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平成二十六年六月十七日提出質問第二二七号
宇宙政策の司令塔機能に関する質問主意書
提出者 古川元久
宇宙政策の司令塔機能に関する質問主意書
宇宙の開発及び利用(以下「宇宙開発利用」という。)は、人類共通の知的資産の拡大、産業の発展、安心・安全で豊かな社会の実現等に貢献する分野であり、国家戦略の一つとして政府をあげて推進すべきものである。米国及び欧州は我が国を遙かに超える予算を宇宙開発利用に投じ続けている。また、中国が宇宙ステーションを構築し、有人宇宙船の打上げを成功させ、インドが火星探査機の打上げを成功させるなど、国力を挙げて宇宙活動への取組を活発化させ、着実に実績を積み重ね、その存在感を高めている。
このような中、我が国が引き続き最先端の科学技術である宇宙分野で世界をリードしていくためには、我が国の強みを最大限活かし、国家戦略としての宇宙開発利用への取組をより一層強化していくことが重要である。
平成二十年の宇宙基本法の制定により、内閣総理大臣を本部長とする宇宙開発戦略本部が内閣に設置され、さらに平成二十四年には司令塔機能の強化として、内閣府に宇宙政策委員会及び宇宙戦略室が設置された。我が国の宇宙開発利用の進展には、これらが適切に機能することが何より重要であり、宇宙基本計画や宇宙関係経費の見積もり方針、さらには宇宙政策委員会の運営のあり方が今後の宇宙政策を左右するものと考える。
右を踏まえ、以下質問する。
(一) 前宇宙基本計画においては「概ね二・五兆円程度が必要」と予算規模が試算されていたのに対し、現宇宙基本計画では具体的な試算が全く示されていないが、その理由を明確に示されたい。
(二) 現宇宙基本計画においては、「宇宙利用の拡大と自律性の確保に向けた取組に必要十分な資源を確保し、宇宙科学に一定規模の資源を充当した上で、宇宙探査や有人宇宙活動等に資源を割り当てる。」とされているが、これは他の事項と比較して、宇宙探査や有人宇宙活動の優先順位が一番劣後するとの趣旨か、政府の見解を問う。
(三) 宇宙開発戦略本部は宇宙基本計画を決定した平成二十五年一月以降開催されていないものの、その役割は宇宙政策委員会によって代替し得るものではないと認識しているが、一年以上も開催されていない理由を示されたい。
二 本年六月三日に「平成二十七年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針(経費の見積り方針)」(以下、「戦略的予算配分方針」という。)が内閣府宇宙戦略室より公表された。
(一) 戦略的予算配分方針の「T.基本認識」において、「内閣府は、毎年度の概算要求に合わせて、宇宙政策委員会の審議を経て、本方針を取りまとめ、関係府省に呈示する」とあるが、内閣府設置法第三十八条によれば、取りまとめ権限は宇宙政策委員会にあり、内閣府はあくまでこれを補佐する立場であると認識しているが、政府の見解を問う。
(二) 戦略的予算配分方針の対象となり、内閣府がとりまとめている宇宙関係予算には、リモートセンシングデータの購入費や防衛省の衛星通信の利用経費などが入っているが、宇宙が関係すれば何でも対象となるのか。例えば、各府省が調達する衛星電話やBS・CS関連機器も対象となるかなど、宇宙関係予算の定義や対象範囲を具体的かつ明確に示されたい。
(三) 平成二十六年四月十六日に開催された宇宙政策委員会宇宙産業部会の議事録によれば、「平成三十年以降のプロジェクトがなければ衛星技術の維持が難しい」など、人工衛星開発の厳しい現状について繰り返し委員より発言があるのに対し、戦略的予算配分方針において具体的な対応が示されていないが、現状の認識及び今後の対応方針について、政府の見解を問う。
右質問する。