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平成二十四年三月一日提出
質問第一一〇号

三菱電機の過大請求と次期戦闘機調達に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




三菱電機の過大請求と次期戦闘機調達に関する質問主意書


 自衛隊の装備品や情報収集衛星(スパイ衛星)の調達や開発・製造をめぐって、三菱電機は既に分かっているだけでも防衛省、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、情報通信研究機構(NICT)に対し、契約をまたいで工数を付け替える方法により過大請求を行っていることが明らかになっている。さらに二月二十四日には、三菱電機に加え子会社の「三菱プレシジョン」、「三菱電機特機システム」、「三菱スペース・ソフトウエア」、関連会社の「太洋無線」も防衛省に対し、過大請求を行っていたことが明らかとなり、防衛省は三菱電機に加えこれら四社に対しても指名停止の措置をとっている。自衛隊の装備品や宇宙開発分野を舞台に、親会社の三菱電機にとどまらず子会社等を含め国に対し過大請求が行われていたことは、三菱電機グループ全体の組織ぐるみの水増し請求工作を疑わせるものである。
 よって、次のとおり質問する。なお、金額は円単位で表記し、元号は使わず西暦のみで答えられたい。

(一) 三菱電機と、今回過大請求が判明した四社から過大請求があったことについて、防衛省、内閣衛星情報センター、JAXA、NICTは、それぞれいつ頃から、どのような経緯を経て知るに至ったのか明らかにされたい。
(二) 三菱プレシジョン、三菱電機特機システム、三菱スペース・ソフトウエア、太洋無線はそれぞれのプレスリリースの中で、防衛省との契約において過大請求をしていることを述べているが、これら四社は防衛省の装備品以外に内閣衛星情報センターが運用する情報収集衛星に関する業務を受注していないのか。受注しているとすれば、受注金額はいくらで、内閣衛星情報センターは四社を過大請求の調査対象とはしないのか。
 また、同様に右の四社はJAXAとNICTの業務を受注していないのか。受注しているとすれば、受注金額はいくらで、JAXAとNICTは四社を過大請求の調査対象とはしないのか。
(三) 既に過大請求額が判明し返還が行われた事案以外で、自衛隊の装備品や情報収集衛星、その他の宇宙開発関連の契約において、防衛省を始めその他の省庁や独立行政法人に対し、過大請求など「不適切な請求」が判明しているのは、現時点で三菱電機と右の四社以外にはない状況か。
(四) 二〇一二年二月十六日提出の質問主意書に対する答弁書((内閣衆質一八〇第七六号)以下、前回答弁書と略)において「内閣衛星情報センター及び防衛省においては、情報収集衛星の開発等や自衛隊の装備品の調達を行うに当たり、やむを得ない事由があると認められる場合には、三菱電機を随意契約の相手方とすることができる」とし、「やむを得ない事由」について、「三菱電機以外の者によって事業を実施することが困難である等、指名停止期間中の三菱電機を随意契約の相手方とする十分な理由があり、かつ、その随意契約を指名停止期間中に締結しなければならない場合等」と例示している。
 二〇一二年二月一日提出の質問主意書に対する答弁書((内閣衆質一八〇第二八号)以下、前々回答弁書と略)において、「三菱電機については、原則として随意契約の相手方とはしないこととしていることから、指名停止の措置及び競争参加資格の停止の措置は、実効性のある措置である」としている。前回答弁書においては、「契約の相手方が業務の一部を指名停止期間中の三菱電機に請け負わせることについては、やむを得ない事由があると認められる場合を除き、承認しない」としている。
 しかし、これでは「やむを得ない事由」と認めさえすれば、三菱電機と他四社は防衛省等と随意契約により直接業務を請け負うことができ、また再委託の形であれば業務を請け負うことができる。これでは今回の指名停止は「実効性のある措置」とはいえないのではないか。
(五) 政府は二〇一一年度第四次補正予算により予算を増額して、当初は来年度の予定であった情報収集衛星の開発を前倒しで行うことにした。三菱電機が現在履行中のもので、今後随意契約により契約変更を行うものは何件あり、それとは別に来年度予算分で新たに随意契約を結んで行うものはそれぞれ何件ほどあるか。
 また、右の契約はすべて「やむを得ない事由」によるものなのか。「やむを得ない事由」に該当しないので、三菱電機には請け負わせないものは何件ほどになる見通しか。
(六) 前回答弁書において、「当該事業の中には三菱電機が実施しているものがあるが、仮にこれらの事業の前倒しを行わない場合には、外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等の対応等の危機管理のために必要な情報の収集に支障を来すおそれがあるため、前倒しを行う必要がある」と示されているが、「外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等の対応等の危機管理のために必要な情報の収集に支障を来すおそれがある」ことを、「やむを得ない事由」といつ誰が認め、認めた理由は具体的に何か明らかにされたい。
 また、三菱電機が指名停止等の措置を受けている間も、「外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等の対応等の危機管理のために必要な情報の収集に支障を来すおそれがある」ことを「やむを得ない事由」と認めて、三菱電機を情報収集衛星の開発・製造に関わらせるのか。
