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平成二十四年二月二十四日提出
質問第一〇〇号

原子力損害賠償紛争審査会指針の賠償対象区域に関する再質問主意書

提出者  秋葉賢也




原子力損害賠償紛争審査会指針の賠償対象区域に関する再質問主意書


 前回私が提出した質問主意書(平成二十四年二月六日提出質問第四九号)に対する答弁書は極めて不誠実で、要領を得ず、誠に遺憾である。私は地元住民の方々の切実なる実情を詳しく申し上げた上で三問を個別に質問したが、答弁は、ひとまとめにしたうえ、質問の前提として重々承知している自主的避難等対象区域の設定基準に触れるのみで、何ら回答になっていない内容である。国民の負託を受けた国会議員が、国民のために誠意ある政府の対応を求めたのに対して、このような答弁は到底納得できるものではなく、国民に対する説明責任を政府は果たしているとは、到底、言い難い。よって、敢えて再度同内容の質問をするので、誠意をもって一問ごとに個別に詳しい答弁を求める。
 原子力損害賠償紛争審査会の指針において賠償対象として具体的に明記されるか否かは、原子力被害の適切な賠償を受ける上で極めて重大な違いが生じる。被害者が迅速、公平かつ適切に賠償を受けるためには、指針によって自動的に賠償手続が進む必要がある。現時点では、指針の賠償対象区域に入らなかった多くの被害者が、原子力被害に加えて、賠償請求を巡って苦労するという「二重の被害」に遭っている。政府は紛争審査会に指針の作成を委任しているが、最終的な責任は政府にあり、具体的には文部科学大臣が状況に応じて賠償対象区域を大局的に判断すべきである。以下、宮城県伊具郡丸森町と亘理郡山元町を賠償対象区域に入れなかったことの問題点について質問する。

一 紛争審査会は、「発電所からの距離、避難指示等対象区域との近接性、政府等から公表された放射線量に関する情報、自主的避難の状況等を総合的に勘案して」賠償対象区域を決めたとしている。しかし、実態は、県という行政区域で画一的に賠償対象区域を区切っている。宮城県南部の中でも、特に、宮城県伊具郡丸森町と亘理郡山元町については、原発からの距離、方角、放射線量のいずれについても、賠償対象区域に指定された福島県内の市町村と同等以上の実情であるにもかかわらず、不合理にも賠償対象区域に含まれていない。福島原発事故の発生から既に約十一か月が経過するにもかかわらず、紛争審査会が、宮城県伊具郡丸森町と亘理郡山元町を賠償対象区域に入れなかった客観的理由、科学的理由は何か明らかにされたい。
二 紛争審査会の指針において賠償対象であることが具体的に明記されなければ、被害者が東京電力から原子力被害の適切な賠償を受けることは極めて困難である。紛争審査会には、福島県以外の地域における自主的避難者などの原子力被害者に対する賠償が迅速、公平かつ適正に行われるよう、常に賠償対象区域の見直しを行う責務があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 紛争審査会は、原子力損害の賠償に関する法律第十八条に基づき、「原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介及び当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針の策定に係る事務を行わせるため」に文部科学省に置かれているものであるが、現在の指針は、宮城県伊具郡丸森町と亘理郡山元町の原子力被害者にとっては自主的な解決に資する指針とはなっておらず、宮城県、福島県の多くの関係者から、「判断基準に照らせば賠償対象区域とされるべきである」など、様々な指摘、批判が顕在化している。原子力損害賠償制度を所管する文部科学大臣は自ら考え方を示すなどして、紛争審査会に対し賠償対象区域の追加を行わせるなど、然るべき対応をとるべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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