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平成二十七年九月十六日提出
質問第四四一号

TPP交渉の情報開示に関する質問主意書

提出者  宮崎岳志




TPP交渉の情報開示に関する質問主意書


 TPP交渉をめぐって本年五月、西村康稔内閣府副大臣が協定の条文案を国会議員に開示する考えを示したが、直後に撤回した。
 これについて、甘利明内閣府特命担当大臣は、記者会見において、国会議員への情報開示を行わない理由として、「日本は、条約締結権は内閣にあり、アメリカは議会にあるわけであります。そしてアメリカは情報漏えいに対して刑事罰もあり、上院に至っては、議員資格剥奪という項目まであるわけであります。日本では、とてもそのような立て付けはできないわけでありますから、同じことをせよと言っても、これはもともと憲法上の立て付けが全く違うわけですから、それは不可能であります」と述べた。
 しかし、日本の国会法にも懲罰の規定があり、懲罰の議決を経て除名の宣告を受けた場合、議員の資格を失う。
 また、衆議院規則第二百三十四条の二は「秘密会議の記録中特に秘密を要するものと議院において議決した部分又は議院に提出(提示を含むものとする。次項において同じ。)がされた特定秘密を他に漏らした者に対しては、議長は、これを懲罰事犯として、懲罰委員会に付する。A 秘密会議の記録中特に秘密を要するものと委員会で決議した部分又は委員会に提出がされた特定秘密を他に漏らした者に対しては、委員長は、懲罰事犯として、これを議長に報告し処分を求めなければならない。」と規定している。
 また、同第二百三十五条は「議長又は委員長において懲罰事犯と認めない事件についても、議員は、国会法第百二十一条第三項の規定によつて懲罰の動議を提出することができる。」、同第二百四十五条は「議院の秩序をみだし又は議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、議院は、これを除名することができる。」と定めている。これらは、正式な秘密会議はもちろん、会派間の申し合わせ等で秘密保持を合意したに過ぎない場合であっても、その漏えいを懲罰事犯とすることができるものと解するべきである。
 さらに、辞職勧告決議などは、除名に類する効果を有すると言える。
 これらを考えれば、情報漏えいによって議員が受けるであろう制裁は、日米間で大差があるとは言えず、TPP交渉について米国と同様に議員に対する情報開示を行うべきだと考える。
 したがって、次の事項について質問する。

一 国会議員の秘密保持義務に関して、日米の間にどのような違いがあると考えているか。また、米国議員に日本の国会議員に比べて厳しい保秘義務が課されていると判断する根拠は何か。政府の見解を示されたい。
二 日本国憲法は第七十三条において「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。(中略)二 外交関係を処理すること。三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」と定めている。
 これに対し、米国では合衆国憲法が第二章第二条第二項において「大統領は、上院の助言と承認を得て、条約を締結する権限を有する。」と規定しているほか、大統領は上院の同意に拠らない「条約以外の国際協定」(行政協定)を締結する権限を与えられているとされる。
 両者を比較すれば、両国政府の有する権限の違いは議院内閣制であるか大統領制・連邦制であるかによる程度のものに過ぎず、むしろ全体的に見れば日本の内閣より米大統領の方が外交においては強い権限を有するとも言える。当然、外交における米議会の権限が日本の国会に比べ格段に強いとは到底言うことはできないと考えられる。
 1 米合衆国憲法において条約締結権を有するのは議会ではなく大統領であるにもかかわらず、甘利大臣が「日本は、条約締結権は内閣にあり、アメリカは議会にあるわけであります。」と発言されたのは、いかなる根拠によるものか示されたい。
 2 条約を締結するにあたり、日本と米国では政府の権限、議会の権限にどのような違いがあると認識しているか、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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