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平成二十七年九月九日提出
質問第四一六号

原発再稼働を巡る責任の所在に関する質問主意書

提出者  原口一博




原発再稼働を巡る責任の所在に関する質問主意書


 九州電力は八月十一日、川内原発一号機の再稼働を開始した。しかし、福島第一原発事故の発生以降、いまだ十万人を超える被災者が故郷に帰還できておらず、東電に対する賠償訴訟の原告数が一万人近くに上ることや、検察審査会による東電の経営陣に対する刑事責任の起訴議決に見られるように、事故発生後四年を経てなお、政府・東電においては事故に関する責任が完遂されているとは言い難い状況である。福島第一原発における廃炉作業についても、今に至るも燃料デブリの所在さえ明らかになっておらず、廃炉に向けた中長期ロードマップの廃炉工程も先延ばしされる等、事故処理責任も十分に果たされているとは見受けられない状態である。一昨年九月の我が国における原発の稼働停止以降、国民の節電意識の定着もあり今夏に至るまで電力の供給不足も生じておらず、最近の世論調査を見ても半数以上が再稼働に対して反対の声を挙げている状況の中、今般川内原発が再稼働され、今後さらに原子力規制委員会の適合性審査を経た原発の再稼働が進められようとしている現状を踏まえ、以下の点について伺いたい。

一 原発事故に係る損害賠償責任に関し、現行の原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)では、法律制定時に専門部会(部会長:我妻榮)において賠償措置額を超える損害を国家補償とすべきとの議論があったにも関わらず、事故を発生させた原子力事業者の無過失・無限責任と整理され、国は事業者の損害賠償を援助するにとどまるものとされている。政府では、福島第一原発事故の発生を踏まえ原賠法のスキームの見直しを開始したものと承知しているが、原子力を国策として推進してきた政府の責任に鑑み、また被災者への円滑な賠償と生活再建を果たすためにも、一企業の手に負えない原子力事故に起因する損害の回復は法令上国の責務として位置付けることが必要であると考えられるところ、政府の見直し作業では政府の役割及び責任の在り方についてどのような方向性で議論が進められているのか。併せて、見直しの検討について、当初は関係副大臣等会議で実施していたと承知しているところ、現在における検討の場及びこれを変更した理由、検討期限の明示の有無、検討期限を明示していない場合には結論を出す時期の見通しについても教示されたい。
二 原発の再稼働に関し、政府では、昨年四月に閣議決定したエネルギー基本計画において「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」との方針を示しており、国会審議でも「国の責任で再稼働を進める」(昨年八月七日の衆議院原子力問題調査特別委員会における赤羽経済産業副大臣発言)として、国が再稼働の責任を担う方針が示されていた。これに対し、宮沢経済産業大臣は本年八月四日の会見において、原発再稼働について「政治的判断というものの余地がない制度になって」いると述べ、田中原子力規制委員会委員長も同月五日に「再稼働の判断は、多分、事業者の判断だと思いますよ」と発言している。この点について、宮沢経済産業大臣及び田中委員長の発言は原発再稼働に関する政府の責任についてのこれまでの方針と整合性を欠くものと見受けられるが、今回の発言は従来の政府の方針を変更するものであるのか。併せて、そもそも電力会社の行う原発再稼働に関して、法令上政府の判断ないし意思決定は要件とされているのか、またこれに伴う政府の責任についてはどのように規定されているのかという点について明らかにされたい。
三 現行制度上原発の再稼働に係る政府の責任が存在しないとしても、原子力を国策として推進してきた経緯に鑑みると、一で述べた原子力事故発生時の損害回復と同様、再稼働に関しても政府の権限と責任を法令上規定し、「国が前面に出る」ことを明確にする必要があるものと考えられる。このように原発の再稼働という入口論での判断・責任と、事故発生後の損害回復の責務を政府が一体として果たすものとすることで、はじめて国策としての原子力政策に関する責任を全うできるものと考えるが、この見解について政府はどのように評価するか。

 右質問する。



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