質問本文情報
平成二十年十一月二十日提出質問第二五九号
自然エネルギーの利用に関する質問主意書
提出者 滝 実
自然エネルギーの利用に関する質問主意書
環境省が十一月十二日に発表した平成十九年度の国内の温室効果ガス排出量(速報値)は二酸化炭素換算で前年度比二・三%増と過去最高を記録した。京都議定書で日本は平成二十年〜二十四年度平均の温室効果ガス排出量を平成二年度比で六%減らす目標を課されており、平成十九年度比では十三・五%の削減が必要となる。これを産業界が負担して削減を行おうとすると莫大なコスト負担が必要となり非現実的である。今年の六月二十八日の日本経済新聞によれば、一バレル一四〇ドルで一ドル=一〇六円の為替相場が続けば、日本からの産油国への所得流出は二十四兆円だそうである。いつまた原油価格の高騰があるか分からないのであるから、エネルギー自給率四%という現実を国民は不安に思っている。これに関して質問する。
二 自然エネルギーの利用促進という面で大きな障害になっているのが、電力の買い取り価格である。自然エネルギーの利用が進んでいるドイツなどと比べて買い取り価格が低いために、自然エネルギー発電は採算に合わず、いつまでも開発が進まない。しかし、買い取り価格を上げると、電力会社の負担が大きくなる。そうであれば、負担は政府が助成金として電力会社に支給するという可能性は考えられないか。
三 買い取り価格を上げただけでは開発が進まない分野がある。例えば洋上風力発電である。日本は国土の約十二倍もの面積の排他的経済水域を保有しており、この水域の一部を利用して風力発電を行えば、日本の全エネルギー需要が満たされるという試算がある(注)。洋上風力発電では、ある程度の事業規模が確保され炭素繊維を使って製造した場合、耐用年数は八十年以上で発電コストが原子力による発電コストを下回るという試算がある。もしそうであれば、これは日本国民に大変大きな希望を与えるものとなる。しかしながら、これをすべて民間の企業に行わせるには、規模が大きすぎ、また経費を回収する期間が長すぎるということになる。政府は、このような自然エネルギー開発にもっと積極的に財政支援をすべきではないか。
(注) 瀬谷道夫、山口光弘、多田国之 文部科学省科学技術政策研究所・科学技術動向研究センター 平成十四年三月
四 平成二十年十一月十八日の答弁書(内閣衆質一七〇第二一三号)では、将来への負担を増やさないという意味は債務残高そのものではなく、債務のGDP比を増やさないという意味であることを認めていただいた。また、赤字国債を発行して景気対策を行った場合、債務のGDP比が減少するという可能性も否定しなかった。政府は赤字国債発行を必要以上に恐れる必要はない。十一月十七日の朝日新聞でも今年のノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン氏が「大不況克服へ巨額財政出動をせよ。債務増を心配する時ではない」と述べたと報道されている。
今我々は真剣に日本の未来を考えなければならない時に来ている。マスコミの論調も、二兆円の定額給付金よりも自然エネルギー開発にお金を使うべきだということになっているようであり、定額給付金以上に国民の理解を得やすいと思われる。自然エネルギー開発を積極的に政府が乗り出すと次のようなメリットが考えられる。
@ エネルギー自給率の向上。
A 温室効果ガス排出量削減。
B 排出権取引で日本は有利な立場に立てる。
C 開発された技術は輸出できるので、日本経済を活性化させることができる。
D 将来のエネルギー価格の高騰を恐れる必要が無くなる。
E 定額給付金よりGDP押し上げ効果が大きい。
F 赤字国債ではなく建設国債を使える。
G 自然エネルギー開発への投資は国の借金を増大させるが、同時に名目GDPも増大させる。借金の増加率よりも、名目GDPの増加率のほうが大きく、結果として国の借金のGDP比を減らし、将来世代へのつけを減らすことができる可能性がある。
このようなメリットについてどのように思うか。
右質問する。