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平成二十一年二月五日提出
質問第九一号

沖縄県における不発弾爆発事故に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




沖縄県における不発弾爆発事故に関する質問主意書


 本年一月一四日、沖縄県糸満市小波蔵市道において、戦時中の米軍による砲弾と認められる不発弾の爆発事故が発生した結果、二名が負傷し、爆風により特別養護老人ホームの窓ガラスが破壊されるなど大惨事となった。
 一九七四年、那覇市小禄では、不発弾が爆発し多くの死傷者を出す大事故が発生している。
 太平洋戦争最後の本土における唯一の激戦地となった沖縄県では、大量の不発弾が未処理のままになっており、さらに同種の事故が頻発し、かつ被災者の損害、損失補償をめぐり、国の法的責任が不明確なまま処理されているのが現状である。
 今回の事故は、国の不発弾の処理対策の不十分さを露呈したものである。
 不発弾の処理、そして不発弾の爆発事故による人身・物件に対する損害についての補償は、沖縄戦が旧日本軍によって戦争目的遂行のためになされたのであり、国が、戦後処理の一環として責任を持って実施すべきである。
 しかるに、政府は、「沖縄における不発弾の磁気探査及び爆発事故による被害補償に関する質問に対する答弁書」(平成二一年二月三日付)「以下「答弁書」という。」では、「国は責任を持つ」といいながら、不発弾処理対策をはじめ被災者の損害、損失補償に対して責任ある態度を示さないどころか、国の責任を回避しようとさえしているのは、言語道断であり絶対に容認できない。
 大量の不発弾が、悲惨な沖縄戦によるものであるという事実を踏まえるならば、国が、これを除去するのは、当然の責務であり義務であるということを、厳しく指摘しておきたい。
 従って、以下の事項について質問する。

一 今回の不発弾爆発事故に対する政府の認識等について
 1 不発弾爆発事故及び被災者等に対する政府の認識と対応を伺いたい。
 2 本年二月二日、沖縄県議会は、事故による人身・物件に対する損傷・損害補償などを国に求める、「不発弾爆発事故への対応及び不発弾等の早期処理に関する決議」を全会一致で採択している。また、糸満市議会は、同年一月一六日に、「不発弾爆発事故に関する意見書」を全会一致で採択している。そして沖縄県議会と糸満市議会の代表団は、政府への要請を行っている。この決議及び意見書を、政府はどのように受けとめているのか。
二 不発弾爆発事故の概要について
 1 今回の事故の@発生日時、A発生場所、B被害状況、C原因などの概要について明らかにされたい。
 2 これまでの、沖縄県をはじめ都道府県における不発弾による爆発事故等について、@発生日時、A発生場所、B被害状況、C原因などの概要を明らかにされたい。
三 不発弾の実態の把握、探査、発掘、処理について
 1 沖縄戦において、旧日本軍及び米軍により投下、使用、埋設された爆弾、砲弾、機雷等の数量はどのくらいあり、そのうち不発弾は、どのくらいあると推計しているのかということについては、政府は、「答弁書」で、「確実な資料がないため、その正確な推計は困難である」と答弁している。それでは、おおよその推計はどうなのかを明らかにされたい。
 2 沖縄戦において、旧日本軍と米軍の戦闘で、投下、使用された爆弾、砲弾等は二〇万トン、そのうち不発弾は、約五パーセントの一万トンで、復帰までに処理した不発弾は五五〇〇トンといわれている。政府は、これについてどのような認識を持っているのか。
 3 政府は、「答弁書」で、「復帰から平成二〇年三月末までの間に、処理された不発弾等の数量は、約一五六五トンである」と答える一方で、「地中に埋没している不発弾の正確な数量を把握できない」と答弁している。
  しかし、沖縄県当局は、残された不発弾は約二三〇〇トンで、これを処理するには七〇年以上を要するとしている。これについては、どのように考えているのか。
 4 一九七四年、那覇市小禄での不発弾爆発事故について、同年三月一九日の沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、当時の小坂沖縄開発庁長官は、「今度の爆発は大きなショックであり、何が一番いま急ぐんだといったら、これはもうあれだけ大戦場になった沖縄の島々ですから、県民の皆さんの御協力をいただいて、どこに爆弾が落ちているか、どこに不発弾が入っているか、当時はどんなところでどんなように爆弾が積まれていたか、沖縄の全部に不発爆弾地図をつくっていかなければならない」という趣旨の答弁をしている。さらに、「一番しなければならないことはまず爆弾を一掃することに尽きると考えております。」、「今後はひとつ、ほんとうに一つも爆弾がないように、沖縄をそれこそ平和な島に返すという努力をしたい」との旨、答えている。
  「答弁書」では、政府は、埋没不発弾の数量や処理状況の実態の把握をしていないようであるが、これまで、特に、埋没不発弾の実態の把握について、どのような努力をしてきたのか具体的に伺いたい。また、探査、発掘、処理についてどのような取り組みをしてきたのか。
 5 不発弾の実態の把握、探査、発掘、処理については、現行では、どこの省庁が、どのような枠組みの下に実施しているのか。
 6 不発弾の探査、処理に係る費用は、国及び地方自治体で負担していると承知しているが、国は、何故、全額負担しないのか。
  政府は、「答弁書」では、「住民の安全確保の観点から地方公共団体においても責任を持つという考え方に基づき行ってきている」として、地方公共団体も費用分担をすべきである旨、答弁をしている。戦後処理の一環として不発弾の処理を行うからこそ国が責任を持つべきであり、地方自治体に、そのような役割があるにせよ、何ゆえに費用の分担までしなければならないのか、その理由を伺いたい。
 7 今回の事故を契機として、政府は、今後、埋没不発弾の早期処理のために、どのような体制で取り組みを強化するつもりなのか、方針があれば伺いたい。
四 不発弾爆発事故による被災者の損害、損失補償について
 1 今回の事故による被災者の損害、損失補償について、政府はどのように考えているのか。「答弁書」では、「現時点で事実関係や責任の所在など明らかではなく答弁を差し控えたい」旨答弁している。事故の「事実関係や責任の所在」とは何を指しているのか、具体的に答えられたい。それらが明確になれば、国は、なんらかの補償、救済措置を講ずるという考えなのか、併せて答弁されたい。
 2 国は、不発弾を適切に除去しないことによって爆発事故が起こり、県民に被害を加えた場合には、賠償責任を負うのではないのか。不発弾対策は、埋没不発弾の場所を明示して近寄らせないようにする、そして探査、発掘して処理するのは、国の責務ではないのか。
  沖縄県では、今なお、未処理の不発弾が大量であるために、それを放置してきたことが、今回の事故を発生させたのであり、国は、国家賠償法第二条に基づく責任があると考える。併せて、政府の見解を伺いたい。
 3 一九七四年の那覇市小禄の不発弾爆発事故の被災者に対しては、同年一一月二六日の閣議決定に基づき見舞金を支給したと承知しているが、その支給根拠と理由を伺いたい。
 4 この際、これまで沖縄県における不発弾爆発事故による被災者の損害、損失に対して、国は、どのような救済措置を講じてきたのか、その内容を詳細に明らかにされたい。また、他の都道府県についても同様に明らかにされたい。

 右質問する。



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