質問本文情報
平成二十七年二月十三日提出質問第六五号
死因究明推進に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
死因究明推進に関する質問主意書
平成二十五年、警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律が施行された。同法律の施行で警察署長の指示により、遺族の事前承諾なく異状死体の解剖が可能になったことは、犯罪死の見逃し防止、公衆衛生の向上にとって大きな進展といえる。しかし、平成二十四年の警視庁資料によると、監察医制度が置かれていない都道府県で、死体取扱数に対する解剖率が五%以下の地域が十六県ある。監察医、解剖医不足の状況は依然解消されておらず、専門性の高い監察医、解剖医の育成が喫緊の課題であることから、次の事項につき質問する。
A 平成二十二年度より、各都道府県に死因究明支援事業の補助金が支出されている。しかし、補助金事業が実施される以前の平成二十一年度が解剖率十・一%、実施後の二十四年度が十一・一%で、解剖率は一%の改善しか見られない。遺族がすすんで死因究明の実施を選択できるよう、解剖に要する費用を公費負担にするべきではないか。各都道府県で解剖に要する費用負担が遺族である自治体数を政府は把握しているか。
B 死因究明推進計画では、政府は死因究明等が高い公益性を有することから、地方に対し、協議する場の設置や施策の検討等を積極的に働きかけるとしている。政府は解剖費を遺族負担ではなく、公費負担とするよう都道府県に働きかけを実施、または検討を行っているのか。
二 平成二十二年度改訂版、文部科学省「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」に、歯科による個人識別が位置づけられた。しかし、歯科法医学講座は各大学の自主的な取り組みで開講されており、平成二十五年時点で歯科法医学講座を設置している大学は二十九学部中八学部である。また、十二ある国公立大学の歯科法医学講座の教員、大学院生は現在〇である。特に東日本大震災以降、歯科所見による身元照合の重要性が見直されていること、平常時から災害に備える必要性に鑑み、法歯学及び災害時における歯科医療の臨床実習を各大学において十分に実施すべきではないか。今後政府として、歯科法医学に関する講座の拡大、国公立大学における教授の拡充をどのように行うのか。
右質問する。