質問本文情報
平成二十五年三月四日提出質問第三一号
特別管理秘密及び秘密取扱者適格性確認制度に関する質問主意書
提出者 赤嶺政賢
特別管理秘密及び秘密取扱者適格性確認制度に関する質問主意書
政府は、二〇〇七年八月、「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」を決定し、「国の行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したもの」を「特別管理秘密」として特別な管理を行うことを決定した。その特別な管理として「秘密取扱者適格性確認制度」などの導入も同時に決定されている。しかし、「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」自体、全文が公表されていないなど、国民に十分な説明がなされないまま新たな秘密管理制度が導入され、今日まで実行されてきている。政府は、これらの制度の内容及び運用実態の全容を国民に説明するべきである。
二 特別管理秘密の指定事項数について、府省庁等ごとに明らかにされたい。
三 特別管理秘密文書等の件数について、府省庁等ごとに明らかにされたい。
四 府省庁等が管理する特別管理秘密の指定事項について、その名称を明らかにされたい。
五 府省庁等が管理する特別管理秘密の指定事項について、これまでに、その指定が解除されたものがあれば、府省庁等ごとにその数と名称を明らかにされたい。
六 「内閣官房特別管理秘密管理規程」によれば、「特別管理秘密の指定は、その期間(以下この条において「秘密指定期間」という。)を明らかにして行うものと」され、「秘密指定期間を経過したときは、当該事項に内閣官房に係る特別管理秘密の指定は、解除されたものとする」とされている。内閣官房の規程のように、特別管理秘密の指定について、期間を定めて行っている府省庁等を明らかにされたい。
七 「秘密取扱者適格性確認制度」についての規定を定め、実施している府省庁等はどこか明らかにされたい。
八 「秘密取扱者適格性確認制度」について、秘密取扱者として適格性を確認された者は何人いるか、総数及び府省庁等ごとの人数を明らかにされたい。
九 「秘密保全法のための法制の在り方に関する有識者会議報告書(二〇一一年八月八日)」(以下、「報告書」という)では、「諸外国の適性評価制度」における共通点のひとつとして、「各行政機関の長が実施していること」をあげている。ところが、消費者庁の「秘密取扱者適格性確認制度実施規程」では、消費者庁の職員の適格性の確認及びクリアランス手続は、長官ではなく、次長が行うこととされている。消費者庁と同様に、「各行政機関の長」以外がクリアランス手続を行っている府省庁等があれば、その役職名を明らかにされたい。
十 「報告書」によれば、「諸外国の適性評価制度」における共通点のひとつとして、「評価の結果を本人に通知するとともに、定期的に改めて評価を行っていること」をあげている。「秘密取扱者適格性確認制度」において、適格性を確認した旨、あるいは確認できない旨は、本人に通知されるのか明らかにされたい。本人への通知の有無が府省庁等ごとに異なる場合には、府省庁等ごとに明らかにされたい。
十一 「報告書」によれば、「諸外国の適性評価制度」における共通点のひとつとして、「実施に当たっては本人の同意を得て本人から調査票等により情報収集すること」としている。我が国の「秘密取扱者適格性確認制度」においては、「本人から調査票等により情報収集」を行っているのか。その場合、「本人の同意を得て」行っているのか明らかにされたい。府省庁等において対応が異なる場合には、府省庁等ごとに明らかにされたい。
十二 「報告書」によれば、「諸外国の適性評価制度」における共通点のひとつとして、「実施に当たっては本人の同意を得て本人から調査票等により情報収集することとし、情報の収集・裏付けのために公私の団体に対して渡航履歴等の照会を行っていること」としている。我が国の「秘密取扱者適格性確認制度」において、渡航履歴等の照会を行っている府省庁等があるか。また、外務省は、政府内からの国家公務員の渡航履歴について照会があった場合には、どのように応じているのか。その取扱において、「秘密取扱者適格性確認制度」によるものとそれ以外における照会において相違はあるのか明らかにされたい。
十三 「報告書」によれば、「我が国の現行制度の課題と法制の必要性」において、「対象者本人から十分な情報が得られない場合に、適性評価の実施権者(対象者が適性を有していると認める権限がある者をいう。)が公私の団体に照会する権限が明確でないこと」を課題としてあげている。各府省庁等の「適性評価の実施権者(対象者が適性を有していると認める権限がある者をいう。)」が、「各行政機関の長」以外の場合、その役職名を明らかにされたい。
十四 「報告書」によれば、「我が国の現行制度の課題と法制の必要性」において、「対象者本人から十分な情報が得られない場合に、適性評価の実施権者(対象者が適性を有していると認める権限がある者をいう。)が公私の団体に照会する権限が明確でないこと」を課題としてあげている。答弁書(衆質一八一第三八号)は、「秘密取扱者適格性確認制度実施規程(平成二十一年九月一日消費者庁長官決定)第七条と照会について同様の規定を定めている府省等については、内閣官房、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、金融庁、復興庁、厚生労働省及び原子力規制委員会である。」と答えている。これらの府省庁等の照会規定は、報告書が課題とするとおり、「権限がない」ものと解釈してよいか。答弁書に述べられていない府省庁、例えば、防衛省、警察庁、外務省などは、消費者庁と同様の照会の規定を持っていないようであるが、これらの府省庁等は、「報告書」の言う「公私の団体に照会する」ことをおこなっていないのかどうか明らかにされたい。
十五 「報告書」では、「適性評価制度」において、対象本人の調査に加え、「配偶者のように対象者の身近にあって対象者の行動に影響を与え得る者についても、諸外国と同様に、人定事項、信用状態や外国への渡航歴等の事項を調査することも考えられる」としている。現行の「秘密取扱者適格性確認制度」では、対象本人の配偶者は、調査の対象になっているのか明らかにされたい。府省庁等ごとに異なる場合には、府省庁等ごとに明らかにされたい。
十六 「特別管理秘密」においては、国民の知る権利との関係が問題になり、「秘密取扱者適格性確認制度」においては、国家公務員等の基本的人権との関係が問題となる。現行のこれらの制度について、基本的な事項を質問してきたが、「特別管理秘密」においては、府省庁等が管理する特別管理秘密の指定事項の数や名称、その増減等、「秘密取扱者適格性確認制度」において、適格性の確認された人数やその調査事項などをまず、最低限、政府のホームページ等で定期的に公表するべきではないか。
右質問する。