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平成二十一年十月二十八日提出質問第一七号
米軍普天間飛行場の「県外・海外移設」に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳
米軍普天間飛行場の「県外・海外移設」に関する質問主意書
鳩山新政権による米軍普天間飛行場(以下、普天間飛行場)移設問題の取り扱いは、迷走し、混迷の度を増している感が否めない。文字どおり「世界一危険」だと言われる普天間飛行場の即時閉鎖・返還、県外・海外への移設は沖縄の民意であり、多くの県民が普天間飛行場代替施設としての辺野古への新基地建設に反対している。
その沖縄の民意は、去る八月三十日の衆議院議員総選挙で「辺野古新基地建設反対」を公約に掲げる候補者が、沖縄全選挙区で当選した事実からも明らかである。鳩山新政権は、沖縄の民意と県民の強い意思に照らし、普天間飛行場問題の県外・海外移設による解決を早急に図るべきである。
ところが、最近になって鳩山新政権の関係閣僚等から、普天間飛行場の県外・海外への移設を断念し、辺野古を含む県内移設を容認するかのような発言が続いている。閣内不一致とも取れる発言に、沖縄県民の鳩山新政権への失望と怒りが高まっている。
以下、質問する。
二 政府は、先の衆議院議員総選挙における民主党マニフェスト(政権公約)に「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記してあることをどのように評価し、認識しているのか。前記マニフェストの文言が、普天間飛行場をはじめとする在沖米軍基地のあり方との関連で、具体的にいかなる意味を有するものと認識しているのかと併せて見解を示されたい。
三 鳩山連立政権樹立に向けた民主党、社会民主党、国民新党三党による政策合意(以下、三党連立合意)には、「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記してある。政府は、係る三党連立合意を踏まえ、具体的にどのように「沖縄県民の負担軽減」を図っていくつもりか。普天間飛行場の県外・海外への移設によらず、米軍嘉手納基地への統合案(以下、「嘉手納統合案」)を含む県内移設であっても「沖縄県民の負担軽減」は図られると認識しているのか、見解を明らかにされたい。
四 北澤俊美防衛大臣は、十月二十七日の閣議後記者会見において、普天間飛行場移設の日米合意案(現行計画)について、米海兵隊のグアム移転や同飛行場所属の空中給油機十二機の岩国基地への移転が含まれていることを挙げ、「われわれが(前政権から)引き継いだ合意案が(県外・国外を主張した民主党の)選挙公約を全く満たしていないと認識するのは間違いだ」と述べ、普天間飛行場代替施設としての辺野古新基地建設容認を示唆した。政府は、係る北澤大臣発言が、前記「沖縄ビジョン」や民主党マニフェスト及び先の衆議院議員総選挙で鳩山総理大臣(民主党代表)が沖縄に応援に入った際の発言等と矛盾しているとの認識を有しているか、見解を示されたい。
五 岡田克也外務大臣は、十月二十三日の定例記者会見で普天間飛行場の移設に関し、「県外は事実上、選択肢として考えられない」と述べ、県外移設を断念する考えを表明した。その上で「嘉手納統合案」を示し、「嘉手納しか残された道はない」と発言している。係る岡田大臣の意向表明、発言は、鳩山新政権の統一した見解であるのか。普天間飛行場の県外・海外移設の可能性について、鳩山新政権内でいかなる検証、検討がなされているのかを具体的に明らかにした上で、岡田大臣発言の根拠を示されたい。
六 普天間飛行場の「嘉手納統合案」は、沖縄県民に新たな犠牲を強要し、米軍嘉手納基地、ひいては在沖米軍基地の機能強化に繋がるもので到底容認し得ない。政府は、「嘉手納統合案」について、一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)当時、旧自公政権と米国政府との間でいかなる交渉、協議がなされ、周辺自治体及び住民等がどのような反応を示したと理解しているのか、見解を示されたい。
七 「辺野古新基地建設反対」が沖縄の直近の民意であることに照らし、環境影響評価(いわゆる辺野古アセス)事業費を含む普天間飛行場移設関連事業に係る平成二十一年度予算(以下、普天間移設関連予算)は、即刻執行凍結すべきであり、次年度予算も計上すべきでない。政府は、次年度予算編成の概算要求において、普天間移設関連予算を「仮置き」しているが、同予算の次年度予算案への計上あるいは項目削除の決定時期を明らかにされたい。決定時期を具体的に明言できないのであれば、年内に普天間飛行場移設問題に対する政府方針が決定しない場合の次年度予算案への計上の有無を明らかにされたい。
右質問する。