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平成二十三年四月二十五日提出
質問第一四四号

福島第一原子力発電所事故をめぐる日米協議と連携対応に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




福島第一原子力発電所事故をめぐる日米協議と連携対応に関する質問主意書


 三月十一日に発生した東日本大震災により、福島第一原子力発電所はすべての電源を喪失し冷却機能が失われ、その後の水素爆発により大量の放射性物質が大気中に飛散し、汚染水が海水に流出するなど、きわめて深刻な事態に陥った。住民は原発周辺地域からの長期にわたる避難を余儀なくされ、農業・漁業関係者をはじめ、製造業、観光業など広範な業種の関係者が出荷停止や風評被害に苦しめられるなど、今回の原発事故が国民生活に与えた影響は甚大である。原子力発電所の「安全神話」にしがみつき、このような事態を招いた政府と電力会社の責任はきわめて重いと言わなければならない。政府が、内外のあらゆる専門家の知恵と力を総結集して、事態の一刻も早い収束に全力をあげるべきことは当然である。
 一方、米国政府は、震災発生直後から、米原子力専門家を日本国内に派遣し、偵察衛星や無人偵察機による情報収集を行い、米国民に対する福島第一原発から半径五十マイル(約八十キロメートル)圏外への退避勧告を発出・維持するなど、独自の対応をすすめてきたことが報じられている。オバマ米大統領は三月十七日、震災発生後二回目となる菅総理との電話会談で、「更なる原子力の専門家の派遣や、中長期的な復興も含めて、あらゆる支援を行う用意がある」と発言し、菅総理は「米国派遣の原子力専門家と日本側の専門家の間で引き続き緊密に連携していく」と応えている。その後、二十二日には、原発事故への対応に関する日米協議の枠組みがつくられ、それと前後して米原子力専門家が首相官邸内に一時駐在していたことが報じられている。
 今回の原発事故をめぐる日米協議と連携対応について、政府はその全容を明らかにすべきである。
 以下、質問する。

一 在日米国大使館が四月十四日に公表したプレスリリース(「福島第一原子力発電所での日米協力について」。以下「プレスリリース」)は、三月十一日の震災発生直後に米原子力規制委員会(NRC)、エネルギー省、保健福祉省の専門家が来日し、十三日からは原子炉の安全性、保護対策及び国際関係の専門家で構成されるNRCのチームが東京に常駐するなど、さまざまな米政府機関・関係者が日本国内で原発事故への対応に関与していることを明らかにしている。今回の原発事故に関連した米国政府、軍、研究機関、民間企業関係者の派遣滞在状況(期日、目的、役職・氏名、活動場所、活動内容)を明らかにされたい。
二 原発事故への対応に関し、米側は震災発生直後から政府に支援の提供を申し出たのに対し、政府は当初は支援の受け入れに消極的だったものの、ルース駐日米国大使の要請を受け、北澤防衛大臣が三月十七日に防衛省本省でNRC幹部と会談したのを機に、翌十八日、高見澤防衛政策局長の招きで日米両政府関係者による「原子力災害連絡会議」が防衛省内で開かれ、二十二日の日米協議の枠組み発足につながっていったことが報じられている(「毎日新聞」四月二十二日付)。また、十七日のオバマ米大統領との電話会談に続き、菅総理は十九日夜、首相官邸でルース大使と会談し、翌二十日に側近議員に「日米協議の枠組みをつくってほしい」と指示したことが報じられている(「朝日新聞」四月十日付)。二十二日の日米協議の枠組み発足に至る経緯を明らかにされたい。
三 日米協議の枠組みが発足する直前から協議が軌道に乗るまでの間、米原子力工学の専門家一人が官邸内に駐在していたことが報じられているが(「朝日新聞」四月二十一日付)、これは事実か。駐在の期間、目的、役職・氏名、活動内容を明らかにされたい。また、その他の米政府関係者が官邸内に駐在していた事実はあるか。三月十二日以降、ルース大使が枝野官房長官に繰り返し電話をかけ、米原子力専門家を官邸に常駐させ、支援に当たらせることを求めたのに対し、枝野長官は「官邸の中に入るのは勘弁してほしい」と述べたことが報じられている(「読売新聞」四月十日付)。米政府関係者の官邸内駐在をめぐる日米間の協議・調整の経緯を明らかにされたい。
四 日米協議の名称と目的、法的根拠、権限、体制(責任者氏名・役職、日米双方の参加者氏名・役職、個別課題ごとの検討・作業チームの設置状況と各チームの日米双方の責任者氏名・役職)を明らかにされたい。NRCのヤツコ委員長やウォルシュ米太平洋艦隊司令官、ルース大使らが出席したと報じられているが、いつ出席しどのような発言があったか。
五 日米協議の具体的な開催状況と協議内容(期日、場所、参加者、協議テーマと日米双方の発言内容)を明らかにされたい。内閣官房安全保障危機管理室作成の四月十五日付説明資料(「米国原子力規制委員会等との会合概要について」)は、会合内容として、@当該原発の情報共有、A原子炉や使用済み核燃料棒の安定化、放射性物質の拡散防止、放射能汚染水への対応などについて意見交換、B米国からの支援に関する議論をあげているが、具体的にどのような協議が行われたのか。原子炉冷却のための海水から真水への切り替え、格納容器内への窒素ガスの注入、放射性物質を含む汚染水の海への放出、国際原子力事象評価尺度(INES)のレベル7への引き上げ、「水棺方式」の採用、事故収束に向けた工程表の公表などをめぐり、日米間でどのような協議が行われたのか。
六 米軍の無人偵察機グローバルホークが、原発上空での情報収集活動を開始したのはいつか。政府に対し、事前の通報はあったか。同機が収集したどのような情報が、いつから政府内のどの機関にどのような手段で提供され、政府内のどの機関で共有されているのか。偵察衛星、大気収集機「コンスタントフェニックス」など、その他の手段で収集された情報は政府に提供されているのか。
七 「プレスリリース」は、地上及び空中で放射線量を測定する米エネルギー省のチームの派遣、米空軍のヘリコプター二機及び航空機一機の毎日の飛行による地表汚染状況の記録と対応・復旧活動の支援について言及しているが、具体的な活動内容を明らかにされたい。こうした活動は日本政府の事前の了解・調整の下に開始・実施されているか。また、日米の共同モニタリングの優先測定地点を日本の原子力安全委員会と共に決定していることに言及しているが、これは具体的にどのように決定・実施・公表されているのか。
八 「プレスリリース」は、多数の農業用土壌のサンプルを米国内のエネルギー省の研究所に送付し分析していることを明らかにしているが、具体的なサンプルの採取期日、場所、数、目的、送付先、分析結果を明らかにされたい。これは、日本政府の了解の下に行われているのか。
九 「プレスリリース」は、保健福祉省と疾病対策センターの専門家が参加する放射線医療専門家協議タスクフォースが、@放射線被ばくの健康への影響調査、Aヨウ化カリウムの用法に関する議論、B一般の人々に対する情報提供の戦略の検討を日本の専門家と協議していることを明らかにしているが、具体的な協議の目的と内容を明らかにされたい。

 右質問する。



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