衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十六年十月八日提出
質問第一八号

キャンプ・シュワブ沿岸部における海上保安庁の違法で過剰な警備行動等に関する質問主意書

提出者  照屋寛徳




キャンプ・シュワブ沿岸部における海上保安庁の違法で過剰な警備行動等に関する質問主意書


 私のイメージの中における海上保安庁及び海上保安官は、「海の警察」「海のおまわりさん」であった。
 だが、キャンプ・シュワブ沿岸部における米海兵隊のための新基地(以下、辺野古新基地という)建設を前提としたブイ(浮標)とフロート(浮具)の設置やボーリング調査などの関連作業が、政府権力を総動員して強行される中で、そのイメージは大きく瓦解した。
 現在、第十一管区海上保安本部(以下、十一管という)は、明確な法的根拠も示さぬまま、キャンプ・シュワブ沿岸部で「カヌー隊」等による市民らの抗議行動を暴力的に弾圧し、船上における報道機関の取材活動を妨害するなど過剰警備に終始している。
 これら一連の十一管による警備行動は、日本国憲法で保障された表現の自由、報道・取材の自由に基づく正当かつ合法的な市民らの示威行動、報道機関の取材活動を著しく制限するものである。明らかに違法で過剰な警備活動であると断罪せざるを得ない。
 十一管の対応に、私だけでなく、多くの沖縄県民や全国の市民から強い怒りが表明されている。
 今や、「海の警察」「海のおまわりさん」であるはずの「海保」(カイホ)は「海賊」(カイゾク)と化した。
 以下、質問する。

一 海上保安庁は、キャンプ・シュワブ沿岸部に辺野古新基地建設工事のための「臨時制限区域」が設置されて以来、全国の管区海上保安本部から多数の巡視船や巡視艇、エンジン付きゴムボート(以下、ゴムボートという)等を同沿岸部に集結させ、辺野古新基地建設に反対し、抗議活動を展開する市民らによる「カヌー隊」や小型船、報道機関の取材船が立ち入り制限区域を示すフロートに接近しただけで取り締まるという過剰規制を行っている。
 具体的には、十一管が「確保」の名目で「カヌー隊」を暴力的に排除し、何らの違法行為もしていない市民の身柄を拘束し、当該カヌーを一時的に没収する等の取り締まりをしている。さらには、報道機関の取材船に巡視船やゴムボートで急接近し、写真や動画の撮影を妨害する等の悪質極まりない威嚇行為まで繰り返している。
 その挙句、海上保安官が「暴力」を行使して「カヌー隊」の市民を当該カヌーから力尽くで引きずり出し、負傷させる事件まで発生した。被害に遭った市民は、特別公務員暴行陵虐致傷罪(刑法第百九十五条)の容疑で当該海上保安官らを那覇地方検察庁名護支部に刑事告訴し、受理されている。
 いかなる理由で、海上保安庁はかかる市民らの合法的な抗議行動及び報道機関の取材活動を取り締まっているのか。その法的根拠を明確にした上で、過剰規制(警備行動)に対する政府の見解を示されたい。
二 去る八月二十九日、私が十一管を訪ね、高橋博美総括次長に一連の過剰規制(警備行動)の法的根拠を質したところ、高橋次長は「法令については説明を控えさせていただきたい」と繰り返し述べ、無責任極まりない回答に終始した。
 一方で、去る九月五日、参議院議員会館内で社民党福島みずほ参議院議員が主催した院内集会(行政交渉)において、海上保安庁警備救難部警備課の花村幸宏対策官は、一連の過剰規制(警備行動)が海上保安庁法(昭和二十三年四月二十七日法律第二十八号)第二条に定める「その他海上の安全の確保に関する事務」に該当し、同法第十八条第一項を根拠に取り締まっている(花村対策官は「規制措置」あるいは「制止活動」等の文言で表現)旨説明したようだ。
 かかる花村対策官の説明は政府見解と相違ないか、十一管による取り締まり(制止活動)の根拠条文を明示した上で答えられたい。
 なお、法的根拠が海上保安庁法第十八条第一項にあるならば、条文中のどの文言に該当するのか明示した上で、同項一号乃至六号のいかなる措置を講じているのか具体的に明らかにされたい。
 また、海上保安庁作成の平成二十三年一月七日付文書「海上警察権のあり方に関する検討の国土交通大臣基本方針」は、「同条第一項が適用される場合は外形上明らかである」と明記するが、いかなる「外形上」の理由をもって十一管は取り締まり(制止活動)の必要性を判断し、行為に踏み切ったのか、具体的に説明されたい。
三 キャンプ・シュワブ沿岸部に辺野古新基地建設工事のために設置された「臨時制限区域」は、日米地位協定第二条第四項(a)に基づき、日米両政府によって共同使用されていると承知しているが、同区域内に海上保安庁法は適用されるのか、政府の見解を示されたい。
 適用される場合、米兵や軍属またはその家族が同区域内に位置するビーチや沿岸でシュノーケリング等をする姿が現認されているが、海上保安庁法第二条に定める「その他海上の安全の確保に関する事務」の一環として「カヌー隊」の市民らと同様に規制し、取り締まらないのはなぜか、その理由を明らかにされたい。
四 海上保安庁法第四条でいう「海上保安庁の船舶」とは、具体的にどのような船を指すのか、列挙されたい。
 なお、現在キャンプ・シュワブ沿岸部を航行しているゴムボートが「海上保安庁の船舶」に該当しないのであれば、何と規定しているのか説明されたい。
五 海上保安庁法第四条第二項は「海上保安庁の船舶は、(中略)国旗及び海上保安庁の旗を掲げなければならない」と規定しているが、その立法目的を明らかにされたい。
 また、私が現認し、報道(テレビニュースの映像や新聞の掲載写真)を通じて承知する限り、キャンプ・シュワブ沿岸部を航行する海上保安庁の巡視船や巡視艇、ゴムボートは「国旗」や「海上保安庁の旗」を掲げていないが、その理由を明らかにされたい。
六 公道において、いわゆるエンジンと呼ばれる動力機関を搭載しない自転車の運転や歩行者の通行方法を定める道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)のように、海上や河川において、カヌーやカヤック、ボート等を操縦し、航行する場合の操縦資格(運転免許)や航行方法を定める法制度があれば、その名称を示されたい。
七 キャンプ・シュワブ沿岸部から約五百メートルに位置する無人島「長島」内の二か所に「この桟橋・灯台は、海上保安庁の施設です。許可のない使用・立ち入りを禁止します」と書かれた看板を海上保安庁が設置した日付を明らかにされたい。
 また、なぜこれまでなかった看板を設置するに至ったのか、その理由と目的を説明されたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.