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平成二十年十一月二十六日提出
質問第二八九号

旧道路関係四公団の将来の株式市場上場に関する質問主意書

提出者  岩國哲人




旧道路関係四公団の将来の株式市場上場に関する質問主意書


 二〇〇三年十二月二十二日発表の、「道路関係四公団民営化の基本的枠組みについて(概要)」によると、国などは上場後も株式の三分の一以上を保有し、社債などは当分の間は債務保証するとされている。
 この点、旧道路関係四公団(以下、公団)が試算した二〇〇四年度末の資産合計は三十三・〇兆円、負債合計は二十八・六兆円であった。
 なお、以下、東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社を新会社と総称する。
 鳩山邦夫総務相は今月二十一日の閣議後の記者会見で、政府・自民党内で浮上している郵政民営化の見直し論について「国有に戻すわけではないが、よりよい形があるならば大胆に見直すべきだ」と述べ、民営化で実施した四分社化に関しては「四社の経営が悪化して、国民に迷惑をかけることがあってはならない」として新たな制度設計の可能性を示したが、小泉政権下で郵政と同じく民営化された公団についても再検討の必要な点が存すると考える。
 これに関連して、以下質問する。

一 戦後、国有から民営化されたJRの場合、経営において、下部(インフラ)の管理と上部(運行・運営)を行う組織を分離して下部と上部の会計を独立させる「上下分離」で上場できる、そういう見通しで申請をして東京証券取引所と交渉を始めたが、資産のないところには自主的な経営権がなく、実体がない、資産のない会社の上場は認められないと指摘された。このため、急遽方針を転換して「上下分離」から「上下一体」に切りかえ、初めて上場が認められた。
 この点、政府の道路関係四公団民営化推進委員会(今井敬委員長)は、民営化後の経営形態を、道路資産の保有と債務返済を担う公的な「保有・債務返済機構」と、高速道の建設や維持・管理をする新組織に「上下分離」することで合意したが、会社の上場に関して問題となりうる点、およびその旨の外部からの指摘をこれまでに把握・認識しているか。
二 新会社は民営化開始から四十五年後には借金を返済して、高速道路を無料開放することとされているが、これは、同時に四十五年後には料金収入がゼロになることを意味する。
 また、新会社の収入源の中核は料金であるが、政府は「道路料金には利潤を見込まない」などとして料金値下げ案を打ち出し、債務返済後は無料開放の予定とされている。
 思うに、上場会社は会社の所有者たる株主の利益を図る責任があり、上場に際しては、債務圧縮が必須な上、配当や株価を上昇させるという形で株主に還元しなければならない。
 この点、右のような一般の株式会社とは異なる特徴を有する新会社の上場につき、上場後の株主利益の実現との関係をいかに考えるか。

 右質問する。



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