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平成二十一年五月二十六日提出
質問第四五五号

国連広報センター不正経理問題と外務省の外国為替運用問題等に関する質問主意書

提出者  保坂展人




国連広報センター不正経理問題と外務省の外国為替運用問題等に関する質問主意書


 国連広報センターにおける不正経理問題及びそれと不可分な日本政府から国連に対して行われている拠出金等を巡る問題については、「国連広報センターにおける不正経理問題等に関する質問主意書」及び国会における質問を通じてその実態が国民の前に明らかになりつつあるが、政府は、「文書を破棄してわからない」などと言い訳をして、国民の税金がどのように使われたのかについて、その実態解明の努力をしようともしていない。とりわけ国連広報センター不正経理問題と外務省の外国為替運用問題等について未だ明らかにされていない事柄がある。
 従って、次の事項について質問する。

一 国際機関に対する外貨拠出に関する方針変更について
 外務省は、国際機関に対する外貨拠出の方法をすべて「国際送金」に変更することとする「国際機関に対する外貨拠出に関する方針変更」を二〇〇一年四月に行ったことを明らかにしているが、この方針変更は、政府の方針として決定されたものか、あるいは、外務省の方針として決定されたものか。政府の方針として決定されたものであれば、その決定は、閣議決定か、閣議了解か、あるいはその他の方式によるものなのか、その決定のレベルとプロセス及び決定文書の内容を明らかにされたい。また、外務省の方針変更であるならば、大臣、事務次官、局長などその決定のレベルとプロセス及び決定文書の内容を明らかにされたい。
二 国際機関に対する拠出金の「国内送金」の実態について
 外務省は二〇〇一年四月の方針変更以前に、国連広報センター東京事務所(以下、UNIC東京)の口座を通じて、国連の通常予算の分担金及びPKO分担金を「国内送金」していたことを明らかにしているが、
 (1) 外務省所管の国連の通常予算の分担金及びPKO分担金以外の国連または国際機関への拠出金で、日本における口座を通じる「国内送金」を行っていた例があるかどうか明らかにされたい。また、あるならば、具体的に国際機関名と日本における事務所名、拠出金名、拠出金額及び「国内送金」を行っていた期間を列挙されたい。
 (2) 外務省以外の省庁で、国際機関への外貨拠出に当たって「国内送金」の方法を採用しているところ、あるいは採用していたところがあるかどうか、明らかにされたい。また、あるならば、その省庁名、国際機関名と日本における事務所名、拠出金名、拠出金額及び「国内送金」を行っていた期間を列挙されたい。
 (3) 文部科学省は二〇〇九年五月二十六日現在も、そのウェブサイトで国連広報センターの紹介を行い、その中で「国連に対する日本政府の拠出受け入れに際し、事務的窓口となっています。」との一文を掲載しているが、「国連に対する日本政府の拠出」とは、具体的に、どのような拠出金を指しているのか、明らかにされたい。また、UNIC東京が入居している国連大学の建物を無償供与している文部科学省は、二〇〇一年四月の方針変更以降も、日本政府がUNIC東京の口座を使って拠出金を「国内送金」していた事実を、どのようにして把握していたのか、明らかにされたい。
 (4) 国連広報センターは本年五月上旬まで、自らのウェブサイトで、同センターの役割について「国連に対する日本政府の拠出受け入れに際し、事務的窓口となっています。」との一文を掲載していたが、上記の文部科学省のウェブサイトでの紹介とあわせれば、これらは、二〇〇一年四月の方針変更以降も日本政府がUNIC東京の口座を使って拠出金を「国内送金」していた事実を示しているのか。そうであれば、その事実の経緯等の詳細を明らかにされたい。また、これらは、日本政府が、これからもUNIC東京を通じて国連に対する拠出金を「国内送金」する意思を有していることを示すものなのか、明らかにされたい。
三 外務省による外国為替運用及び差益流用の法的根拠などについて
 外務省は、二〇〇一年四月以前までは、「国内送金」による国際機関への外貨拠出を行っていたこと、及び、その方式は、予算編成時の支出官レートよりもできるだけ円高の局面において実勢レートで支払い、その差益分を国庫に返納せずに同省で流用することが多かったことを明らかにしており、これは、「税金を使った外国為替運用」そのものである。
 (1) 外務省設置法は、同省がこのような「税金を使った外国為替運用」を行う権限を付与しているのか、付与しているとするならば、具体的な条項を示されたい。また、同設置法以外に、このような運用の法的根拠があるならば、その条項を具体的に示されたい。
