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平成二十年十月二十八日受領
答弁第一三六号

  内閣衆質一七〇第一三六号
  平成二十年十月二十八日
内閣総理大臣 麻生太郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員高木義明君提出米印原子力協定およびNSG総会、日本政府の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員高木義明君提出米印原子力協定およびNSG総会、日本政府の対応に関する質問に対する答弁書



一について

 インドは、平成二十年九月五日に発表されたムカジー・インド外務大臣の声明(以下「ムカジー外相の声明」という。)において、核実験モラトリアムの継続を改めて明確に打ち出すとともに、核兵器を含む軍備競争への不賛成等を表明している。また、今回の原子力供給国グループ(以下「NSG」という。)第二回臨時総会における「インドとの民生用原子力協力に関する声明」(以下「NSG声明」という。)の採択も、核実験モラトリアムの継続を含むインドのコミットメント及び行動を前提としている。
 インドは最小限の核抑止力を保持する政策をとっており、また、従来から無差別の核軍縮を主張してきていることから、このようなインドのこれまでの立場と矛盾するような核戦力の増強がなされることはないと考える。

二について

 NSG声明において、ウラン濃縮、使用済燃料の再処理及び重水製造のような機微な資機材・技術(以下「機微な資機材及び技術」という。)については、NSGガイドライン・パート1の第六項及び第七項の規定に従う旨、特に明記されており、これらの規定に従って移転は抑制されることになる。
 また、NSG声明に関する議論を通じて、NSG参加各国は機微な資機材及び技術の移転を行う予定はないと理解している。
 NSG声明については、ムカジー外相の声明においても述べられたインドの核実験モラトリアムの継続を始めとして、民生用の原子力施設への国際原子力機関保障措置の適用、NSGガイドラインの遵守を含む厳格な輸出管理の実施等のインドのコミットメント及び行動に基づくものであることが明確にされ、また、これらのコミットメント及び行動を通じて、インドに対する不拡散措置が現在より強化され、インドの原子力活動の透明性が高まるとともに、国際的な核不拡散体制の外にいるインドによる更なる不拡散への取組を促す契機となると考えられたこと等から、我が国としては、ぎりぎりの判断として、同声明に関するコンセンサスによる採択に加わった。

三について

 現時点において、我が国としては、インドとの間で原子力協定の締結交渉を行う具体的な予定はない。

四について

 NSGにおける議論の詳細については公表しないこととなっているが、NSG声明の採択に際して、我が国は、特に唯一の被爆国として、インドによる核実験モラトリアムの継続を重視しつつ議論に参加し、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効又は停止すべきであること、また、NSG参加各国は、各国が行っている原子力協力を停止すべきであることを明確に表明した。
 また、インドに対し、非核兵器国としての核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号。以下「NPT」という。)への早期加入、包括的核実験禁止条約(以下「CTBT」という。)の早期署名・批准等を求めるとの我が国の立場に変わりはないことを表明した。

五について

 NPTを基礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化のためには、核兵器のない平和な世界に向けた、具体的かつ着実な取組を一歩一歩進めていく必要がある。このような考えに基づき、二千十年NPT運用検討会議に向けた議論に参加していく考えである。また、我が国は、この考え方を示した核軍縮決議案を国連総会に提出し、圧倒的多数の支持を得てきている。

六について

 NSG声明は、一又はそれ以上のNSG参加国政府が協議を要する状況が生じたと考える場合には、参加各国政府は、NSGガイドライン・パート1の第十六項の規定に従って、会合し、そして行動するとしており、同項は、供給国は、当該受領国への原子力移転の終了を含み得る適切な対処及び可能な行動について合意しなければならない旨規定していることから、万一インドによる核実験という重大な事態が生じた場合には、同項に基づいて行動することとなると理解している。
 今次NSG総会において、我が国は、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効又は停止すべきであること、また、NSG参加各国は、各国が行っている原子力協力を停止すべきであることを明確に表明した。
 我が国としては、インドがNSG声明採択の趣旨を重く受け止め、国際的な核不拡散体制の維持・強化のために責任ある行動をとるよう引き続き強く求めていく考えである。また、インドに対し、非核兵器国としてのNPTへの早期加入、CTBTの早期署名・批准等を求めるとの我が国の立場には変わりはない。

七について

 御指摘の報道については承知しており、事実関係等につき情報収集に努めているが、正確な情報は確認できていない。

八について

 今次NSG総会において、我が国は、インドに対し、非核兵器国としてのNPTへの早期加入等を求めるとの立場に変わりはないことを表明したものである。



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