(七) 防衛省が三菱電機と契約して調達した装備品の中には一般競争入札によるものもあるが、防衛省が提出した資料によれば、一般競争入札を行っても「競争に付しても入札者がいないとき、又は、再度の入札をしても落札者がないとき」や「予定価格の制限に達した者がいないことにより再度入札を行ったが、落札者がいなかったため」という理由で、結果的に三菱電機を発注相手にして随意契約によって契約しているものが数多くある。中には一般競争入札を行っても応札した会社がなかったので、三菱電機を発注相手に決め、随意契約により契約をしたものさえあるが、一般競争入札において応札者がいなかったのに、なぜ三菱電機を発注相手として決定し、契約することができたのか。
(八) 右に指摘したような結果になるのは、実際には三菱電機しか当該業務を請け負うことができないことが最初から分かっているからではないのか。なぜ、一般競争入札を行っているのか。表向きに「一般競争入札」を行っていると体裁を取り繕うためか。
 今年度を含め三年間、防衛省と三菱電機との間の契約件数は年度別に何件あり、合計は何件になるか。契約金額は年度別にいくらで、その合計はいくらか。このうち一般競争入札の後、結果的に随意契約となったものは年度別に何件あり、その合計は何件あるか。契約金額は年度別にいくらで、その合計はいくらか。
 また、一般競争入札を行っても応札者がなく、三菱電機を契約相手に決め、随意契約を締結したものは年度別に何件あり、その合計は何件あるか。契約金額は年度別にいくらで、その合計はいくらか。
(九) 防衛省は指名停止措置中の期間であっても、事実上、三菱電機しか当該業務を請け負うことができない装備品の契約は「やむを得ない事由がある」と認めて、三菱電機と随意契約によって装備品を調達するのではないのか。「原則として随意契約の相手方とはしないこととしている」以上、過大請求の調査が終了し過大な支払分の返還が行われるまでは、三菱電機および過大請求が発覚した三菱プレシジョンを始めとする子会社等への発注はやめるべきではないか。
(十) 前回答弁書において、防衛省は「過大請求があった装備品に係る契約の中には、契約の解除を行ったものもある」と示している。契約を解除したものは何で、契約相手と契約金額を示されたい。また、過大請求があったことが判明したにもかかわらず、契約の解除を行わなかったものは何で、その契約相手、金額、契約の解除を行わなかった具体的な理由を示されたい。
(十一) 前々回答弁書において「防衛省に在籍し、退職後引き続き三菱電機に再就職した者」は、「二〇〇〇年七月から現在までに百四十四名」いて、前回答弁書においては「防衛省職員以外の国家公務員であって退職後引き続き三菱電機に再就職したもの」は、法務省の職員等三名であることが示された。退職後に「引き続き」三菱電機に再就職した者の数は防衛省が圧倒的に多い。これは自衛隊の装備品の調達という観点から、防衛省と三菱電機との間に特別に密接な関係があることをうかがわせるものである。
 これまで起きた公共事業の入札談合事件の背景には、工事等の発注先に再就職した元国家公務員の関与があったことがたびたび指摘されている。同じように、防衛省や内閣衛星情報センター等への三菱電機とその子会社等合計五社による過大請求の背景には、防衛省退職者の関与があるのではないのか。
 また、防衛省、内閣衛星情報センター、JAXA、NICTが行っている過大請求に関する事実関係の全容解明の調査では、元防衛省職員の三菱電機等への再就職者の関与も対象に入れるべきだと考えるが、対象にしているのか。入れないとすればその理由は何か。
 さらに、防衛省に在籍し、三菱プレシジョン、三菱電機特機システム、三菱スペース・ソフトウエア、太洋無線に再就職した者は、これまでにそれぞれ何人いて、四社それぞれから何人いると聞いているか。あわせて@氏名、A退職時の官名と職級、B各社再就職時の役職名と職務内容は、それぞれ何で、四社からはそれぞれ何と聞いているか。
(十二) 内閣官房が提出した資料によれば、内閣衛星情報センターが二〇〇一年に発足してから昨年九月一日時点までの同センターへの各省庁からの出向者(併任者を含む)は、のべ六百三十三人である。そのうち防衛省(防衛庁当時含む)からの出向者(同上)は百九十七人で、出向者全体の三割強を占めている。現在までの三人の歴代センター長については、二人が元・防衛省情報本部長、もう一人が元・航空自衛隊航空総隊司令官である。内閣衛星情報センターへの三菱電機他四社からの過大請求には、これら退職者や防衛省からの出向者の関与の可能性は全くないと考えているか。調査の対象としているのか。
(十三) 前回答弁書で三菱電機の社員あるいは元社員で、内閣衛星情報センターに採用され同センターを退職後に三菱電機に再就職した者が十七人、三菱電機退職後に同センターに採用され現在も在籍している者が八人いることが明らかとなったが、これら三菱電機の社員あるいは元社員が今回の過大請求に関与している可能性は全くないと考えているか。調査の対象としているのか。
(十四) 前回答弁書で「弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイル」(SM3ブロック2A)の日米共同開発事業に三菱電機も参画していることが示されたが、三菱電機はどの部分を受け持っているのか。
(十五) 防衛省が四機で三百五十九億円の予算を要求し、来年度導入を計画している次期戦闘機F35について、報道によれば一機当たりの価格は初年度調達分の約九十九億円から約百二十二億円に跳ね上がっているという。さらに、防衛省の徳地秀士経理装備局長は米国のケンダル国防次官代行宛に「現時点で値上げされた場合に調達を中止する可能性は否定できない」「日本企業による機体とエンジンの組み立て、部品製造について早期の実現を要請」等の内容の書簡を送っているという。一機当たり約九十九億円、四機で三百五十九億円の予算の積算根拠は何で、それがなぜ一機当たり約百二十二億円に増えたのか。また、経理装備局長が米国に送った書簡の内容をすべて詳らかにされたい。
(十六) F35の生産には三菱電機も参画していると聞くが、どの部分を受け持つことになるのか。

 右質問する。



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