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平成二十年十月二十四日提出
質問第一五九号

赤字国債発行に関する第三回質問主意書

提出者  滝  実




赤字国債発行に関する第三回質問主意書


 アメリカの経済危機対策は最大二六五兆円、欧州は総額二一二兆円だと言われている。一方、わが国では、一・八兆円の総合経済対策を盛り込んだ補正予算が十月十六日に成立した。この対策をつくった八月末と、それ以降の状況は大きく変わっているとして、政府は追加的な経済対策を検討していると報道されている。しかしながら、財源が明確でない。景気後退で今年度は予算に対して数兆円の税収減が見通されるのであるから、追加的経済対策には赤字国債の増発が不可避であるのは明らかである。追加的な経済対策において、赤字国債の発行を躊躇しているのは、それが将来世代へのツケになるのではないかという配慮からだと認識している。しかし計量経済モデルによる試算結果を見れば、実は赤字国債を発行して経済対策を行えば、逆に将来世代へのツケを減らすことができるのだと前回と前々回の質問主意書で指摘した。それに対し、平成二十年十月三日と十七日の答弁書(内閣衆質一七〇第一二号と八七号)においてコメントをいただいた。これらの答弁書に関し確認したいことがあるので、質問する。

一 内閣府の試算(平成二十年一月十七日発表)によれば、赤字国債を発行して経済対策を行った場合、当初の三年間は、債務のGDP比は減るという意味で将来世代へのツケは減ると結論してよいか。
二 四年目以降は、債務のGDP比は増える可能性があるが、しかし、この原因が内閣府のモデルによれば景気対策によるGDPの押し上げ効果が、他のシンクタンクのモデルよりはるかに小さくなっていることに関係していると思われる。モデルによる違いは、前提条件等の違いからくる場合もあると答弁書でご指摘いただいた。つまり、四年目以降は、債務のGDP比は増えるか減るか分からないという意味で、将来世代へのツケは増えるか減るかは経済モデルでは結論できないということか。
三 以上の議論から計量経済モデルからは、「赤字国債を財源として景気対策を行ったとしても、単純にそれが将来世代へのツケを増やすことになると言うのは間違い」と結論すべきだと思うがどうか。
四 最近の急激な景気悪化で、国民は効果のある景気対策を求めている。どうやれば、景気対策が大きな効果をもたらし、債務のGDP比を減らすことができるのかを、内閣府で計量モデルを作り直して、真剣に検討すべき時に来ているのではないか。
五 十月二十一日の朝日新聞の記事には、内閣府の試算によれば、二兆円の定額減税(所得税減税)で実質GDPを押し上げる効果は年〇・一%にすぎないので経済効果は望み薄で、同じ二兆円を公共投資に使う場合の〇・四一%増、法人税減税の〇・二七%増という引き上げ効果を下回るとある。これは内閣府の短期モデルの乗数表から求めた数字と思われるが、政府は景気対策でどれだけのGDP押し上げが必要と考えているか。
六 今年ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマンは、『グローバル経済を動かす愚かな人々』の中で日本経済に関して「まずは需要を増やすことである。そのためには信用拡大のための通貨供給の大幅増大だけでなく、公共事業の拡大、減税の実施などが肝要である。」と述べている。これについてどのように考えるか。

 右質問する。



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