質問本文情報
平成二十年十月二十八日提出質問第一六九号
日豪EPAが我が国農業へ与える影響等に関する第三回質問主意書
提出者 鈴木宗男
日豪EPAが我が国農業へ与える影響等に関する第三回質問主意書
「前回答弁書」(内閣衆質一七〇第一一三号)及び「前々回答弁書」(内閣衆質一七〇第六二号)を踏まえ、再度質問する。
「三 今次会合では、物品・サービス貿易、投資、知的財産、政府調達、エネルギー・鉱物資源、食料供給等の幅広い分野につき有益な議論が行われた。特に、
(一) 物品市場アクセス分野では、第四回会合にて交換したリクエスト・オファーの内容に基づき、双方の関心事項につき議論を行った。具体的には、農林水産品に関しては乳製品、牛肉、大麦及び小麦に関し、関税に加えて市場アクセスに関する各種措置につき集中的に議論した。豪州側は関税や上記措置に関して市場アクセスの阻害要因として撤廃を要求し、日本側はこれらの品目を巡るセンシティビティ等につき説明し、豪州の要求には応じられない旨主張した。鉱工業品に関しては、日本側の関心品目に関し豪州側のオファー改善を求めた。」
右によると、乳製品、牛肉、大麦及び小麦について、オーストラリア側は関税等の措置の撤廃を要求したものの、我が国側はこれを拒んだとのことであるが、政府が言う「守るべきもの」とは、乳製品、牛肉、大麦及び小麦であると考えて良いか。
二 一の他に政府が「守るべきもの」と考えている品目はあるか。あるのなら、全て明らかにされたい。
三 一と二の品目の関税が撤廃された場合、我が国農業はコスト面でオーストラリア産の農産物と太刀打ちできず、多くの農業経営者は経営が成り立たなくなり、離農を余儀なくされると考えるが、政府の見解如何。
四 「前回答弁書」と「前々回答弁書」で政府は「政府としては、食料自給率の目標達成に向けて取り組んでいる。」と述べている。政府として食料自給率の向上という目標の達成を目指しているのなら、「日豪EPA」が締結されても、一と二の品目の関税は撤廃せず、守り続けなくてはならないと考えるが、政府の見解如何。
五 「前回答弁書」では「日豪EPA」締結により重要品目の関税が撤廃された場合の被害額や失業者数等について、「オーストラリア産農産物に対する関税が撤廃された場合の影響については、農林水産省において、一定の前提を置いた上で、試算を行っている。」との答弁がなされている。では、右答弁にある、農林水産省において行われている試算の具体的内容を全て明らかにされたい。
六 「前回答弁書」で政府は「現在交渉中の日豪EPAについては、妥結後の影響について言及することは困難である」と述べているが、「日豪EPA」が様々なメリット、デメリットをもたらすと考えられ、そのデメリットの中でも、農林水産業が被る損害は甚大なものがあると言われ、我が国で農林水産業に携わる人々は「日豪EPA」に対して大きな不安を抱いているものと思料する。「前々回答弁書」で政府が「我が国とオーストラリアは、戦略的利益を共有するパートナーとして、政治・安全保障、経済などを中心として広範な協力関係を構築している。政府としては、日豪EPAは、こうした戦略的関係を更に強化することに資するものと考えている。」と、「日豪EPA」を意義あるものと考えているのなら、それが妥結された後に我が国国内に具体的にどの様な影響があるのかを詳細に国民に説明すべきではないか。オーストラリア政府との交渉を行うと同時に、我が国国民、とりわけ農林水産業に携わる人々の不安を払拭し、理解を得るべく努力をするべきであると考えるが、政府は「日豪EPA」について、国民に対して十分な説明をしていると認識しているか。
右質問する。