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平成二十六年十一月十七日提出
質問第八一号

病院、診療所など医療機関の所有あるいは貸与する当該施設と連接した敷地内に薬局を設置することに関する質問主意書

提出者  柚木道義




病院、診療所など医療機関の所有あるいは貸与する当該施設と連接した敷地内に薬局を設置することに関する質問主意書


 厚生労働省は、これまで病院や診療所などの医療機関と隣接する敷地や当該医療機関が所有する連接した敷地内に薬局を設置する場合には、法律の求める経営上独立していることが利用者に目視でもわかるという趣旨からフェンス等で区切ることを求めてきたと理解するところである。これにつき以下政府の見解をお示し願いたい。

一 あらためて確認をするが、医療機関と経営上の独立が担保されていることは申請書類等にて十分に確認できるにもかかわらず、これまで敢えてフェンス等で敷地を区切ることを求めてきたのはどのような理由からであるかお示しいただきたい。
二 総務省より東京高等裁判所によるアポロメディカルホールディングス訴訟判決に基づき、利用者の「利便性」向上のために一律にフェンスを取り払うようにとの要望があったと承知するところである。しかしながら、総務省の指摘する「利便性」というのは、物理的な「利便性」にしか言及しておらず、厚生労働省がこれまで標榜してきた医薬分業の利点(平成二十三年度厚生労働白書九十八頁)や医薬分業にともない薬局が担うとしていた服用医薬品のチェック機能などを深慮すれば、利用者の健康向上や薬物相互作用や副作用の防止という「便益性」の向上という意味での利便性の向上は考慮されていない。そもそもフェンス等を取り払った敷地内の薬局であれば、病院内に設置されている薬局と機能上は何ら変わりなくなるであろうし、他の医療機関で服用している医薬品のチェックをすることは難しくなると考えられる。また、物理的には便利になったとしても、経営上は独立性が担保されているゆえに、同じ敷地内にある医療機関との連携体制は、他の薬局と何ら変わりないものであり、処方医との親密性については、物理的接近性がもたらす印象とはまったく異なり、他の薬局と何ら変わらない距離感で処方箋を受けていることになる。したがって、利用者である国民は、医療機関との一体性を期待して、フェンス等の区別がない薬局を選択した場合には、医療機関や薬局開設者が企図しない「誤解」をもった状態で、あたかも医療機関内の薬局であるかのような錯覚をもって医薬品の給付を受ける可能性も否定できない。仮に、フェンス等を取り払うというのであれば、このような善意の誤解が生じないようにどのような措置をとるのか政府の見解をお示しいただきたい。
三 仮に、利用者の「利便性」の向上ということを標榜するのであれば、フェンスを取り払った隣接地などではなく、医療機関内に経営的に独立した薬局を開設できるように法改正をしたほうが、より利用者の利便性が向上するのではないかと考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
四 あるいは、病院など医療機関が院内の薬局業務を経営委託するというような形式を認めることによって、院内調剤に戻してもよいのではないかと考える。この場合には、院内調剤となるので、診療報酬上の「処方箋料」や調剤報酬などが別に生じることがなく、利用者である国民は、物理的利便性のみでなく、経済的な恩恵も受けることになる。また、院内に設置され、院内での情報連携もとれることが期待されるので、先に述べた善意の誤解が生じることも最小限にとどめられると考えられるが、「院内における調剤業務の業務委託」について政府の見解をお示しいただきたい。
五 隣接した敷地内における調剤薬局で調剤給付を受けた場合には、利用者である国民は、「処方箋料」と「調剤にかかる調剤報酬」の二つを加算されることになり、病院内で調剤される場合よりも高い負担金を強いられることになる。真に利便性を向上させるというのであれば、少なくともこのような隣接地での調剤については、院内調剤並みの調剤点数にして、利用者の便宜を図るべきと考えるが、政府の見解をお示しいただきたい。
六 先述した平成二十三年度厚生労働白書に示された医薬分業の利点である「複数診療科受診による重複投薬、相互作用の有無の確認」というのは、今般の診療報酬改定にて導入された主治医機能などを担う医療機関では少なくとも医療機関にて相互作用チェックができるという立てつけになっていると考えられる。隣接地に薬局を誘致して、当該薬局から家賃収入や土地売買契約などを通して高額の収入を医療機関が得るくらいであれば、少なくとも主治医機能を標榜している医療機関であるならば、自らが薬局機能を担うべきであると考える。主治医機能を標榜しているにもかかわらず、隣接地に薬局を誘致し、処方箋を発行して、処方箋料を患者たる国民に強いるようであっては、家賃や土地売買契約による副次的な収入を期待した医薬分業でしかなく、患者たる国民は、院内調剤で医薬品を給付されるのとほとんど変わらないのにもかかわらず、病院の収支をあげるために無理やり院外調剤にされ、院内調剤で給付を受けるよりも高い自己負担金を支払うことになる。主治医機能の本旨を考え、少なくとも主治医機能を担う医療機関においては、院内調剤を原則とし、また、やむをえず院外処方箋を発行する場合においては、少なくとも隣接地に薬局を誘致するようなことがないように指導するか、あるいは、院内調剤並みに調剤報酬を調整できるように法令改正を試みるべきであると考えるが政府の見解をお示し願いたい。

 右質問する。



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