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平成二十二年二月四日提出質問第八二号
奨学金事業に関する質問主意書
提出者 秋葉賢也
奨学金事業に関する質問主意書
我が国の教育分野での公的支出割合はOECD諸国と比べて低位にとどまっており、家計における教育費の負担が大きくなっている。とくに高等教育に対する公的支出はOECD諸国中で最下位である。現在大学進学率は五十%を超えており、高卒者の就職難から今後一層進学率が上昇することも考えられる。今や、国立大学でさえ授業料だけで年間百万円を超え、私立大学では生活費を除いても四年間で一千万円を超えるという調査結果もある。現在、日本で設けられている公的な奨学金事業は、独立行政法人日本学生支援機構による貸与型の奨学金のみであり、その多くは有利子の奨学金である。一方諸外国では、公的な奨学金の中にも給付型のものや無利子のものが多く設けられている。
1 政府は、麻生政権で平成二十一年度第一次補正予算に計上された「奨学金制度の充実」五億七千万円を見直しの対象として、第二次補正予算では五億六百六十万円を減額した。この措置は「家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生・大学生が安心して勉学に打ち込める社会をつくる。」という政策目標と矛盾すると考えられるが、政府の見解および第一次補正予算の措置を見直した理由を明確に示していただきたい。
2 平成二十二年度予算案では、奨学金事業にかかる予算は前年度と同額の千三百九億円となっている。高等学校等就学支援金(仮称)三千九百三十三億円と合わせても約五千二百億円で、マニフェストに掲げた九千億円から比べると大幅に後退している。今後、補正予算において、奨学金の量的充実を図る考えはあるか明示されたい。
二 平成二十二年度予算案では奨学金事業について、「無利子奨学金においては、返還金の増の範囲内で貸与人員を増加(三十四.四万人→三十四.九万人)。新たに、奨学金の支給開始時期を七月から四月に早期化。」と書かれている。
1 この増加幅は約一.五%にとどまっており、「希望者全員が受けられる奨学金制度」には程遠い。今後の貸与人員の増加について、工程を明確にお示しいただきたい。
2 昨今の経済状況に鑑み、今後、給付型の奨学金の導入を図り、充実させていくべきと考えるが、具体的にどのように考えているのか、明示されたい。
三 貸与型の奨学金の返済延滞が増加している。
1 今年から回収が強化されるが、経済的に返済が困難な者に対する措置はとられるのか。
2 回収強化と並んで、大学卒業後の低所得や無業・失業といった不安定な雇用の問題も含めて検討する必要があると考えるが、厚生労働省と文部科学省等で一体的に検討する場は設けられているのか。
右質問する。