質問本文情報
平成二十四年十月二十九日提出質問第一〇号
特別秘密の管理に関する質問主意書
提出者 塩川鉄也
特別秘密の管理に関する質問主意書
政府は、二〇〇七年八月、「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」を決定し、「国の行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したもの」を「特別管理秘密」として特別な管理を行うことを決定した。その特別な管理として「秘密取扱者適格性確認制度」などの導入も同時に決定されている。しかし、「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」自体、全文が公表されていないなど、国民に十分な説明がなされないまま新たな秘密管理制度が導入され、今日まで実行されてきている。政府は、改めてこれらの制度の内容及び運用実態について国民に説明するべきである。
二 特別管理秘密の指定事項数について、府省庁ごとに明らかにされたい。
三 特別管理秘密文書等の件数について、府省庁ごとに明らかにされたい。
四 内閣官房、警察庁、宮内庁、公安調査庁、外務省、防衛省、経済産業省が管理する特別管理秘密の指定事項について、その名称を明らかにされたい。
五 「秘密取扱者適格性確認制度」についての規定を定め、実施している府省庁はどこか明らかにされたい。
六 「秘密取扱者適格性確認制度」について、秘密取扱者として適格性を確認された者は何人いるか明らかにされたい。
七 防衛省、金融庁、消費者庁、公正取引委員会について、秘密取扱者として適格性を確認された者は、それぞれ何人いるか明らかにされたい。
八 消費者庁の「秘密取扱者適格性確認制度実施規程」では、消費者庁の職員の適格性の確認及びクリアランス手続は、次長が行うこととされている。消費者庁長官及び次長自身の適格性の確認及びクリアランス手続は誰が行っているのか。あるいは行っていないのか明らかにされたい。
九 「カウンターインテリジェンスの機能強化に関する基本方針」では、「ウ クリアランス手続を行う際の配意事項」では、「調査の目的と関係のない質問を行わない等プライバシーの保護への配慮を尽くさなければならない」としているが、そもそも、クリアランス手続は、本人の同意を得て行っているのか明らかにされたい。
十 「秘密保全法のための法制の在り方に関する有識者会議報告書(二〇一一年八月八日)」(以下、「報告書」という)では、「適正評価制度」において、対象本人の調査に加え、「配偶者のように対象の身近にあって対象者の行動に影響を与え得る者についても、諸外国と同様に、人定事項、信用状態や外国への渡航歴等の事項を調査することも考えられる」としている。各府省庁が行っている現行の「秘密取扱者適格性確認制度」では、対象本人の配偶者は、人事管理情報等による調査など調査の対象となっているのか明らかにされたい。
十一 「報告書」では、「適正評価制度」において、現行の「秘密取扱者適格性確認制度」について、「対象本人から十分に情報が得られない場合に、適正評価の実施権者(対象者が適性を有していると認める権限がある者をいう。)が公私の団体に照会する権限が明確でないこと」などを課題としている。例えば、消費者庁の「秘密取扱者適格性確認制度実施規程」第七条では、「ガイドラインU1(1)の人事管理情報等による調査は、調査対象職員に係る人事記録、勤務評定記録書その他次長が定める種類の資料を参照すること及びガイドラインU1(1)アただし書の照会を行うことにより行うものとする」とされていると承知している。各府省庁が行っている現行の「秘密取扱者適格性確認制度」では、「対象本人から十分に情報が得られない場合に」適正評価の実施権者は、公私の団体等に照会する規定となっているのか明らかにされたい。
十二 「報告書」は、「適正評価制度」の「第三者に対する照会等」において、「第三者に対する照会等については、個人情報の保護に配慮する観点や照会先の公私の団体が照会に協力しやすい環境を整備する観点から、慎重を期すため、対象者本人から同意を得て行うことが適当である」としている。各府省庁が行っている現行の「秘密取扱者適格性確認制度」では、第三者に対する照会では、対象者本人からの同意を得て行っているのか明らかにされたい。
十三 「秘密取扱者適格性確認制度」のように国家公務員の特定の能力や適性、適格性を確認する制度において、本人の同意を得ずに行っている、あるいは、必ずしも本人の同意を得ずに行っている制度があれば、挙げられたい。
十四 「報告書」は、「適正評価制度」において、「適性評価の実施に当たっては、様々な個人情報を取得し、利用する必要があることに鑑み、調査事項を法令上明示し、いかなる個人情報が取り扱われることとなるのかを明らかにすることが、適性評価制度への国民の理解を得る観点から適当である」としている。現行の「秘密取扱者適格性確認制度」では、その制度を規定している「カウンターインテリジェンスの機能強化に関する基本方針」の一部が非公開とされ、調査事項は、国民に示されていない。「報告書」の記述に照らしても、現行の「秘密取扱者適格性確認制度」は、国民の理解が得られるものではない。調査事項を明らかにしないだけではない。本人の同意さえ前提とせず、法律上の根拠もないまま他への照会まで行われている。こうした国家公務員の個人情報調査は到底許されるものではない。ただちに中止すべきである。野田内閣の見解を問う。
右質問する。