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平成二十八年八月一日提出
質問第九号

「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」及び「沖縄・地域安全パトロール隊」等の目的や効果、実施状況等に関する質問主意書

提出者  仲里利信




「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」及び「沖縄・地域安全パトロール隊」等の目的や効果、実施状況等に関する質問主意書


 去る六月三日、政府は、沖縄県における女性強姦・殺人・死体遺棄事件等の凶悪事件の発生状況等を踏まえ、沖縄県における安全・安心の確保に係る対策を検討・推進するため、「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」を設立し所要の検討を行った結果、犯罪抑止対策として「沖縄・地域安全パトロール隊」による緊急防犯パトロールを実施するとともに、「安全・安心な環境の整備」として夜道の明るさ確保や犯罪抑止等に配意したまちづくりを行うとのことである。
 しかし、県民は、新たに設けられた対策推進チームや、同チームが打ち出した対策の目的や対象、実施内容、効果等について疑問を抱いている。
 また、最近では、政府が東村高江のヘリパッドの建設工事を強引に進めるため、この「沖縄・地域安全パトロール隊」要員を、反対する住民の監視や規制役に転用していることに対して、県民は何のためのパトロール隊なのか、住民弾圧ではないかと首をかしげている。
 そこで、以下お尋ねする。

一 防犯パトロール体制の強化として打ち出した@沖縄・地域安全パトロール隊とA警察力の充実は、誰を対象に防犯活動を展開するのか、沖縄県民や県外の観光客なのか、それとも在沖米軍人や軍属、その家族なのか、などについて政府の見解を答えられたい。
二 夜道の明るさを確保するため防犯灯を設置するというが、発端となった「うるま市の女性強姦・殺人・死体遺棄事件」では、人通りは少ないものの公道でジョキング中に背後から襲われたのである。よって、本当に防犯のためというならば、沖縄県内の人通りの少ない全ての道路や空き地、施設等をくまなく明るくすべきではないか、なぜ公共施設や防衛施設周辺等という比較的人通りが多く、明るさが一定程度確保されている場所での設置にするのか、などについて政府の見解を答えられたい。
三 防犯カメラは何のために設置するのか、得られた映像や情報は誰が管理し、分析し、保管するのか、個人情報保護の観点からの歯止めをどのように考慮するのか、防犯カメラの設置個所は誰がどのようにして決定するのか、などについて政府の見解を明らかにされたい。
四 その他「安全・安心な環境の整備」として、学校において防犯教育を進めるとか、ICタグ等を活用した防犯対策を行うとのことであるが、犯罪を抑止することが目的であるならば、犯罪者となり得る米軍人や軍属、その家族に対して、基地外への外出を禁止したり、基地外での飲酒を禁止したり、ICタグ等を着用させて行動や所在を明らかにする所在通知システムを義務付けたりすることこそが効果ある犯罪防止策であり、県民が望んでやまない対策であるが、政府が打ち出した対策は本末転倒であると思われる。政府の見解を答えられたい。
五 今回政府が打ち出した対策はいずれも沖縄県民の安全・安心の確保を図るためと位置付けているが、県民の思いや要望とは真逆の考えである。なぜ加害者となり得る米軍人や軍属、その家族はそのままにしておきながら、常に被害者である県民があたかも悪いことをしでかしたように委縮するような対策を講ずるのか、はなはだ疑問である。政府の見解を答えられたい。
六 「沖縄県における犯罪抑止対策推進チーム」が五月二十六日に発足し、同チームが打ち出した対策等の六月三日の決定から既に二カ月弱が経過していることから、打ち出した犯罪抑止対策のこれまでの間の成果や、改善された内容等について、政府の承知するところを明らかにした上で、政府が打ち出した犯罪抑止対策に対して、沖縄県民の思いや要望からかけ離れたものとなっているとか、対症療法でしかなく根本的な解決策になっていないとかいう県民からの根強い批判に対して、政府の見解を答えられたい。
七 政府は、防犯パトロール体制の強化として、「沖縄・地域安全パトロール隊」による防犯パトロールや、警察官とパトカーを増強することによる警察力の充実・強化を図るとしている。しかし、百台規模の車両に乗った非常勤職員が午後十時までの間、巡回することがどの程度の効果を挙げることが出来るのか、また、警察官を百名、パトカーを二十台それぞれ増強することによりどの程度防犯活動に結びつくのか、はなはだ疑問である。よって、政府は、鳴り物入りで挙げた、この「防犯パトロール体制の強化」の成果を具体的に明らかにされたい。
八 今回の犯罪抑止対策の財源として、政府は沖縄振興一括交付金や沖縄振興公共投資交付金、社会資本整備総合交付金等を活用するとしている。しかし、これらの予算は、沖縄の振興に資するための予算であるし、地元負担を伴う予算の使途については県や市町村の要望や判断がまずあるべきである。そうであるのにもかかわらず迷惑を被った沖縄県民が自らの振興のための予算を頭越しに取り上げられて、政府が勝手に使途を決めること自体が本末転倒であると思われる。なぜ、政府が一方的に今回の犯罪抑止対策の財源とすることが出来るのかということについて、政府の見解を答えられたい。
九 沖縄県内の地元紙によれば、「沖縄・地域安全パトロール隊」要員を、東村高江のヘリパッド建設阻止闘争を展開している住民の監視や規制役に転用しているとの報道があるが、報道された内容について政府の承知するところを明らかにされたい。
十 防衛省が平成二十八年六月二十三日付で全国七つの地方防衛局宛に出した「防犯パトロール及び妨害活動に対する本省・地方防衛局職員の派遣について(各地方防衛局への当面の依頼)」の目的や内容、妨害活動の具体的な定義と対象者等について、政府の承知するところを明らかにされたい。
十一 沖縄・地域安全パトロール隊の設置及び活動の目的がその名前のとおり「沖縄県における犯罪抑止対策」であるならば、「防犯パトロール」を行うとともに、政府が「妨害活動」と位置付ける東村高江のヘリパッド建設阻止闘争を展開している住民達の監視や規制を行うことは法的に可能か、また今回の女性強姦・殺人・死体遺棄事件の被害者と県民への背信行為ではないか、道義的に可能であるのかということについて、政府の見解を答えられたい。
十二 政府がいみじくも東村高江のヘリパッド建設阻止闘争を「妨害活動」と位置付けているということは、東村高江の住民や沖縄県民を全て犯罪者として捉えていることに他ならないと思われるが、このことについて政府の見解を答えられたい。

 右質問する。



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