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平成二十七年九月十六日提出質問第四三八号
アニメ・ゲーム等の表現の規制に関する質問主意書
提出者 宮崎岳志
アニメ・ゲーム等の表現の規制に関する質問主意書
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年五月二十六日法律第五十二号)については、前回改正(平成二十六年六月二十五日法律第七十九号)の審議において、創作上の架空の人物(以下「非実在青少年」という。)を題材としたアニメ・ゲーム等を規制の対象にすべきかどうかについて議論された経緯がある。しかし、実在の未成年者を題材とした画像等と同様の趣旨・基準によってアニメ・ゲーム等における表現を規制することは、日本国憲法第二十一条に規定されている表現の自由を侵害するため違憲であると考える。
したがって、次の事項について質問する。
1 非実在青少年を題材とするアニメ・ゲーム等は、権利を侵害される実在のそのものが存在しないことから、実在児童の権利保護という同法の目的そのものが変更されない限り、将来的に同法を改正したとしてもアニメ・ゲーム等を規制することは許されないと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 同法によって非実在青少年を題材とするアニメ・ゲーム等を規制した場合は、憲法第二十一条に反し違憲になると考えるが、政府の見解を示されたい。
二 東京都青少年の健全な育成に関する条例は、第八条第一項第一号において、「著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するもの」を、同第二号において「漫画、アニメーション等で、刑罰法規に触れる性交・性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交・性交類似行為を描いているもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交・性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるもの」を、知事が不健全図書に指定できるとしている。
1 同条例が、すでに第一号で包括的な指定の要件を定めているにもかかわらず、第二号においてことさらに漫画、アニメーション等のみを対象として要件を加えており、漫画、アニメーション等の特定の表現手法への狙い撃ちと言わざるを得ず、日本国憲法第十四条、同第二十一条、同第九十四条または児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律等に違反する可能性が否定できないと考えられるが、政府の見解を示されたい。
2 漫画、アニメーション等においては、その性質上、日本の現行法が適用されない過去、未来、国外、地球外、異次元、異世界等が舞台となる場合が少なくない。それにもかかわらず、東京都条例において日本の現行法を不健全図書の指定基準とすることは失当と考えるが、政府の見解を示されたい。
3 紫式部作「源氏物語」においては主人公の光源氏と養女の紫の上の恋愛を軸に物語が展開されるところであるが、この両人物の関係は、不健全図書の指定基準である「児童福祉法第三十四条第一項第六号」「条例第十八条の六」「民法第七百三十四条から第七百三十六条」の規定にそれぞれ違反するものであり、また同作においては「真木柱」「若菜」の各帖をはじめ作品を通じて刑法第百七十六条から第百七十八条の二に違反する行為が散見される。かつ、同作品を現代人の一般的な感覚でとらえた場合、これらの関係について「賛美又は誇張」している面は否めないところである。従って、当「源氏物語」を漫画化、アニメーション化しようとする場合、その作風によっては不健全図書に指定される可能性は否定できないと考えるが、「源氏物語」を原作とした漫画、アニメーション等が同条例に基づいて不健全図書に指定される可能性が存在するかどうかについて、政府の見解を明らかにされたい。
右質問する。