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平成二十年十一月二十六日提出
質問第二八七号

ヘッジファンド規制の必要性に対する政府の認識に関する質問主意書

提出者  岩國哲人




ヘッジファンド規制の必要性に対する政府の認識に関する質問主意書


 麻生首相は、米国発の金融危機を「百年に一度」と表現し、景気対策費として二十六兆九千億円を計上する「緊急経済対策」を打ち出された。
 二〇〇七年五月二十五日の決算行政監視委員会において、私は、尾身財務大臣(当時)に対して「ヘッジファンドは、日本が十年前からゼロ金利政策(一九九九年二月から二〇〇〇年八月までのいわゆるゼロ金利政策とそれに続く金利設定政策、以下同じ)に入ってから、件数が三倍、金額は五倍に増えているが、世界的なヘッジファンドの増加をもたらしている源泉は、日本のゼロ金利政策による資金流出にあるのではないか」という趣旨の質問をした。
 これに対し、尾身大臣は、「日本の金利水準が世界のヘッジファンドの増大の中の、これをもたらした大きな要因であるというような因果関係は特別にはなく、いろいろな世界の経済の状況、発展の中でもたらされたものである。」との趣旨の答弁をされた。
 また、参考人であった福井日本銀行総裁(当時)は同委員会において、ヘッジファンドに対する規制の必要性に関して、「従来の金融機関のように、これを、つかまえてという言葉は悪いんですけれども、直接規制するということに本当に適した存在かどうか。ファンドマネジャーの所在と、それからファンドそのものは恐らくタックスヘイブンなんかに多く置かれていますし、また、レバレッジをきかせるための借り入れ主体というのはまた別のところに存在しているというふうなぐあいで、大変バーチャルに近い組み立て方になっています。
 したがって、直接規制でつかまえるのが効率的なのか、やはり中央銀行あるいは財務省のネットワークでモニタリングの力を強めていくのがより現実的か。私ども中央銀行のレベルで議論いたしましても、やはりモニタリングの強化ということが一番有効な方法ではないかということで、今この方向で努力をしていまして、日本銀行もこれに賛成しております。」と答弁された。
 この点、麻生首相の所信表明では、「百年に一度」の世界的金融危機に関してヘッジファンドについては触れておられなかった。
 これに関連して、以下質問する。

一 ヘッジファンド規制の必要性につき、リーマン・ブラザーズの破綻を契機とした「百年に一度」の世界的金融危機を迎えた現在においても、直接規制よりもモニタリング強化が望ましいとの認識に変化はないか。
 この点、欧州では英国、フランスが主導する形で、国際通貨基金(IMF)の役割の見直しや、金融機関とヘッジファンドに対する国際的な規制の整備をめぐる議論が進んでいるが、日本政府の見解はどうか。
二 質問一に関連して、規制の必要性に関して調査を行った実績があるか。実績があれば、その結果をお示し願いたい。
三 直接規制を行う場合でも、資本が外国か日本かなど、差異を設けることは可能と考えるが、政府の見解如何。
四 世界的なヘッジファンドの増加と、日本のゼロ金利政策がもたらした円キャリー取引等による資金流出との間の因果関係についての認識に変化はないか。政府の見解如何。
五 米国の株価が急落すれば、日本の金融機関は円キャリー取引の清算に失敗した海外のヘッジファンドの不良債権を抱えこむことになり、また、日本の金利が上昇したり、円高が進行した場合、為替差損拡大のリスクを回避するため、ヘッジファンド等が円を買い戻す動きが出ることで円高が加速されることが懸念されるが、円キャリー取引が、日本銀行の金融政策に影響を及ぼしているとの認識はあるか。政府の見解如何。

 右質問する。



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