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平成二十五年十月十七日提出
質問第一四号

雇用分野の国家戦略特区に関する質問主意書

提出者  山井和則




雇用分野の国家戦略特区に関する質問主意書


 政府の産業競争力会議、地域活性化統合本部国家戦略特区ワーキンググループを中心に検討が進められている国家戦略特区については、雇用分野における特区の制度設計等の検討が行われている。
 この国家戦略特区は、政府が進める成長戦略の重要政策として位置づけられており、先の総理の所信表明演説においてもその創設が明言されている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 解雇ルール明確化の具体例を三つ挙げて下さい。
二 ガイドラインにより、解雇に関する今までの判例は変わりますか。
三 今まで判例で解雇が無効であった事例が、ガイドラインにより新たに解雇が有効になる事例はありますか。あるなら例えば、どのような事例ですか。
四 逆に、今まで判例で解雇が有効であった事例が、ガイドラインにより解雇が無効になる事例はありますか。あるなら例えば、どのような事例ですか。
五 そもそも特区では労働契約法十六条は適用外になりますか。
六 適用外になるなら、どのように改正しますか。
七 適用外にならないなら、解雇特区においては法律事項ではないのですか。
八 労働契約法十六条を特区でもし改正しないなら、判例に基づいた解雇に関する判断が特区でも行われるということですか。
九 今までの労働契約法に基づく判例とガイドラインはどちらが特区では優先しますか。
十 解雇ルールの緩和でなく、明確化なら、特区という法改正でなく、過去の解雇関係の判例の事例集を特区で配付すればよいのではないですか。
十一 特区での解雇においては、過去の判例は今まで通り尊重されますか。尊重されるのならば法改正をする必要はないですし、尊重しないなら、新たにどのようなルールで解雇の正当性を判断するのですか。
十二 新しい解雇ルールなら、判例が積み重なるまで、今後、長い年月が必要で、その間、どんな解雇が無効になるのかわからず、使用者も労働者も混乱するのではないですか。
十三 解雇の判断基準となるガイドラインは、誰が策定するのですか。また、労働者の代表はメンバーに入りますか。
十四 週に半分以上、遅刻したら解雇、という労働契約を特区内で労使が結び、それに基づいて解雇することは特区内では許されますか。
十五 毎日遅刻したら解雇、という労働契約は特区内で許されますか。それは誰が判断するのですか。
十六 肝心のガイドラインは国家戦略特区法案の審議までには、明らかになるのですか。
十七 法案審議の際にも、ガイドラインが明らかにならないなら、何が解雇の有効、無効の判断基準かがわからず、今と解雇の判断基準がどう変わるのか、変わらないのかもわからなければ法案審議も行えないのではないでしょうか。
十八 「有期雇用について無期転換放棄契約を結ぶことは公序良俗に反する」との政府答弁が、昨年7月にありますが、今回の提案との整合性はどのように考えますか。
十九 有期雇用について無期契約放棄契約を結ばせる提案は、研究者などを想定されているのかもしれませんが、研究者は全国に存在し、特区だけ条件を変えることは問題ではないですか。
二十 本年十月四日の八田座長配付ペーパーと九月二十日の八田座長ペーパーは書きぶりが変わっていますが、内容に変更はありますか。あるなら、どの部分をどういう理由で変えたのですか。
二十一 十月四日に対象を弁護士や大学院卒に絞る案が提示されましたが、このように限定した理由は何ですか。すべての労働者を対象にするとどのような不都合がありますか。
二十二 二十一のように対象を限定するにあたって、国会戦略特区ワーキングチームは会議をいつ開いて決めましたか。会議を開いていないなら、いつだれが対象の限定を決めましたか。
二十三 今までの国家戦略特区チームの会議で議事録はいつの議事録が公開できますか。
