質問本文情報
平成二十七年三月十九日提出質問第一五七号
生活保護世帯の子どものアルバイト収入などに関する質問主意書
提出者 初鹿明博
生活保護世帯の子どものアルバイト収入などに関する質問主意書
高校生だった長女のアルバイト収入を申告せず生活保護費を不正受給したとして、川崎市が約三十二万六千円の返還を求めたのは違法だとして、父親が決定の取り消しを求めた裁判の判決が三月十一日、横浜地裁で出され、父親の請求を認め川崎市の決定を取り消しました。
この長女はアルバイトによって高校の修学旅行費用を捻出したり、大学の受験料に使ったりしており、裁判長は「これを申告せずに生活保護を受けたことを不正だと断じるのは酷だ」と述べております。
生活保護世帯の高校生が学費や進学など将来の自立に向けた費用を貯蓄することを目的にアルバイトしても、それが家計の所得に組み入れられ、保護費を減額されることになってしまうと貯金も出来ず、進学も諦めざるを得なくなる場合が生じ、貧困の連鎖を断ち切ることが出来なくなってしまいます。
また、高校卒業後に就職してしまうとこの子どもの収入によって保護が打ち切られてしまうことになるので、子どもが就職することを望まない親がいると聞いています。また、将来、家を出てひとり暮らしをして自立しようと思っても働いて得た収入が全て家計に組み込まれてしまうと、自立する費用を貯めることも出来ず、結果として子ども達が自立し、貧困状態から抜け出していくことが出来なくなってしまうと考えます。
以上の観点から以下、質問します。
二 高等学校等を卒業して就職した場合に、子どもの収入によって親の生活保護を打ち切られたり、収入認定され親を扶養するために働くだけになり、自立を阻害することにならないように、同居を続ける場合でも一定期間、世帯分離を認める必要があると考えますが政府の見解を伺います。
三 生活保護の不正受給の件数、額を毎年公表していますが、「不正」と聞くと道義的に許されないような悪質なケースを多くの国民が想像していると考えますが、実際には約四十五%が収入の未申告、約二十%が年金の未申告と必ずしも悪意がある場合ばかりではなく、今回のケースのように不正だと断じるのは酷な場合も多くあり、「不正」受給という単語で括るべきではないと考えます。
悪質なケースのみを不正受給とし、本人に悪意のない場合は保護費の「返還数」、「返還額」と言い換える等、国民に過度な悪印象をもたらさない公表の仕方を考えるべきだと考えますが政府の見解を伺います。
右質問する。