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平成二十一年十一月六日提出
質問第五八号

普天間飛行場移設問題に関する質問主意書

提出者  高市早苗




普天間飛行場移設問題に関する質問主意書


 普天間飛行場移設問題については、平成八年の橋本首相とモンデール駐日大使との普天間飛行場返還についての合意以降、日本政府と沖縄県知事をはじめとする地元関係者が累次の協議を行った中で、平成十八年、名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部へのV字型滑走路建設で決着したという経緯がある。
 ところが、平成二十一年十月二十九日の参議院本会議で、自由民主党の林芳正議員の質問に対して、鳩山内閣総理大臣は、「これまでの政権で十三年間何も動かなかったじゃないですか」と答弁した。これは、普天間飛行場移設問題の早期解決に向けて血の滲むような努力を続け、移設先と時期について結論を導き出してきた地元関係者や歴代の担当閣僚や政府職員の努力を無視した大変失礼な発言であり、鳩山内閣総理大臣は早急に発言を撤回し、関係者に謝罪するべきであると考える。
 鳩山内閣総理大臣が代表を務める民主党は、平成二十一年八月の総選挙で国民に提示したマニフェストにおいて、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」としている。また、同年九月九日に行われた「連立政権樹立に当たっての政策合意」において、「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」としている。鳩山内閣総理大臣が、マニフェストを「国民との契約事項」と位置付けていることから、これまでの政権が地元との協議の下で取りまとめてきた現行の辺野古移設案を見直す方向で検討するであろうことは、想像に難くない。
 しかしながら、平成二十一年十一月二日の衆議院予算委員会において自由民主党の大島理森委員や町村信孝委員が指摘したとおり、普天間飛行場の移設先については、岡田外務大臣が嘉手納飛行場統合案、北澤防衛大臣が現行の辺野古移設案、福島消費者・少子化担当大臣が党首を務める社会民主党が県外移設案を提唱するなど、閣内不一致の様相を呈しており、閣僚間の意見を調整する立場にある平野官房長官の姿がどこにも見えないほか、鳩山内閣総理大臣も結論を出す時期を明示しないなど、ますます混迷を深めている。米国政府関係者からも鳩山政権の迷走ぶりについて批判が相次ぎ、我が国の外交の機軸である日米関係にも悪影響を及ぼしかねない事態となっていることを深く憂慮するものである。
 右の点を踏まえ、次の事項について質問する。