二十四 事前型金銭解決が公序良俗に反するのでガイドラインで規制するとのことですが、事後型の金銭解決は特区では許されるのですか。
二十五 「雇用における特区は、解雇しやすくすること、あるいはしにくくすることを目的とするものではありません」との地域活性化統合事務局の見解が示されましたが、では、解雇ルールを特区にする理由は何ですか。
二十六 特区での指定は事業所単位ですか。それとも会社単位ですか。
二十七 今回の特区では、雇用改革によって何をめざし、どのようなことを達成したいのですか。何社くらい企業が増えて、何人くらいの雇用が増えると見込んでいますか。
二十八 雇用改革をすることによって、特区にはどのようなメリットが生まれると想定していますか。進出企業のメリットと、労働者のメリットについてそれぞれお答えください。
二十九 無期転換放棄契約については、大学等の研究機関の研究員等が想定されているようですが、解雇特区で想定している外国企業の誘致やベンチャー企業の支援にどのような効果があるのですか。
三十 特区の域内と域外で裁判所の判断が変わることになりますか。
三十一 特区の解雇ルールの明確化により、解雇がしにくくなる場合はありますか。あるとすれば、例えば、どのような場合ですか。
三十二 特区の解雇ルールの明確化により、解雇がしやすくなる場合はありますか。あるとすれば、例えば、どのような場合ですか。
三十三 もし、解雇ルールの明確化により、解雇がしやすくなる場合も、解雇がしにくくなる場合もないのであれば、解雇の予測可能性は高まらないのではないでしょうか。また、明確化する意味は何ですか。
三十四 解雇ルールの明確化により、結果的には、解雇は増えると予想していますか。減ると予想していますか。増えるか減るか全く不明ですか。
三十五 無期転換放棄の禁止を強行規定としているのは、使用者と労働者の力関係が対等でなく、労働契約において労働者の真意が反映されない危険性があることに由来します。無期転換放棄を使用者が労働者に強要しないことをどのように担保できるのですか。
三十六 昨年七月に国会答弁で当時の西村副大臣は、無期転換の権利放棄について、公序良俗に反するので無効と答弁しています。この政府見解は今も変わりませんか。
三十七 無期転換の権利放棄はなぜ、公序良俗に反するのですか。
三十八 今回の提案に権利放棄が入っていますが、国家戦略特区ワーキングチームの委員の方々は、この政府見解を知っているのですか。
三十九 政府見解で、公序良俗に反するので無効、となっている無期転換の権利放棄を特区で政府が提案するのは矛盾しませんか。
四十 判例をとりまとめたものと、ガイドラインとで、どちらがどの程度「裁判に寄与する」と考えるのですか。また、その根拠は何ですか。
四十一 ガイドラインのポイントは何ですか。そのポイントが今、示せないということは、遅刻による解雇や事前型の解雇の金銭解決も排除されない可能性があるということですか。もし、それらが排除されるなら、それはガイドラインのどの原則に反するからですか。
四十二 いま聞いている範囲では、ガイドラインでは「公序良俗に反するものは排除する」とのことですが、公序良俗に反するか否かの判断は、誰がどのように行うのですか。その判断基準は、労働契約法十六条とは違うのですか、違わないのですか。もし違うなら、どのように違うのですか。どちらがより解雇はしやすいのですか。解雇のしやすさは変わらないのですか。
四十三 「事前型解雇の金銭解決」については、「単に金銭さえ払えば解雇できるといった内容の契約事項」と限定して排除されるとの回答を地域活性化統合事務局から得ましたが、そのような限定は抜きにして、解雇の金銭による解決は、一切、すべて排除されるのですか。一切、すべては排除されないのですか。
四十四 地域活性化統合事務局から、「基本的には」特区外の支店では、特区の雇用改革は適用しないとのコメントを頂きましたが、「基本的には」は抜きにして、特区外の支店で、特区の雇用改革が適用される可能性はゼロですか。それとも例外としてある特区外でも適用される可能性はありますか。
