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平成二十八年五月二十三日提出
質問第二八六号

日米原子力協定の効力延長へのアメリカ政府高官の懸念に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




日米原子力協定の効力延長へのアメリカ政府高官の懸念に関する質問主意書


 一九八八年七月に発効した「原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(「本協定」という。)は、二〇一八年七月で有効期間の三十年を迎える。このため、本協定を見直すべきではないかとの議論がはじまっている。
 すなわち、本協定第五条第一項で、「この協定に基づいて移転された核物質及びこの協定に基づいて移転された資材、核物質若しくは設備において使用され又はその使用を通じて生産された特殊核分裂性物質は、両当事国政府が合意する場合には、再処理することができる」と規定され、わが国の使用済み核燃料の再処理の根拠になっているためである。
 米ホワイトハウス国家安全保障会議のウルフソル上級部長(軍縮・不拡散担当)は、平成二十八年五月十八日、ワシントンで共同通信社の単独インタビューに答え、日本の使用済み核燃料再処理を容認した本協定の効力延長について「大きな議論を呼ぶ問題になる可能性がある」と指摘し、日本が核燃料サイクル政策を見直すなら「米国は支持する」と述べている。これは、プルトニウムを大量に生産する日本の再処理事業に対する米政府の懸念を改めて裏付けるものである。共同通信社は、米国内では協定改定を求める意見も出ており、期限前に問題提起する思惑もありそうだと報じている。
 また、ウルフソル上級部長(軍縮・不拡散担当)は、日本の核燃料サイクルは、「高額で、将来に困難をもたらす」と述べ、「使い道もなく、消費のめども立たないプルトニウムを蓄積する核燃サイクル」が地域情勢に与える影響を日本政府と協議してきた。「日本が再処理を継続すれば、他国が追随するのを止められない」とも指摘している。
 かかる報道に関連しつつ、政府の核燃料サイクルの基本方針について疑義があるので、以下質問する。

一 本協定の発効したのは米ソ冷戦末期の一九八八年であり、当時の国際情勢を勘案すれば、西側陣営の一員であった日本において、アメリカの要請によって、核兵器へ転用可能なプルトニウムの管理等の観点で本協定の意義も見出せるが、その後の冷戦終結などの国際情勢の変化を勘案すれば、本協定第五条第一項の当初の意義は失われていると思われる。現在における本協定第五条第一項の意義について、政府の見解を示されたい。
二 ウルフソル上級部長は、「使い道もなく、消費のめども立たないプルトニウムを蓄積する核燃サイクル」が地域情勢に与える影響を日本政府と協議してきたと述べたと報じられているが、日米両政府は日本の核燃料サイクルのあり方について、これまでどのような協議を進めてきたのか、具体的に示されたい。
三 ウルフソル上級部長は、日本の核燃料サイクルは、「高額で、将来に困難をもたらす」との認識を示しているが、政府も日本の核燃料サイクルは「高額で、将来に困難をもたらす」と認識しているのか。政府の見解を示されたい。
四 日本政府が、日本の核燃料サイクルは「高額で、将来に困難をもたらす」ものではないと認識しているとすれば、どのような根拠に基づくのか。具体的に示されたい。
五 通信社に対するインタビューであるとしても、ホワイトハウスの国家安全保障会議の上級部長(軍縮・不拡散担当)が、国際情勢を勘案して、「日本が再処理を継続すれば、他国が追随するのを止められない」との懸念を示していることは、アメリカ政府からのメッセージと受け止めるべきである。政府は本協定とともに、日本の核燃料サイクルの基本方針を見直すべきではないか。政府の見解を示されたい。
六 本協定は、有効期限の六か月前から文書で通告することによって協定を終了させることができるが、この事前通告がなされない限り協定の効力は継続すると承知している。現時点(平成二十八年五月)から逆算すれば、有効期限の六か月前まで約二十か月であり、見直しをするか否かの議論は当然行われるべきである。政府は本協定の見直しを行う意思はあるのか、またそれはどのようなスケジュールで行われるのか、具体的に示されたい。

 右質問する。



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