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平成二十八年三月十一日提出
質問第一八六号

TPP協定案に関税撤廃の除外規定がないことにより生じる影響等に関する質問主意書

提出者  仲里利信




TPP協定案に関税撤廃の除外規定がないことにより生じる影響等に関する質問主意書


 去る三月八日、政府は、環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、関連十一法の改正事項を提出し、今国会での協定承認と法案成立を目指すことを明らかにした。
 TPPについては、昨年十月の大筋合意の際に、国民や国会に十分な説明や議論を行わないまま、一方的に合意に向けた取り組みを進めたことから、国民の顰蹙を買ったところである。政府は、今回、またしても同様に強引に進めようとしていることに対して、国民から批判や疑問の声が相次いで挙がっている。
 しかも今回は、米国やカナダ等TPP推進国さえ、国内での議論の目途すら立たない中での取り組みであることから、極めて突出した動きとして驚きを持って受け止められており、なぜ日本だけが今国会中の承認を目指さなければならないかという素朴な疑問が巻き上がっている。
 また、農産物重要五項目の関税を守るとした国会決議は、関税の完全撤廃が免れたことからかろうじて遵守された形となっているが、これとてTPP協定案に関税撤廃の除外規定がないことや、安価な輸入肉や糖等に調整金を課して畜産農家やサトウキビ農家の赤字補填を行う経営安定対策や糖価調整対策等の制度の維持が輸入の拡大に伴い危ぶまれていることからすれば、いつ吹っ飛んでもおかしくない状況下にある。
 しかし、政府は、このような疑問や指摘に対して十分対応しようとしていない。このため、農家の不安は依然として解消されていない。また政府の試算に対してもあまりにも恣意的で楽観的すぎるとの指摘や批判が高まっている。さらに、多くの国民から政府はもっと丁寧に議論を積み重ねて、慎重に進めるべきであるとの指摘や批判が相次いでいる。
 そこでお尋ねする。

一 米国やカナダ等TPP推進国においては、国内での議論の目途すら立たない状況であると承知している。なぜTPP推進国さえ国内の議論が進まないのかその理由を明らかにされたい。
二 政府は七月初めまでにTPP協定の承認を目指していると承知しているが、TPP交渉参加国毎に、承認時期の見通しを明らかにされたい。
三 政府が七月初めまでにTPP協定の承認を目指す理由は何か。巷では夏の参議院選挙でのTPPの焦点化を避けたいとの思惑があると噂されているが事実か。
四 政府は昨年十二月に、TPPにより農林水産物の国内生産額は最大二千百億円減少するものの、日本全体の国内総生産(GDP)は約十三兆六千億円拡大するとの試算を公表したと承知している。これに対し巷では極めて恣意的であり、お手盛りで楽観的過ぎるとの批判がある。この批判に対して政府はどう考えるか。
五 去る二月三日の衆議院予算委員会において、福島伸享委員がTPP協定案の中に「関税撤廃のための再協議に関する規定」や「関税撤廃の期間を繰り上げるための協議を求める規定」が存在することを指摘したと承知している。福島伸享委員の指摘のとおりTPP協定案にこの規定二つが存在していることは事実か。この規定二つが条約案に盛り込まれた理由は何か。
六 TPP協定案の中に「関税撤廃のための再協議に関する規定」や「関税撤廃の期間を繰り上げるための協議を求める規定」が存在するならば、協定が発効した後の七年後に他の加盟国から求めがあれば、日本は全ての関税に対し再協議、または期間を繰り上げて再協議しなければならないことになる。そうなると全農産物で関税が撤廃されることになると思われるが、政府の認識と考えはどうか。
七 質問六に関連して、識者は、「関税撤廃のための再協議に関する規定」他一件の規定に基づき、農産物重要五項目の関税も結局、再協議で関税撤廃を前提に協議され、長期的には順次関税撤廃されていくことになると指摘しているが、政府の認識と考えはどうか。
八 TPP協定が発効した後に、畜産農家やサトウキビ農家の赤字補填を行う経営安定対策や糖価調整対策等の現行制度を維持することは可能なのか。そしてそれは政府として保証出来るか。

 右質問する。



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