質問本文情報
平成二十一年四月二十八日提出質問第三四九号
世界遺産宮島の鹿の管理に関する質問主意書
提出者 村井宗明
世界遺産宮島の鹿の管理に関する質問主意書
世界遺産宮島で鹿の頭数が増え過ぎたからという理由で廿日市市の給餌禁止措置による頭数調整が行われていることにより、市街地の鹿たちが飢餓状態に置かれている。鹿は食糧の不足にあえぎ、餓死せざるを得ないほどの窮地に立たされている。観光客が買い与えていた「鹿せんべい」の販売も中止され、飢えた鹿たちは、観光客に強引に食べ物をねだり、弱った鹿は力なくうずくまってしまっている。市街地の鹿たちは適切に管理されていないことから、ふん害等の被害で地域住民からの苦情も出ている状況にもある。また、鹿に対する福祉が損なわれていることで、世界最大規模の動物の権利擁護団体PEATからも激しい抗議を受けている。
世界遺産宮島において、海外からの観光客に動物虐待という誤解を与える可能性があり、適切に対応する必要があるのではないかと考え、以下質問する。
二 鹿の頭数を周辺住環境に配慮した適正数に保つためには、餓死をすすめるのではなく、避妊措置によって繁殖個体数の減少を図るべきで、可逆的なインプラント避妊法の検討をすべきと考えるが、見解は如何。
三 奈良公園の鹿は財団法人「奈良の鹿愛護会」が手厚く保護管理している。奈良県、奈良市よりの補助金のほか、獣医師会や企業の協力のもと、千百人以上の会員が物心共に組織を支えている。
宮島でも保護管理組織を官民協働で立ち上げることを検討すべきではないかと考えるが、見解は如何。
四 餌をもらえず飢えた鹿が凶暴にならないようにするためには、鹿の餌場となる芝草地を市街地に設けることも一つの方策と考えるが、見解は如何。
五 市街地で給餌を禁止し、市街地の鹿を山へ追い込もうという考え方に対し、「山の植物は鹿の被害で再生不可能な状況にある」という意見もある。山には鹿が食べてよい植物はなく、例え山に移動したとしても、山に棲むことさえ許されなくなる日が、必ずやってくることは明白である。
野生回帰をすすめるという方針への是非を問う。
右質問する。