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平成二十年十二月二十二日提出
質問第三八〇号

いわゆる北方領土不要論を過去に唱えたとされる国会議員への外務省の対応に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




いわゆる北方領土不要論を過去に唱えたとされる国会議員への外務省の対応に関する第三回質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一七〇第三〇六号)及び「前々回答弁書」(内閣衆質一七〇第二五六号)を踏まえ、再度質問する。

一 外務省において、会議録等、ある人物の発言をメモに取り、それを基に公式な文書を作成する際、一般に、どの様な手続きが取られるのか説明されたい。発言者に対して、そのメモの内容が正確であるか否か、公式な文書を作成する前に確認を取ることはあるか。
二 一般論として、外務省においてある人物の発言をメモに取り、それを基に公式な文書を作成するに当たり、メモを取った人物が発言を聞き間違える、または勘違いする等、意図的でない失敗を犯し、誤った内容を基に外務省の公式な文書が作成されたことが後に発覚した場合、その文書を訂正することは許されるか。
三 一般論として、外務省においてある人物の発言をメモに取り、その内容を意図的に改ざんし、それを基に公式な文書を作成することが認められる場合はあるか。あるのなら、どの様な場合に限り、その様な行為を行うことが認められるのか説明されたい。
四 かつて当方が外務政務次官の任に就いていた時、またはそれ以降も、諸外国の首脳はじめ要人と会談を行い、その会議録を外務省が作成する際、毎回必ず当方自身の発言内容を確認することを外務省に求めていたが、そのことを外務省はまだ記憶しているか。
五 二〇〇二年三月十一日に行われた衆議院予算委員会において、当時の上田清司衆議院議員(現埼玉県知事)により取り上げられた、平成七年六月十三日付で起案された、「秘 無期限」の秘密指定がなされた外務省内部の文書(以下、「文書」という。)の中には、「そもそも、北方領土問題というのは、国の面子から領土返還を主張しているに過ぎず、実際には、島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、戦後五十年もたって返還されないという事実を踏まえ、我が国は、領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めていくべきと考える。」との発言を、当方が当時の西田恒夫欧亜局参事官にしたと書かれている。「文書」は、西田氏と当方のやりとりの場に同席していた、当時ロシア課の事務官であった福島正則という外務省職員(現ロシア支援室首席事務官)によって取られたメモ(以下、「メモ」という。)を基に作成されたものであるが、そもそも当方は、「メモ」が正確な内容を記したものかどうか確認していない。「メモ」を基に外務省が公式のものとして「文書」を作成するのならば、少なくともその「メモ」の内容について当方に確認するのが当然ではないのかと前回質問主意書で問うたところ、「前回答弁書」では「先の答弁書(平成二十年五月三十日内閣衆質一六九第四一五号)三から六までについてでお答えしたとおりである。」との答弁がなされている。右答弁書にある答弁とは、「平成七年六月十三日に鈴木宗男衆議院議員と御指摘の外務省欧亜局参事官(当時)との間で北方領土問題に関するやり取りが行われたことを記した報告書(以下「報告書」という。)が作成されており、報告書のとおりと理解している。」というものであり、当方の質問に何ら答えたものではない。「メモ」を基に外務省が公式なものとして「文書」を作成するのであれば、少なくともその内容が正確に当方の発言を記したものであったか否か、一言当方に確認すべきではなかったのか。それをせず「文書」を作成するのは、外務省における手続きとしては拙速ではなかったか。再度質問する。
六 前回質問主意書で触れた様に、当時当方は「メモ」並びに「文書」の内容が、正確に当方の発言内容を反映したものではない旨指摘しているが、そのことを外務省は承知しているか。
七 「文書」について、当時の小泉純一郎内閣総理大臣は、二〇〇二年三月十二日の参議院予算委員会において「この文書にあります発言、『そもそも、北方領土問題というのは、国の面子から領土返還を主張しているに過ぎず、実際には島が返還されても国として何の利益にもならない。そうであれば、戦後五十年もたって返還されないという事実を踏まえ、我が国は領土返還要求を打ち切って、四島との経済交流を進めて行くべきと考える。』と。これは驚くべきとんでもない話で、私も信じられません。これが、本当に政治家が、日本の政治家がしたとは信じたくないです。」と述べている。当方に確認することもせず外務省により一方的に作られた「文書」が、事実を正しく反映したものかどうかも確認せずに「とんでもない」と切り捨てるのは、その行為こそが公正さ、公平さを著しく欠き、個人の名誉を傷つける行為であり、我が国の内閣総理大臣の行為として適切であるかと、前回質問主意書で麻生太郎内閣総理大臣の見解を問うたが、「前回答弁書」では何の答弁もなされていない。我が国の行政の長である内閣総理大臣が、「文書」に係る当方のケースの様に、正確なものかどうか明確でない文書を基に国会で答弁を行うことは適切か。再度麻生総理の見解を問う。
八 不正確な内容を含む「メモ」に基づいて作成された「文書」により、あたかも当方が北方領土不要論を唱えているかのような報道がなされ、当方の名誉は毀損され、大きな社会的打撃を受けた。このことについての外務省の見解を前回質問主意書で問うたが、「前回答弁書」では何の答弁もなされていないところ、再度質問する。
九 外務省における文書の秘密指定の解除に係る一般的な手続きについて、外務省は「前々回答弁書」で「決裁のための文書の作成を含め、適切な手続きにのっとって行うこととなっている。」と答弁しているが、その一方で、「文書」の秘密指定解除については、「前回答弁書」で「文書が残されておらず、お答えすることは困難である。」との答弁をしている。決裁の文書を含め適切な手続きに則り行うこととされている外務省における文書の秘密指定解除について、なぜ「文書」のケースに関しては、その経緯を明確に説明できないのか。
十 外務省における文書の秘密指定解除について外務省は「適切な手続きにのっとり行うこととされている」とは言うが、「文書」が秘密指定解除された経緯を外務省が説明できないということは、外務省の対応として瑕疵があり、その点だけでも「文書」の秘密指定解除が、従来求められている適切な手続きに則って行われなかったということを指していることに他ならないと考える。外務省の見解如何。
十一 「文書」の秘密指定解除を決めた文書に対して情報開示請求がなされた場合、それは開示の対象となるか。

 右質問する。



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