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平成二十年十月二十四日提出
質問第一六一号

裁判員制度の問題点に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




裁判員制度の問題点に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一七〇第五九号)を踏まえ、再質問する。

一 日本国憲法において勤労、納税、教育の三つが国民の義務である旨、規定されていると承知するが、確認を求める。
二 二〇〇九年五月二十一日より、重大な刑事事件の裁判に一般国民が参加するいわゆる裁判員制度が始まることとなっており、それについて定めた裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下、「法律」という。)では、裁判員に選定された者には出廷義務が課され、正当な理由なく出廷しない場合、十万円以下の過料が科されると規定されていることにつき、右は、裁判員制度における出廷が国民の義務の一つであるという趣旨を意味するものかと問うたところ、「前回答弁書」では「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号。以下「裁判員法」という。)第五十二条において、裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理をすべき公判期日等に出頭しなければならない旨が規定されている。」との答弁がなされている。右答弁は、要するに、裁判員制度における出廷は、裁判員として任意の選出を受けた我が国国民にとって、果たさなくてはならない義務であることを指していると理解して良いか。確認を求める。
三 裁判員制度における出廷は、一の日本国憲法に規定されている三つの国民の義務に続く新たな国民の義務の一つであると理解して良いか。
四 三で、裁判員制度における出廷が、日本国憲法における三つの国民の義務に続く新たな国民の義務となるのなら、その旨日本国憲法に明記されなくてはならず、それがなされないまま裁判員制度を開始するのは、憲法に違反することにはならないか。政府の見解を再度問う。
五 「法律」の第七十九条で、裁判員には守秘義務が課され、裁判員が評議の秘密や職務上知り得た秘密を漏らした時は六か月以下の懲役または五十万円以下の罰金に処されると規定されていることにつき、国民が最初から信頼されていないことを示すものではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「御指摘の罰則は、関係者のプライバシーを保護するとともに、裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保障するなどのために必要なものであると考えている。」との答弁がなされ、当方の質問に真正面から答えた答弁とはなっていない。そもそも裁判員制度が創設された目的は、「法律」の第一条にある様に、「国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する」ことであるのに、この様な罰則を設けるということは、それぞれ生業を持ち、多忙ながらも義務として裁判員として出廷せざるを得ない国民を、政府が信頼していないことを示すものであり、その様な環境の下で、裁判員制度が真に国民が司法を理解し、その信頼の向上に資するものとなり得るのか。政府が国民を信頼しない中で、どうして国民の司法に対する理解、信頼が深まるというのか。政府の説明を再度求める。
六 裁判員制度に対する国民の理解は、十分深まっていると政府は認識しているかと問うたところ、「前回答弁書」では「最近の意識調査の結果によれば、九割以上の方が裁判員制度について知っていると答え、六割以上の方が裁判員として裁判に参加するとの意向を示すに至っている。したがって、裁判員制度に対する国民の理解は、相当程度深まっているものと認識しており、現段階において、裁判員法を見直し、又はその施行を延期する必要があるとは考えていない。」との答弁がなされている。しかし、国民の大多数が裁判員制度について知っているとしても、それが裁判員制度が実際にどの様な内容のものなのか、国民にどういったことを求める制度なのかを正しく理解していることを指すとは限らないと考える。また同時に、国民の過半数が裁判員として裁判に参加する意向を示していたとしても、それは「法律」において罰則が設けられ、国民の義務として規定されているからであり、自発的というより、むしろやむなく出廷せざるを得ないという、義務感からくる回答であると思料する。実際、本年四月に発表された最高裁判所の調査結果では、裁判員制度に「参加したくない」「あまり参加したくない」との回答が八割を超えており、裁判員制度における出廷は、国民にとって大きな精神的負担になっていると承知する。この様な中で、政府が右答弁にある様に「裁判員制度に対する国民の理解は、相当程度深まっている」とするのは論理整合性がなく、現状を正しく理解していないものといわざるを得ないが、それでも政府が裁判員制度に対する国民の理解は十分に深まっていると認識しているのなら、その具体的根拠を明らかにされたい。
七 裁判員制度が、国民を信頼しないという前提の下創られ、また国民の理解も十分深まっておらず、国民にとって大きな精神的負担となっている現状を鑑みる時、制度そのものを改めて見直すか、いっそ廃止する、または、裁判員制度に対する国民の理解が真に十分に深まるまで開始を延期すべきであると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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