答弁本文情報
平成二十二年十月十二日受領答弁第七号
内閣衆質一七六第七号
平成二十二年十月十二日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出尖閣諸島沖で我が国の海上保安船に衝突した中国漁船船長の釈放を那覇地方検察庁が決定した件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出尖閣諸島沖で我が国の海上保安船に衝突した中国漁船船長の釈放を那覇地方検察庁が決定した件に関する質問に対する答弁書
一について
検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)において、検察庁は、検察官の行う事務を統括するところとされ、検察官は、公益の代表者として、同法及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)を含む他の法令がその権限に属させた事務を行うものとされている。
御指摘の事件の被疑者を釈放するとの方針は、検察当局において、法と証拠に基づいて決定されたものと承知しており、当該方針の決定に関して、関係省庁との折衝及び協議が行われたことはない。
御指摘の発表における「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮」するとは、検察当局において、被疑者の身柄を勾留したまま捜査を継続することにより、日中間において、現に生じ、又は今後生じることが予想される様々な状況が日本国民に与える社会的・経済的な影響や、今後の日中両国の関係等を考慮するということと承知している。
検察当局は、法と証拠に基づき、被疑者の身柄拘束を含む刑事事件の処分を判断するに当たって、当該処分をし、又はしないことによる国際関係への影響等についても、犯罪後の情況として考慮することができるものと考える。
法務大臣は、平成二十二年九月二十四日午前十一時五十五分ころ、検察当局において被疑者を釈放するとの方針を決定した後、その公表前に、その旨の報告を受けた。
お尋ねの「了承」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないが、法務大臣は、六についてでお答えした報告を受け、当該方針に異議を差し挟むことはなかった。
内閣総理大臣は、検察当局において被疑者を釈放するとの方針を決定した後の日本時間平成二十二年九月二十四日午後二時ころ、滞在中のニューヨークにおいて、内閣総理大臣秘書官から、当該決定について報告を受けた。
外務大臣は、検察当局において被疑者を釈放するとの方針を決定した後の日本時間平成二十二年九月二十四日午後二時前ころ、滞在中のニューヨークにおいて、外務大臣秘書官から、当該決定について報告を受けた。
お尋ねの「最終的に決定した者」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないが、いずれにせよ、被疑者を釈放するとの方針は、検察当局において決定したものと承知している。
菅内閣においては、「基本方針」(平成二十二年九月十七日閣議決定)等に基づき政治主導の国政運営に取り組んでいる。被疑者を釈放するとの方針は、検察当局が、法と証拠に基づいて適切に判断し、決定した上、発表したものと承知している。
法務大臣は、検察当局において被疑者を釈放するとの方針を決定した後、その公表前に、当該方針及びその理由について説明を受け、これに異議を差し挟むことなく、指揮権を行使しなかったものである。