一 鳩山内閣総理大臣が、平成二十一年十月二十九日の参議院本会議において、「これまでの政権で十三年間何も動かなかったじゃないですか」と答弁したことについて
 @ 鳩山内閣総理大臣は、平成八年以降、政府や地元関係者が血の滲むような努力を続けてきた経緯について、どのように認識しているのか。
 A 鳩山内閣総理大臣は、普天間飛行場移設に係る取り組みについて、平成八年から現在まで「何も動かなかった」と認識しているのか。
 B 鳩山内閣総理大臣の「これまでの政権で十三年間何も動かなかったじゃないですか」という答弁は、これまでの政府や地元関係者の懸命の努力を無視するものであり、公式の場において撤回、謝罪するべきであると考えるが、その予定はあるか。
二 北澤防衛大臣が提唱する辺野古移設案について
 @ 北澤防衛大臣が、現行の辺野古移設案を提唱する理由は何か。
 A 北澤防衛大臣は、民主党のマニフェストを「国民との契約事項」だと考えるか。
 B 仲井眞沖縄県知事が、北澤防衛大臣の現行案への賛同に対して、「いろいろ言わないでもう少しじっくり構えたらと思う。少し判断が早く、軽い感じがする」との発言を行った。この沖縄県知事の発言を、北澤防衛大臣はどのように受け止めているのか。
三 岡田外務大臣が提唱する嘉手納統合案について
 @ 岡田外務大臣が、嘉手納統合案を選択肢の一つとして提唱する理由は何か。
 A 米国政府が、嘉手納統合案を明確に否定する理由は何だと考えているか。
 B 嘉手納統合案の是非を検討するにあたって、米国政府の反対は判断材料になるか。
 C 嘉手納統合案については、沖縄県知事や嘉手納町長や沖縄市長などが反対しているが、その理由は何だと考えているか。
 D 嘉手納統合案の是非を検討するにあたって、沖縄県知事や嘉手納町長や沖縄市長などによる反対は判断材料となるか。
 E 平成二十一年十月二十九日の沖縄タイムスの記事には、政府・与党の幹部が「暫定十五年間の使用期限を付けた上で普天間の機能を嘉手納基地に統合し、将来的には国外への移転を目指すとした政府・与党の素案を嘉手納町に提示していたことが分かった」という旨の記述があるが、これは事実か。
 F 前問の沖縄タイムスの記事が事実だとすれば、これは鳩山政権内の誰の指示によるものなのか。
四 社会民主党が主張する県外移設案について
 @ 福島消費者・少子化担当大臣が党首を務める社会民主党が県外移設を主張しているが、福島消費者・少子化担当大臣は、県外の移設候補地としてどこを考えているのか。
 A その候補地関係者との受け入れ交渉の進捗状況を問う。
 B 仮に、福島消費者・少子化担当大臣が候補地についての具体案もなく、候補地との交渉も行わずに県外移設に言及しているとすると、連立政権の一員として大変無責任であると考えるが、任命権者である鳩山内閣総理大臣はどう考えるか。
 C 沖縄県選出の与党議員で構成する「うるの会」が、平成二十一年十月二十九日、北澤防衛大臣に対して、「硫黄島案」を要望したとのことであるが、この「硫黄島案」について、鳩山内閣総理大臣、岡田外務大臣、北澤防衛大臣、平野官房長官、福島消費者・少子化担当大臣の見解を問う。
 D 県外移設案については米国が明確に否定しているが、その理由は何だと考えるか。
五 普天間飛行場の移設先及び移設時期に関する結論を得る時期等について
 @ 鳩山内閣総理大臣は、平成二十一年十月十六日に、「(来年一月に)名護市の市長選がある。(来年末の)沖縄の知事選までとなるとかなり時間がかかることになるから、その中間くらいで結論が必要になってくる。私はまだ時間があると思っている」と発言しているが、普天間飛行場移設問題の結論を得る時期の判断について、名護市長選挙と沖縄知事選挙の時期を考慮する理由は何か。
 A 名護市長選挙の結果によって、普天間飛行場の移設先決定について、具体的にどのような影響が出ると考えているのか。
六 普天間飛行場の移設先及び移設時期決定に関する判断材料について
 @ 普天間飛行場の移設先を決定する判断材料として、「地政学的判断も含めた日本国の安全保障上のメリット」「日米関係上のメリット」「日本国民の世論」「沖縄県民の世論」「沖縄県以外の移設先の都道府県民の世論」「移設先市町村の首長の判断」「移設先市町村の議会の判断」は、どの順番で優先されるのか。優先される順に並べて回答願いたい。
 A 前問に挙げたものの他に、判断材料として考慮しているものは何か。
 B 平成二十一年十一月二日の衆議院予算委員会で、自由民主党の大島理森委員の質問に対して、鳩山内閣総理大臣は、「普天間問題に対しても日米と沖縄県民のみなさんすべてがわかったと理解できるような形をつくりたい」との答弁を行っているが、「日米と沖縄県民のみなさんすべてがわかったと理解できるような形」とは、具体的にどのような形を考えているのか。
 C 前問に記載した答弁の「日米と沖縄県民のみなさんすべて」の意思は、具体的にどのような方法をもって確認するのか。また、どの時点で確認を行うのか。
 D 毎日新聞と琉球新報社が行った世論調査では、「県外・国外移設」に賛同する回答が六十九・七%、「名護市辺野古移設の現行案」に反対する回答が六十七%を占めるとともに、「県民投票を求める」回答が五十六・七%であったと承知している。この世論調査の結果に関する鳩山内閣総理大臣の見解を問う。
 E 鳩山内閣総理大臣が答弁した「沖縄県民のみなさんすべてがわかったと理解できるような形」を検討するために、県民投票を行う考えはあるのか。
七 名護市が飛行場受け入れ撤回の判断をした場合について
 @ 鳩山政権の迷走ぶりに対して、平成二十一年十一月一日の読売新聞朝刊では、「名護市が受け入れ撤回の方向で検討に入った」と報じられているが、それは事実か。
 A 前問の記事について、事実関係の確認は、いつ、誰が、誰に対して行ったか。
 B 仮に、名護市が飛行場受け入れ撤回の判断をした場合には、普天間飛行場移設先として、名護市は検討対象から外れるのか。
 C 鳩山内閣総理大臣の答弁にあるとおり「日米と沖縄県民のみなさんすべてがわかったと理解できるような形」での決着を目指すとすると、名護市以外の移設先候補地についても、当該市町村の首長や議会や住民が受け入れ拒否を表明した場合には、検討対象から外れるのか。
八 普天間飛行場移設問題と振興策のリンク論について
 @ 前原沖縄担当大臣は、「北部振興策を来年度も基本的に継続させる」とした上で、平成二十一年十月十六日の記者会見において、「基地問題とリンクさせない」との発言を行い、平成二十一年十一月二日の衆議院予算委員会においても、同様の趣旨の答弁を行っている。今後、辺野古移設案が取り止めになったとしても、北部振興策は引き続き推進するという考えか。
 A 前原沖縄担当大臣の振興策と基地問題とリンクさせないとの考え方は、沖縄県限定のものか。それとも、全国の基地所在市町村についても適用されるものなのか。
 B 平成十九年五月、安倍政権時に成立した「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」は、在日米軍の再編により負担の増える市町村を指定し、住民生活の利便性の向上を図るため、防衛省が、再編に向けた措置の進捗状況に応じて、再編交付金を交付することになっている。仮に、沖縄県に限定せず振興策と基地問題をリンクさせないことが鳩山政権の考え方であるとすると、この特別措置法の廃止が必要であると考えるが、見解を問う。
 C 仮に、振興策と基地問題をリンクさせない考え方が沖縄限定のものであるとすれば、特別措置法においては、沖縄を適用除外する措置が必要であると考えるが、見解を問う。

 右質問する。



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