 (2) 外務省は円高基調の一九九〇年代前半、このような「国内送金」による為替運用により得られた巨額な差益を他の拠出金などに「流用」してきたと述べているが、財政法に定められた「流用」は、省庁において配分された予算を運用して得られた「差益」についても適用を想定したものであるのか、政府の見解を問う。また、想定されているとすれば、省庁が予算を運用して利益を上げる権限を有しているとする根拠法規についても、具体的に示されたい。
 (3) 与謝野馨財務相は、二〇〇九年五月十一日の衆議院予算委員会で「在外公館が手持ちの為替を運用するあるいは運用益を得ようとして投機、投資をするということは、全く想定しておりません。」と答弁しているが、「想定していない」とする法的根拠は何か。また、「外務本省」では予算の為替運用が想定され、「在外公館」では予算の為替運用が想定されないとすれば、「外務本省」と「在外公館」との間で、外国為替に関する措置についての法的根拠にどのような相違があるのか、明らかにされたい。
 (4) 外務省が国際機関に拠出する予算を「国内送金」することによって得られた「差益」について、一九九二年二月以降二〇〇一年四月までの十年間について、得られた「差益」の額、財務省が「流用」を承認した額、国庫に返還された額を明らかにされたい。
 (5) 外務省は二〇〇九年四月二十二日の衆議院海賊対処等特別委員会での別所浩郎外務省総合外交政策局長答弁では「国際機関について、どこに口座を開設するかということについては国際機関自身が決めるというのが基本」と述べ、「国内送金」に当たっては、あたかも国際機関の側が日本国内の口座に送金することを求めていたかのような説明をしている。では、具体的に問うが、国連本部は毎年暮れに通常予算の分担金額を日本政府に知らせる際に国連広報センターの口座ではなくニューヨークにある国連本部の口座に送るよう述べていたということが事実か、あるいは、国連本部は日本国内の口座に送金することを求めていたということが事実か、いずれであるか、その根拠となる証拠を示して明らかにされたい。また、前者の場合には、日本政府が国連の要請にもかかわらず、あえて、UNIC東京を通じて「国内送金」することを選択することとした理由は何かを明らかにされたい。
四 外務省による「国内送金」での外国為替運用の手数料などについて
 外務省は二〇〇九年四月二十二日に、衆議院外務委員会理事懇談会において、「分担金等の東京国連広報センター経由の送金に際しての為替手数料」と題する文書を提出した。これは「外務省より三菱東京UFJ銀行青山通支店に対し、東京国連広報センター(UNIC東京)のドル建て当座預金口座出入金記録(一九九二年二月以降分につき入手済)をもとに、当該出入金記録と照合できる分担金等の送金に係る為替手数料を照会したところ、以下の通り回答があった。1.当該出入金記録と照合できる分担金等の送金に係る記録を調べたところ、二〇〇〇年三月十五日から二十三日までの取引についてのみ確認することができた。2.それによれば、三月十五日から二十三日までの取引について、売買益(為替手数料)は、いずれも一ドル当たり三〇銭であった。三月十五日から二十三日の送金額の合計は約一億九四五万ドル、その売買益(為替手数料)は計算すると合計は約三二八四万円であった。」という内容である。
 (1) 政府は、国民の税金がどのように使われたかを国民に明らかにする説明責任があり、そのために、憲法上の機関として会計検査院が設置されているが、外務省は再三再四資料を廃棄したとして、その責任を果たそうとしない。外務省が調査を行った三菱東京UFJ銀行青山通支店は、一九九二年二月以降二〇〇一年四月以前までのすべての出入金記録を保持しているはずであり、国民の税金の使途についての重要な問題であるから、さらに、同銀行に強く協力を求め、少なくとも一九九二年二月以降二〇〇一年四月以前の同口座を通じた政府から国連本部への送金記録と、為替手数料を明らかにされたい。
 (2) さらに、為替手数料以外にも、送金手数料がかかっているのであれば、一九九二年二月以降二〇〇一年四月以前までの間、それも明らかにされたい。
 (3) 「外貨拠出による方針変更」の後、外務省所管の国連分担金などの外貨拠出に関する為替手数料はどのように変わったのか、過去五年間の各年における国連分担金の送金に当たっての為替手数料、その他送金手数料について、その詳細を明示されたい。また、この五年間の途中で為替手数料の変更があった場合には、その理由も明示されたい。

 右質問する。



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