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平成二十八年一月十五日提出
質問第五二号

市場拡大再算定の特例並びに中央社会保険医療協議会で議論される巨額な売上高の医薬品に対する特例再算定に関する質問主意書

提出者  鷲尾英一郎




市場拡大再算定の特例並びに中央社会保険医療協議会で議論される巨額な売上高の医薬品に対する特例再算定に関する質問主意書


 市場拡大再算定については、中央社会保険医療協議会の平成七年十一月の建議以降、そのルールが明確化する一方で、再算定が俄かに安易に適用されるようになった。確かに、予想を遥かに超えた売上実績をあげた製薬企業に対して、保険医療という限られた市場において、言わば「お得意様」ともいえる社会保険制度に価格面で値引きなり割引せよという文脈で理解するのであれば、自由経済においては当たり前のことといえなくもない。しかしながら、企業努力によって販売実績が着実かつ堅調に伸長した医薬品の価格を強制的に引き下げているということになれば、この企業努力というものを切り捨てているといえないわけでもなく、医薬品市場における企業の営業努力をそぐことになりかねない。ひいては、日本市場の魅力が減退し、我が国における医薬品開発が後退するやもしれず、安倍政権が標榜する「イノベーションの創造」とはまったくもって逆行した施策であると断じざるを得ない。
 また、現在、中央社会保険医療協議会では、この市場拡大再算定にかかるルールを拡大し、巨額な売上高を占める医薬品について特例的に再算定するような案を検討していると聞く。昨今の医薬品市場を省察し、その売上高が巨額を示すとみゆるのは、単価が高額となっている「C型肝炎治療薬」などが該当すると想像される。しかし、これらの「C型肝炎治療薬」については、これまでの医薬品とは異なり、完治を前提とした医薬品である。完治によって重篤な肝臓疾患への将来罹患リスクを軽減するなど将来的な費用負担を大幅に減少させることが予想されるので、単価としては高額であることは事実であるが、適正な価格が薬価として定められたものと考える。したがって、これまでの治療薬であれば将来にわたって負担していたと考えられるコストや将来リスクの軽減による費用減却効果なども含めた成果が評価された薬価であることを熟慮するのであれば、これらの医薬品が導入初期に巨額な売上高を示すのは当然のことである。完治できなかった疾患を治療できるようになるというイノベーションの果実を将来的に保険医療財政も受けることが予測されるのであるから、巨額な売上を上げたことに対して、ことさらに「高額な売上高である」と揶揄するのは、イノベーションを評価しようとしている安倍政権にあっては矛盾しており、むしろ積極的に評価するベきではないかと考える。長期的視野に立脚した費用対効果への理解が必要な医薬品については、単年度の市場売上高のみで評価することは難しく、現在、中医協で議論しているような拙速かつ安易な特例再算定制度ではなく、将来コストも鑑みた評価を加えた上で再算定対象を絞るベきであると考えるところである。
 以下、このような視点に基づき政府の見解をお示し願いたい。

一 市場拡大再算定について、イノベーション評価に逆行するという業界の声に対しての政府の見解如何。
二 政府の掲げるイノベーション創造のプロセスにおいて、新医薬品や新たな治療法の評価について、我が国の市場が他国に比べて投資対象として魅力的であることを念頭におかれているのかについて政府の見解如何。
三 将来費用を軽減する可能性のある医薬品や治療法について、短期的な視野ではなく長期的な視点でその費用を評価することの是非について政府の見解如何。
四 他方、件の医薬品のごとく単価が高額となっている医薬品については、値引きを百分率でみた場合には平均的であるとみえたとしても、実勢価格上はそもそも値引き幅が大きく、金額的には薬価差益を生み出す可能性が大きいのも事実である。こうした高額な医薬品については、その実勢価格を頻回かつ詳細に把握し、より頻繁に薬価改定することによって、市場実勢価格に近付ける努力をするほうが、中央社会保険医療協議会で議論されている市場拡大再算定の拡大ルールよりも公平なものと考えられる。高額な医薬品などに限り頻回に薬価調査を行い、頻繁な薬価改定を行うことについての政府の見解如何。

 右質問する。



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