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平成二十三年五月二十六日提出質問第二〇六号
米軍嘉手納基地におけるパラシュート降下訓練に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳
米軍嘉手納基地におけるパラシュート降下訓練に関する質問主意書
去る五月二十日、米軍嘉手納基地を運用する第十八航空団の救難隊員二十七人が、政府、沖縄県、地元自治体などへの事前通告もないまま、同基地内でパラシュート降下訓練を実施した。米軍普天間飛行場の「嘉手納統合案」がにわかに再浮上し、地元自治体、周辺住民の反発が強まっている中での訓練強行に強い怒りを隠せない。
嘉手納基地におけるパラシュート降下訓練は、今年二月にも沖縄県や地元自治体の再三再四にわたる中止要請を無視する形で強行されたばかりである。同基地での訓練頻度が右肩上がりである実態を鑑みるに、米軍は「既成事実を積み重ねることで、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を恒常化させるつもりではないか」と疑わざるを得ない。
そもそも、パラシュート降下訓練は、一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)で読谷補助飛行場から伊江島飛行場への移転が日米間で合意されている。米軍側は嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を強行する度に「例外的な措置」と釈明・弁解するが、そのような言い訳を信じる沖縄県民は、いまや一人もいないことを日米両政府は理解すべきである。
以下、質問する。
二 一について、米側から通告を受けていないのであれば、無通告での訓練強行に政府として米側に抗議をしたのか。その日時、抗議先、内容等を含めて明らかにされたい。
三 政府は、米軍が嘉手納基地で訓練を実施した理由および無通告で訓練を実施した理由について、米側からいかなる回答(照会結果)を得ているのか、詳細を明らかにされたい。
四 政府は、訓練に関して、米軍が発出した声明文「STATEMENT(Friday)」(以下、声明文という)の存在を承知しているか、明らかにされたい。
五 声明文は、訓練実施について「伊江島(補助飛行場)における天候が要因ではなかった」とする一方で、「例外的な措置」としている。天候不良以外の「例外」とはいかなる場合を指すのか、嘉手納基地で訓練を実施せざるを得ないと政府が認める具体例を全て明らかにしたうえで、「例外」の根拠を示されたい。
六 度重なる嘉手納基地における訓練は、もはや「例外的な措置」とは呼べないと考えるが、政府の見解を示されたい。
七 声明文は「嘉手納基地は、日本政府に了承された(パラシュート)降下地帯」としているが、政府はいつ、いかなる日米協議を経て、「了承」に至ったのか詳細を明らかにされたい。
八 去る五月二十五日、嘉手納基地第十八運用群のデービッド・ナホーム司令官は、地元自治体首長らの抗議の席上、訓練を事前通告しなかったことに対し、「飛行訓練も事前通告はしていないので必要ない」との認識を示したという。一方で五月二十日、嘉手納基地司令官のウィルスバック准将は同首長らに対し、「全ての訓練を日本側に通告するわけではない」との見解を示したとのことである。在沖米軍がパラシュート降下訓練を実施する場合、日本側への事前通告が義務づけられているのか否かについて、その法的根拠を含めて明らかにされたい。なお、同訓練実施に関し、伊江島補助飛行場とその他の米軍施設内で、事前通告の必要の有無が異なるのであれば、その法的根拠まで示されたい。
九 八について、事前通告なしでの訓練実施が日米間の合意違反に該当するのであれば、米側に抗議のうえ、事前通告の徹底を申し入れるべきと考えるが、政府にその意思はあるか、態度を明らかにされたい。
十 米軍のパラシュート降下訓練に係る一九九六年のSACO合意を見直し、伊江島補助飛行場で確実に実施するための具体的な方策を日米間で協議すべきと考えるが、政府にその意思はあるか、態度を明らかにされたい。
右質問する。