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平成二十二年十二月一日提出
質問第二二七号

北方四島への邦人の入域並びに四島における邦人の経済活動等に関する質問主意書

提出者  浅野貴博




北方四島への邦人の入域並びに四島における邦人の経済活動等に関する質問主意書


一 一九八九年九月十九日、政府は、当時のソビエト連邦のビザ発給を受ける形で北方四島へ入域することを自粛するよう、邦人に要請する閣議了解を決定している。その後も、右了解を基にして、一九九一年十月二十九日、一九九八年四月十七日、一九九九年九月十日にも同趣旨の閣議了解(以下、「閣議了解」という。)を決定している。政府、特に外務省として、「閣議了解」に反し、ソ連、ロシアのビザ発給を受け、邦人が北方四島に入域した事実はないか、正確に把握しているか。鈴木宗男前衆議院議員による同様の質問に対し、過去の答弁書(内閣衆質一七五第二一号)では「外務省としては、邦人がロシア連邦の出入域手続に従って北方四島を訪問するといった事案に関する情報を含め必要な情報の収集を行ってきており、具体的事案が判明する場合には、その都度、申入れを行う等適切に対応してきているが、外務省が行っている情報収集の内容等について具体的にお答えすることは、今後の情報収集等に支障を来すおそれがあることから、差し控えたい。」との答弁がなされているが、外務省が収集した情報の詳細な内容は問わないところ、同省として、邦人が「閣議了解」に反して北方四島に入域した事実に関する詳細を把握しているか否かについてのみ、答弁を求める。
二 現在ロシア政府は、「南クリル社会経済発展計画」に基づいて、毎年猛烈な勢いで北方四島におけるインフラ整備等を進めていると承知する。政府、特に外務省として、同計画開始後、北方四島のインフラ整備状況等、経済状況がどのように変化してきているかを正確に把握しているか。
三 現在北方四島において、ロシアによる実効支配が強化され、四島の「非日本化」が年々進み、我が国のプレゼンスは低下する一方であると考えるが、政府、特に外務省の見解如何。
四 「閣議了解」は既に形骸化しているのではないのか。政府、特に外務省の見解如何。
五 「閣議了解」は、そもそも一九八九年に「北方領土問題は存在しない」というスタンスをとり続けていた旧ソ連時代に決定されたものであるが、ソ連の後継国であるロシアは、北方領土問題の存在を認め、その後様々な声明、諸合意により、北方領土は日ロの係争地域であり、両国が話し合いによってそれに係る問題を解決する旨、両国の最高首脳が合意しており、文書でも明確にそのことが担保されている。このことを鑑みる時、我が国として、ソ連に対するものと同様の認識の「閣議了解」を、今後とも維持し続け、更に頑なに邦人に対して北方四島への入域を自粛することを今後とも求め続ける必要はないのではないか。政府、特に外務省の見解如何。
六 我が国として、五で指摘した、ソ連がロシアになってからの歴史的経緯も踏まえ、「閣議了解」にこだわるのではなく、むしろそれを発展させる意味で、邦人が現在より自由に北方四島に入域できる仕組みを検討するべきであると考える。例えば、一九九八年二月に日ロ間で、北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組みに関する協定、いわゆる安全操業協定が締結されたが、右は日ロ間の係争地域である北方四島の周辺海域において、両国の主権をいわば棚上げにする形で、北海道と北方四島の中間線を「国境」とみなし、日ロの漁民が安全に漁業に従事できるよう取り決めたものであると承知する。このように、海で出来ることを陸でも出来るようにし、邦人が北方四島に自由に入域できる仕組みを作るべきではないのか。そのようにして、北方四島との経済交流等を積極的に進め、四島における我が国のプレゼンスを高め、ロシアによる実効支配強化に対抗し、現実的な四島返還への道筋をつけていくべきではないのか。政府、特に外務省の見解如何。

 右質問する。



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