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平成二十二年十月一日提出
質問第七号

尖閣諸島沖で我が国の海上保安船に衝突した中国漁船船長の釈放を那覇地方検察庁が決定した件に関する質問主意書

提出者  浅野貴博




尖閣諸島沖で我が国の海上保安船に衝突した中国漁船船長の釈放を那覇地方検察庁が決定した件に関する質問主意書


 本年九月七日、尖閣諸島周辺に侵入した中国漁船が、我が国の海上保安庁巡視船に衝突する事件が起きた。右を受け、同月八日、石垣海上保安部は同漁船の(注)其雄船長を公務執行妨害の容疑で逮捕したものの、同月二十四日、那覇地方検察庁の鈴木亨次席検事は、その(注)船長を処分保留として釈放することを発表した。(注)船長は翌二十五日午前一時半過ぎに釈放され、中国政府のチャーター機で帰国した。右を踏まえ、質問する。

一 検察庁、検察官の使命、その果たすべき職責、また職務権限の範囲について説明されたい。
二 鈴木次席検事は、九月二十四日の記者会見で、「我が国国民への影響と今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した」と述べている。右の鈴木次席検事の発言(以下、「鈴木発言」という。)は、検察庁、検察官としての職責を超え、本来なら外務省等が所掌すべきである我が国の外交に関わる事案についても考慮し、(注)船長の釈放を決めたことが窺い知れるが、今回那覇地検がこの様な決定を下す際、外務省はじめ他府省と何らかの折衝、協議はなされているか。なされているのなら、関係した全ての府省、またそれぞれの担当者の官職氏名を全て明らかにされたい。
三 「鈴木発言」には「我が国国民への影響」とあるが、右は具体的にどの様なことを指しているのか説明されたい。
四 「鈴木発言」には「今後の日中関係を考慮すると」とあるが、右は那覇地検として、今後の日中関係についてどの様なことを考慮したということであるのか説明されたい。
五 そもそも那覇地検、検察庁に、日中関係、ひいては我が国の外交について判断を下す職務権限はなく、我が国の外交は政府、特に外務省が所掌するべきものではないのか。
六 今回の那覇地検による(注)船長釈放につき、柳田稔法務大臣は事前に報告を受けているか。受けているのなら、その日にちを明らかにされたい。
七 今回の那覇地検による(注)船長釈放を、柳田大臣が了承した日にちはいつか。
八 今回の那覇地検による(注)船長釈放を、菅直人内閣総理大臣及び前原誠司外務大臣はいつ、どの様にして知ったか、それぞれ明らかにされたい。
九 (注)船長の釈放を最終的に決定した者は誰か。その者の官職氏名を明らかにされたい。
十 民主党政権は、以前より国政の運営を、官僚主導・官僚依存から政治主導・国民主導へと刷新し、国民の審判を受けた政治家が各府省の運営に名実ともに責任を持つという新たな体制を構築することを目指していたと承知するが、右の方針は、菅直人内閣も踏襲しているか。
十一 (注)船長の釈放につき、仙谷由人内閣官房長官は九月二十四日の記者会見で「那覇地検が捜査を遂げた結果、そういう判断に到達した。それはそれとして了としている」と述べている。また菅総理は、同日ニューヨークにおける記者会見で、「検察当局が事件の性質等を総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」と述べている。しかし一方で、中国側は、今回の件を受け、我が国を強烈に批判し、温家宝首相自らが九月二十三日、国連総会における一般演説で、「領土の保全を含む核心的利益について、中国は決して妥協しない」と述べている。仙谷長官や菅総理の言いぶりは、今回の釈放は那覇地検による決定であり、自分達とは関係がないという様なものだが、日中関係、ひいては我が国の外交に関わる事案につき、一行政機関に過ぎない検察庁、更にはその地方組織に決断をさせるというのは甚だ不適切であり、十で、菅内閣としても政治主導の方針を踏襲しているのなら、菅総理、せめて前原大臣自らが表に出て発表すべきではなかったのか。
十二 九月十四日、当時の岡田克也外務大臣は記者会見で、「これは現時点では公開できませんが、私もビデオを見ましたが、ビデオによっても明らかでありますし、ビデオを見るまでもなく、海保の巡視船に付いた傷を見れば、一つは船尾近くに、もう一つは横っ腹にその傷があるわけで、追突するというのは先頭から追突する以外に考えられないと思いますが、もし海保が追突したということであれば、巡視船の船首に傷があるはずであります。横にあったり、後ろにあったりするのは、海保の巡視船が中国漁船に追突したという議論が全く事実に基づいていないということを示すものだと、これはだれが見てもそうだと思いますが、そういうふうに考えております。」と、衝突時のビデオ映像があり、中国漁船が衝突してきたことは明白である旨述べている。また当時の前原誠司国土交通大臣は、同月十六日、現地に行き、「よなくに」、「みずき」に乗船し、損傷部分を確認し、「日本の国内法に基づき粛々と対応する」と述べ、海上保安庁の正当性を語っている。(注)船長側に非があることを政府として強調しておきながら、那覇地検は同船長を釈放したが、右は当初の政府の対応と著しく矛盾し、何より我が国の国益を大きく損ねるものであり、我が国外交史上稀に見る大失敗、大失態であったと考える。また、重要案件に係る決定を一行政機関である那覇地検に丸投げしたことは、現内閣が十で触れた政治主導を何ら実践できていないことの証左に他ならないと考えるが、菅内閣の見解如何。
十三 柳田大臣として、指揮権を発動し、那覇地検による(注)船長の釈放を撤回させるべきではなかったのか。

 右質問する。



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