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平成二十五年六月五日提出
質問第九六号

投票価値の平等及び区割り改定法案に関する質問主意書

提出者  岡田克也




投票価値の平等及び区割り改定法案に関する質問主意書


 選挙区間の投票価値の最大較差が二・三〇四倍となった平成二十一年衆議院総選挙につき、平成二十三年最高裁大法廷判決は「違憲状態」と判示した。これを受けて、昨年十一月にいわゆる緊急是正法が成立し、政府は、同法に基づく衆議院小選挙区区割り改定法案を第百八十三回国会に提出している。しかし、現在係争中の一票の格差違憲訴訟の中で、三つの高裁・高裁支部が「緊急是正法は最高裁大法廷判決の説示に沿った改正とは質的に異なる」などと判示し、緊急是正法及び同法に基づく区割り改定法案について憲法上の疑義が指摘されるに至っている。
 そこで、以下質問する。

一 平成二十三年最高裁大法廷判決は、区画審設置法三条に規定されていた「一人別枠方式」について、「遅くとも平成二十一年総選挙時においては、その立法当時の合理性は失われ、それ自体、憲法の投票価値の平等に反する状態に至っていた」などと判示した。同判決は、最大二・三〇四倍となった投票価値の較差にとどまらず、一人別枠方式そのものが憲法違反であるとの見解を示したものであると認識しているが、政府も同様の認識か。
二 平成二十三年最高裁大法廷判決は、「できるだけ速やかに一人別枠方式を廃止し、区画審設置法三条一項の趣旨に沿って区割規定を改正するなど、投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要がある」とも判示している。区割り改定法案は、同判決に従い、一人別枠方式を廃止したものといえると政府は認識しているのか。
三 平成二十三年最高裁大法廷判決に従って一人別枠方式を廃止し、小選挙区を人口比例で都道府県に配分すれば、定数二百九十五の場合、小選挙区数は〇増五減ではなく十八増二十三減となり、例えば、東京都の小選挙区数は五増、神奈川県は三増、愛知県及び埼玉県は二増となる。しかし、区割り改定法案では、十八増に該当する都道府県は、いずれも現在の小選挙区数のまま据え置かれているが、その理由は何か。実質的に一人別枠方式が残っていると考えるべきではないか。
四 平成二十二年国勢調査では、神奈川県の人口は九百四万八千三百三十一人、大阪府は八百八十六万五千二百四十五人であるが、区割り改定法案では、神奈川県の小選挙区数は十八、大阪府が十九となっており、逆転現象が生じている。これは投票価値の平等に反しているのではないか。
五 同様に、一人別枠方式を廃止し、小選挙区を人口比例で都道府県に配分すれば、定数二百九十五の場合、鳥取県の小選挙区数は一となるところ、区割り改定法案では二となっているが、その理由は何か。実質的に一人別枠方式が残ったままで、その廃止を求めた平成二十三年最高裁大法廷判決の要請を満たしておらず、投票価値の平等に反しているのではないか。
六 平成二十三年最高裁大法廷判決は、衆議院議員は「いずれの地域の選挙区から選出されたかを問わず、全国民を代表して国政に関与することが要請され」ており、「地域性に係る問題のために、殊更にある地域の選挙人と他の地域の選挙人との間に投票価値の不平等を生じさせるだけの合理性があるとはいい難い」と判示している。人口比例に基づかず、鳥取県に小選挙区二を配分している区割り改定法案は、同判決に反しているのではないか。
七 平成二十三年最高裁大法廷判決は、選挙区間の投票価値の最大較差が二・三〇四倍となった平成二十一年総選挙について「違憲状態」と判示したが、同判決は、最大較差が二倍未満であれば憲法が要求する投票価値の平等を満たしているとまで述べたものではないと承知している。政府は、選挙区間の最大較差が二倍未満でさえあれば、小選挙区の配分が人口比例でなくとも、投票価値の平等に反していないと認識しているのか。同様の見解を示した最高裁判決はあるのか。

 右質問する。



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