縮についての枠組み議論が重要であると考えるが、どうか。
六 藪中外務省事務次官は、去る九月八日の記者会見で、インドが核実験をした場合について「当然今回の合意は基礎をなさないということは日本の考えである」と述べているが、どのように対応するのか。
 またインドとの原子力取引停止をNSGで決めるルールはどうなっているのか。再び全加盟国の一致は必要条件か否か。
七 中国がパキスタンで二基の原子力発電所建設に協力することに合意したと報じられているが、日本政府は、このことを確認しているのか。この合意について、日本政府はNSGでどのように対応するのか。
八 一九九五年のNPT再検討・延長会議で確認した『核不拡散と核軍縮のための原則と目標』は、核関連輸出にあたり「必要な前提条件として、IAEA(国際原子力機関)の包括的保障措置を受諾し、かつ、核兵器その他の核爆発装置を取得しないという国際的に法的な拘束力のある約束を受諾することを要求すべきである」とされている。
 今回のNSGガイドラインの変更にあたって、日本がそれを要求したのかどうか。しなかったとすれば、その理由は何か。

 右質問する。



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