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平成二十七年二月五日提出
質問第三一号

ISILによる日本人殺害事件に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




ISILによる日本人殺害事件に関する質問主意書


 イスラム過激派組織ISILによる日本人殺害事件は、極めて卑劣で残虐であり決して許すことのできない行為である。与野党を問わず日本が一体となってテロ対策を強化していく必要がある。その一方で、なぜ日本人殺害事件が起きたのか、政府の対応は他に選択肢がなかったのか、今後、二度とこのような日本人が海外において殺害される事件を起こさないためにも、多角的な、時には批判を恐れない検証が必要である。
 検証にあたっては、ISILが日本人二人を人質に二億ドルの身代金を要求する映像をインターネット上に公開する一月二十日までの日本政府の対応と、一月二十日以降のその後の対応を分けて考える必要がある。
 特に、一月二十日までの間に、なぜISILは二人の日本人を人質に身代金を要求するに至ったのか、日本政府の対応に問題はなかったのか、今後、このような日本人が海外で殺害されるような事件が二度と起きないようにするため、少しでも一助となるべく、次の事項について質問する。

一 平成二十七年一月十七日、日エジプト経済合同委員会会合における安倍総理の中東政策スピーチにおいて、安倍総理は「日本政府は、中東全体を視野に入れ、人道支援、インフラ整備など非軍事の分野で、二十五億ドル相当の支援を実施」することを表明し、「まず私はアンマンで、激動する情勢の最前線に立つヨルダン政府に対し、変わらぬ支援を表明」するとともに、「地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額二億ドル程度、支援をお約束します」と発言している。外務省のホームページ「緊急・人道支援の基本概念」によれば、国際的に人道支援の基本原則は(一)人道原則、(二)公平原則、(三)中立原則、(四)独立原則 が説明されており、(三)では、「いかなる場合にも政治的、人種的、宗教的、思想的な対立において一方の当事者に加担しないこと」、(四)では、「政治的、経済的、軍事的などいかなる立場にも左右されず、自主性を保ちながら人道支援を実施すること」と説明されている。
 @ 「ISILと闘う周辺各国」に二億ドル程度支援するとあるが、これはいわゆる人道支援に当たるのか。
 A 人道支援としながら、「ISILと闘う周辺各国」という表現を用いて一見、人道支援の基本原則である中立原則を担保しないまま、支援することは過去の事例にあったのか。
二 二月二日付け朝日新聞朝刊に、内藤正典同志社大学大学院教授が、「『ISILと闘う周辺各国への支援を約束する』という表現は、二人の人質がいることを考えれば相手を挑発する可能性があり、不用意だったかもしれない。」と安倍総理の中東政策スピーチを評価している。さらに二月三日のNHK番組「時論公論」の中でNHK解説委員の出川展恒氏も、同様に不用意であったと解説している。同様の議論は、複数の中東専門家からメディアを通じて報道されている。
 @ これらの指摘に対して、安倍総理のスピーチについて、どのような評価をするか。
 A 安倍総理が中東を訪問し中東政策スピーチを公表する過程で、政府部内では二人の人質がいることが念頭に議論されたのか。
 B 総理のスピーチ原稿を草稿するにあたっては慎重に言葉を選ぶと思うが、誰がスピーチ原稿を管理する責任を負っているのか。
三 同朝日新聞朝刊に青山弘之東京外国語大学教授は、「国民の関心や理解を深めるため、安倍首相は人道支援について、具体的に何を、どこに、どう届けるのかを明確に示して欲しい」と指摘している。安倍総理は、二月一日の声明で、三項目に「中東への食糧、医療などの人道支援を、更に拡充してまいります。テロと闘う国際社会において、日本としての責任を、毅然として、果たしてまいります」と発表しているが、具体的に何を、どこに、どう届けるのか。
四 二月二日付け読売新聞朝刊に、「『イスラム国』系テロ活発化」と題してISILの関係グループによるテロが活発化している記事が掲載されている。ケニアの米国国際大学のマチャリア・ムネネ教授は「今回の事件で、ボコ・ハラムなどが日本を攻撃対象として意識するようになった可能性がある」と述べている。
 @ ISILの関係グループは日本国内に存在するのか。
 A ISILの関係グループが存在する国を日本政府は把握しているか。また把握している国はどこか。
 B 現在、中東地域で行方不明になっている日本人はいるかどうか把握しているか。

 右質問する。



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