四十五 今回、弁護士や公認会計士、大学院卒以上に対象が限定されましたが、そのような限定した規制緩和を要望した団体や企業はありますか。もしあるならどの団体、企業ですか。
四十六 特区の対象は、分野別に決めるとのことですが、分野においては、人口で日本の半分以上が対象になる可能性はありますか。5分の1以上になる可能性はありますか。10分の1になる可能性はありますか。それぞれお答えください。もしあるなら、そのような大きな範囲の改革は特区になじまず、全国の制度改革をやるべきではないですか。
四十七 特区の認定は、都道府県単位ですか、市区町村単位ですか。
四十八 特区内と特区外で、同じ解雇案件で、裁判所の有効、無効の判断が異なる可能性はありますか。
四十九 「解雇ルールの明確化により正規雇用が増えることもある」とのことですが、どのようなケースか具体例を挙げてください。
五十 「解雇ルールの明確化により、解雇されにくくなることもある」とのことですが、どのようなケースか具体例をあげてください。
五十一 「ガイドラインは裁判に貢献するものにする」との回答でしたが、ガイドラインにより今までの判例が変わる可能性はありますか。もし変わるとすれば、どのようなガイドラインにより、どのように判例が変わるのですか。
五十二 ガイドラインにより解雇案件の裁判結果、つまり有効、無効が変わる可能性がありますか。
五十三 「今までの判例を尊重する」とのことですが、判例を尊重した上でも、特区では、今までの判例と違う裁判所の判断が出る可能性はありますか。あるとすれば、その理由は何ですか。
五十四 特区においては、労働契約法十六条を改正しますか。
五十五 十六条を改正しないのであれば、特区においても「客観的合理的な理由」のない解雇は無効ですか。
五十六 十六条を改正しないのであれば、特区においても今までの判例は踏襲されますか。
五十七 「判例で無効とされる解雇事例が、ガイドラインで有効になることはない」との地域活性化統合事務局の回答ですが、十六条を改正しないのであれば、ガイドラインにより特区内と特区外で解雇しやすさは全く変わらないのですか。解雇の有効、無効の基準も全く変わらないのですか。
五十八 もし、特区の内外で解雇の基準が変わらないのであれば、特区の意味がないのではないですか。
五十九 もし、特区の内外で解雇の基準が変わるのであれば、上位の法律である十六条は同じなのに、法律より下位のガイドラインにより解雇の基準が変わることはあり得るのですか。
六十 十六条を改正しないなら、解雇の判例の事例集を作成すればよいのであり、特区の意味はないのではないですか。
六十一 もし特区において十六条を改正するなら、どのように改正するのですか。
六十二 十六条を改正するなら、特区と特区外とで解雇しやすさや解雇基準が変わるのですか。それは法の下の平等に反しないのですか。
六十三 もし十六条を改正するなら、特区では判例も変わるのですか。
六十四 もし十六条を改正するなら、特区では「客観的合理的な理由」がない解雇でも無効にならないことがあり得るのですか。
六十五 特区で解雇事案が起こった時には、ガイドラインに沿って有効か無効かは誰が判断するのですか。裁判所ですか、裁判所以外ですか。
六十六 裁判所であれば、十六条が改正されていなければ、今までの判例通りの判決になりますし、十六条が改正されていれば、裁判所は判例でなくガイドラインにより判断するのですか。
六十七 ガイドラインは国会審議の時点では明らかでなく、法律が成立してから策定するとのことですが、裁判を縛るガイドラインが、国会審議も経ず、労政審も経ずに策定されるのは問題ではないですか。
六十八 「無期転換放棄が強要されることは想定していない」との地域活性化統合事務局の見解がありますが、なぜ、想定できないのですか。二十四歳で大学院卒の若者が必ずしも交渉力があり、権利放棄を強要されないとなぜ言い切れるのですか。

 右質問する。



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