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平成二十二年十月二十五日提出質問第八九号
自衛隊のソマリア沖海賊対処「新活動拠点」に関する質問主意書
自衛隊のソマリア沖海賊対処「新活動拠点」に関する質問主意書
二〇一〇年七月十七日、防衛省はソマリア沖・アデン湾で海賊対処活動を行っている自衛隊の施設整備に向けた起工式をジブチ国際空港内で行った。防衛省はこれを「新活動拠点」と説明しているが、具体的に整備する施設として報じられているのは、海上自衛隊のP3C哨戒機の駐機場や格納庫、隊舎などであり、まさに「基地」と言うべきものである。自衛隊が戦後初めて、海外に恒久基地を持つ可能性があり、憲法に関わる重大問題である。しかも、このような重大問題について、政府はこれまで、国会と国民に対し、何らまともな説明を行っておらず、このような政府の対応は到底許されるものではない。
自衛隊は二〇〇九年三月から海上自衛隊の護衛艦による民間船舶の護衛を、同年六月からP3C哨戒機による警戒監視、情報収集・提供を行っている。ソマリア沖・アデン湾における海賊問題が深刻化した二〇〇八年以降、各国が軍隊を派遣しているが、海賊事件は広域化し多発しており、何ら解決の見通しは立っていない。国際海事局(IMB)によると、ソマリア沖・アデン湾の海賊事件発生件数は、二〇〇八年の百十一件に対し、二〇〇九年は二百十七件にほぼ倍化し、二〇一〇年も百三十七件に上っている(十月二十一日現在)。軍隊の派遣で海賊問題を解決できないことは明らかである。
政府は、東南アジアで行ってきたように、地域協力の枠組みづくりや現地・周辺国の海上警察力を強化するための技術援助・財政援助、問題の根本にあるソマリアの内戦終結と貧困解決に向けた外交努力と民生支援で積極的役割を果たすべきであり、自衛隊は撤退すべきである。
以下、質問する。
二 「新活動拠点」の土地はジブチ政府から借り受けたと報じられているが、具体的に、いつ、どのような内容で契約を行ったのか。地代及び契約期間、その他契約に関わる条件等を明らかにされたい。
三 「新活動拠点」の施設・区域内における管理権及び事件・事故に関わる裁判権を持つのはどちらの政府か。同施設・区域内にジブチ国内法は適用されるか。
四 現在、自衛隊員はジブチ国際空港内のどこに駐屯し、P3C哨戒機はどこに駐機しているのか。また、その費用は誰にどれだけ支払っているか。
五 現在、ジブチ国際空港を拠点に海賊対処活動を行っている国はどこか。それらの国々は、同空港内のどこに駐屯しているのか。もともと同空港内に基地を持つ米軍及びフランス軍を除き、新たな活動拠点を設けた国はあるか。
六 「新活動拠点」の整備に関し、政府はどのような調査・検討を行い、いつ決定したか。また、国会に対して、いつ、どのような説明を行ったか。
七 政府はいつまで自衛隊による海賊対処活動を継続する方針か。どういう状況になれば、自衛隊を撤退させるのか。
右質問する。