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平成二十年十月二十一日提出質問第一四六号
遺伝子組換え食品に関する質問主意書
提出者 岩國哲人
遺伝子組換え食品に関する質問主意書
組換えDNA技術応用食品・食品添加物(以下、「遺伝子組換え食品」)の安全性を確保するため、厚生省は平成三年から「安全性評価指針」に基づいて個別に安全性審査を行っていたが、これは、法律に基づかない任意の審査であった。
しかしながら、厚生労働省は、「遺伝子組換え食品の開発や実用化は、近年、国際的にも急速に広がってきており、今後さらに新しい食品の開発が進むことも予想される」ことを根拠として、食品衛生調査会の審議結果を踏まえ、安全性審査がされていないものが国内で流通しないよう、食品衛生法の規格基準(厚生省告示)を改正して、「安全な食品」という観点から、安全性審査を法的に義務化した。
これにより、平成十三年四月一日から、安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品は、輸入、販売等が法的に禁止され、平成十五年七月一日に食品安全基本法が施行され、内閣府に食品安全委員会が発足したことに伴い、遺伝子組換え食品の安全性審査は食品安全委員会の意見を聴いて行うこととなっている。
また、農林水産省は、遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準第七条第一項及び生鮮食品品質表示基準第七条第一項の規定に基づく農林水産大臣の定める基準(平成十二年三月三十一日農林水産省告示第五一七号)により、「一定の品質や特別な生産方法で作られているか否か」という点で、表示義務を課している。
これに関連して、以下質問する。
民主党は、マニフェストにおいて、食品安全行政につき、厚生労働省、農林水産省、内閣府の業務の一体化を提唱しているが、これまでに省庁間で、表示に関する政策につき、協議した実績はあるか。
また、現在、消費者庁の創設が議論されているが、消費者庁など他機関に移管し、一元的管理を行うことを検討したことはあるか。
二 ナタネ油は日本人が消費する食用油の約六割を占めているが、現在日本で利用されている菜種の約九割はカナダ産であり、このカナダ産菜種の約八割(栽培面積ベース)は組換え種である。
わが国の現行制度下では、遺伝子組換え表示がナタネ油をはじめとする食用油にはないが、この理由としては、厚生労働省によると、
@ 加工過程でたんぱく質やDNAが分解されるために検出が不可能であること。
A 物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態とするトレーサビリティ法が導入されていないことから、遺伝子組換え作物由来の原料であるかどうか確認不可能であること。
B 加工過程でたんぱく質が分解されるので、遺伝子組換え由来であってもなくても作物として同等と考えられること。
を根拠として、義務表示の対象外とされている。
しかし、EUでは、原料の中に遺伝子組換え由来のたんぱく質やDNAが検出できるか否かにかかわらず、すべての原料を義務表示対象とし、分別された原料における混入率は〇.九%までが義務表示対象外とされ、日本の五%と比べると、かなり低く設定されているが、引き下げを検討したことはあるか。
また、トレーサビリティ法の導入に関する検討は行ったことがあるか。
三 昨今の食料価格高騰や、輸入食品に関する安全性の議論に伴い、食料自給率向上が政府・与党からも強く主張されているが、遺伝子組換えでない食品の栽培を、政府として補助・支援することを検討しているか。
右質問する。