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平成二十八年三月二十四日提出質問第二一〇号
辺野古代執行訴訟の和解にともなう工事中止等に関する質問主意書
辺野古代執行訴訟の和解にともなう工事中止等に関する質問主意書
辺野古新基地建設をめぐり、昨年十一月十七日に国土交通大臣(以下、国という)が沖縄県知事を被告として福岡高等裁判所那覇支部(以下、福岡高裁那覇支部という)に提起していた「地方自治法(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号)第二百四十五条の八第三項の規定に基づく埋立承認処分取消処分取消命令請求事件」(以下、辺野古代執行訴訟という)は、去る三月四日に裁判上の和解が成立した。
右和解成立によって、沖縄防衛局は、和解条項第二項に基づき、辺野古新基地建設に係る「埋立工事を直ちに中止する」こととなった。
ところが、国は、和解条項第八項に定める「本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う」との主旨に反し、一度の協議も開かれないまま、三月七日に地方自治法第二百四十五条の七第一項に規定する是正の指示を沖縄県に発出した。
右是正の指示を不服として、沖縄県は三月十四日に国地方係争処理委員会に審査を申し出た。その際、沖縄県が、同指示は「当該是正の要求等の内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない」と定めた同法第二百四十九条の規定に反し、違法であると主張したところ、国は三月十六日に同指示を撤回した上で、理由を付して改めて是正の指示を発出し直した。
かかる是正の指示の再発出は、国自ら三月七日発出の是正の指示が法律要件を欠くものであったと認めたに等しい。一連の是正の指示をめぐる不誠実かつ杜撰な国の対応は、「辺野古が唯一の解決策」として恥じない、安倍政権の強引な姿勢を如実に示していると厳しく指弾する。
今や、私を含む圧倒的多数の沖縄県民が、辺野古新基地建設反対の新たな決意を固め、安倍政権による「構造的差別」というべき沖縄への基地負担と犠牲の強要に強い怒りを表明している。
以下、質問する。
ところが、本日現在、ボーリング調査に係る作業に用いるスパット台船や大型台船(以下、作業用台船という)は、未だ米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に設定された「臨時制限区域」(以下、現場海域という)から撤去されていない。
@ 和解条項の主旨に従えば、同条項第五項に定める「地方自治法第二百五十一条の五第一項第一号所定の是正の指示の取消訴訟」の判決確定までボーリング調査をはじめ、辺野古新基地建設に係る工事は一切行うべきではないと考えるが、政府の見解を示されたい。
A 政府は、いつまでに作業用台船を撤去するつもりか、見解を示されたい。
B 作業用台船を撤去せず、賃貸借(傭船)契約も合意解約することなく、当該業者からリースし続ける場合、国庫負担は膨大な金額に上り、税金の無駄遣いとの誹りは免れないと考えるが、政府の見解を示されたい。
二 中谷防衛大臣答弁に反し、和解成立後も米軍キャンプ・シュワブゲート前(以下、ゲート前という)には、警視庁機動隊や沖縄防衛局が雇用契約した民間警備会社の警備員(以下、民間会社警備員という)らが常駐配備されている。
@ 政府は、いつまでにゲート前から警視庁機動隊を撤収させるつもりか、見解を示されたい。
A 政府は、いつまでにゲート前から民間会社警備員を撤収させるつもりか、見解を示されたい。
B ゲート前に警視庁機動隊や民間会社警備員を配備し続けることは、和解条項及び福岡高裁那覇支部が提示した本年一月二十九日付の和解勧告文の主旨に反するものと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 中谷防衛大臣答弁に反し、和解成立後も現場海域には海上保安庁の巡視船及び巡視艇、エンジン付きゴムボート並びに沖縄防衛局の警戒船などが配備されたままであり、浮具(フロート)や油防止膜(オイルフェンス)、浮灯標(ブイ)、それらを固定するために設置したトンブロック(数十トン規模のコンクリートブロック)も撤去されていない。
@ 政府は、いつまでに現場海域から海上保安庁の巡視船及び巡視艇、エンジン付きゴムボートを撤収させるつもりか、見解を示されたい。
A 政府は、いつまでに現場海域から沖縄防衛局の警戒船を撤収させるつもりか、見解を示されたい。
B 政府は、いつまでに現場海域から浮具や油防止膜、浮灯標、それらを固定するために設置したトンブロックを撤去するつもりか、見解を示されたい。
C 現場海域に海上保安庁の船舶やボート、沖縄防衛局の警戒船を配備し続け、浮具や油防止膜、浮灯標、それらを固定するために設置したトンブロックを放置し続けることは、和解条項及び福岡高裁那覇支部が提示した本年一月二十九日付の和解勧告文の主旨に反するものと考えるが、政府の見解を示されたい。
四 和解条項及び福岡高裁那覇支部が提示した本年一月二十九日付の和解勧告文の主旨に則り、沖縄防衛局長は、行政不服審査法に基づく農林水産大臣宛の審査請求(平成二十七年三月二十四日付沖防第一四六一号)並びに執行停止申立て(同第一四六二号)も取り下げるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。
右質問する。