衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十一年三月五日提出
質問第一八八号

国立感染症研究所村山庁舎のBSL−4施設の稼動に関する質問主意書

提出者  加藤公一




国立感染症研究所村山庁舎のBSL−4施設の稼動に関する質問主意書


 近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザなどの新興感染症がわが国周辺にて発生したことなどを契機として、現在治療法が確立されていない病原体を取り扱う実験施設(以下、「BSL−4施設」と呼ぶ)等の研究環境の整備を求める声が聞かれる。このような実験施設は、天然痘やエボラウイルスのようなBSL−4の病原体を取り扱うことから、市街地からなるべく離れた場所に設置することが望ましい。いかに高性能のフィルターを通しても、研究施設内のエアロゾル(空気中に浮遊する微小な粒子)が周囲に漏れる確率をゼロにすることは不可能であるし、想定外の自然災害で倒壊したり、テロ攻撃等の標的になったりする危険性も十分にあるからである。
 この点、国立感染症研究所の村山庁舎は、住宅地の中に位置し、小学校や養護学校に隣接していることから、BSL−4の病原体を扱う研究を行うには相応しくない。国としても、すでにこの点については認識しており、「周辺住民の合意がなければ村山庁舎は稼動させない」との方針が確立しているところである(平成一八年二月一〇日衆議院予算委員会における川崎厚生労働大臣の発言、および平成一八年一一月一〇日衆議院厚生労働委員会「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」)。
 ところが、平成一八年以降、「BSL−4施設の稼動、建設の実現に向けての提言」を行うこと等を目的として、国立感染症研究所ウイルス第一部長を主任研究者として、「高度安全実験(BSL−4)施設を必要とする新興感染症対策に関する調査研究」(以下、「BSL−4研究」と呼ぶ)が行われている。そして、その報告を受けて、内閣府総合科学技術会議ライフサイエンスPTの会合においても、既存のBSL−4施設である村山庁舎の稼動はあたかも当然であるかのような主張が聞かれる。
 そこで、これらの事実を受け、以下、質問する。

一 村山庁舎の稼動を前提とするBSL−4研究は、「周辺住民の合意なしに村山庁舎を稼動させないという国の約束が破棄されるのではないか」との不安を住民の間に引き起こしている。BSL−4研究の提言の如何にかかわらず、政府は今後とも周辺住民の合意がなければ村山庁舎を稼動させないとの方針を堅持すると理解してよいか。
二 昭和五六年に建設された村山庁舎のBSL−4施設は、現在までBSL−4施設として使用されることなく、その設備は、現在も二八年前のままである。海外の例を見ても一五年程度で施設の更新を行うことが通例であるところ、村山庁舎のBSL−4施設は現状では稼動に耐えられない状態であると推測されるが、この点につき政府の認識を明らかにされたい。
三 村山庁舎のBSL−4施設が「不適切な立地」という克服しえない問題点をかかえる以上、その稼動にこだわり続けることはかえってわが国の感染症研究の進展の妨げとなる。わが国の感染症対策を前に進めるためにも、安全な地域にBSL−4施設を新設しそれを活用するという方針に転換すべきだと考えるが、政府の見解はどうか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.