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平成二十八年十一月七日提出
質問第一二一号

今後の経済見通し等に関する再質問主意書

提出者  辻元清美




今後の経済見通し等に関する再質問主意書


 内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十六年一月二十日)によれば、アベノミクスの「三本の矢」の効果が着実に発現した場合の「経済再生ケース」は今後十年(二〇一三〜二〇二二年度)の平均成長率を実質二%程度、名目三%程度と想定しているが、これは全要素生産性(TFP)上昇率が二〇二〇年代初頭にかけていわゆるバブル期に相当する一・八%程度まで上昇するという前提となっている。
 この試算においては、内外経済がより緩やかな成長経路となる場合の「参考ケース」も示されており、今後十年(二〇一三〜二〇二二年度)の平均成長率を実質一%程度、名目二%程度と想定している。この場合、全要素生産性(TFP)上昇率が二〇二〇年代初頭にかけて過去の平均程度の一・〇%程度まで上昇するという前提となっている。
 厚生労働省は、「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十六年一月二十日)等をもとに議論を進め、「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方について(検討結果の報告)」(以下「経済前提委員会報告」、平成二十六年三月十二日)を経て、「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し−平成二十六年財政検証結果」(以下「平成二十六年財政検証結果」、平成二十六年六月三日)を公表した。「経済前提委員会報告」では全要素生産性(TFP)上昇率を「経済成長の原動力」と位置付けており、「平成二十六年財政検証結果」では「平成三十六(二〇二四)年度以降の長期の前提:内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要な全要素生産性(TFP)上昇率を軸とした、幅の広い複数ケース(八ケース)を設定」と記述している。それらが、「経済再生ケースに接続するもの」とあるA〜Eケースと、「参考ケースに接続するもの」とあるF〜Hケースの八ケースである。
 経済再生ケースに接続するもの

 @全要素生産性(TFP)上昇率 A経済成長率
 ・ケースA @一・八% A一・四%
 ・ケースB @一・六% A一・一%
 ・ケースC @一・四% A〇・九%
 ・ケースD @一・二% A〇・六%
 ・ケースE @一・〇% A〇・四%
 参考ケースに接続するもの
 @全要素生産性(TFP)上昇率 A経済成長率
 ・ケースF @一・〇% A〇・一%
 ・ケースG @〇・七% A▲〇・二%
 ・ケースH @〇・五% A▲〇・四%
 「今後の経済見通し等に関する質問主意書」(平成二十八年十月十三日提出)への答弁書で、政府は「全要素生産性上昇率は、算出の方法や用いるデータの改定等により、推計値は異なるものであることから相当の幅をもって見る必要があり、その数値や傾向等について、一概に申し上げることは困難である」とし、同時に近年の全要素生産性(TFP)上昇率は、平成二十五年度〇・七%程度、平成二十六年度〇・四%程度、平成二十七年度〇・三%程度といった数字を明らかにした。これらの数字は「平成二十六年財政検証結果」における平成三十六年度以降の長期の経済前提のケースE、あるいは「平成二十六年財政検証結果」で財政のバランスが取れるまで機械的に給付水準調整を進めるといずれ所得代替率が五十%を割り込むとされているケースF、さらには「平成二十六年財政検証結果」で「機械的に給付水準調整を続けると、国民年金は二〇五五年度に積立金がなくなり完全な賦課方式に移行」とされているケースHをも大幅に下回り、かつ下降傾向が続いていると考えられる。
 以下質問する。
一 全要素生産性(TFP)上昇率は、「経済成長の原動力」であり、「長期的な経済状況を見通す上で重要」という政府の認識で間違いないか。
二 「算出の方法や用いるデータ」を現時点での基準に基づき、平成二十五〜二十七年度の全要素生産性(TFP)上昇率の数値を見た場合、全要素生産性(TFP)上昇率は現時点で上昇傾向にあるか、下降傾向にあるか、政府の認識を示されたい。また、下降傾向にある場合は、その原因はどこにあると考えているのか、政府の見解を示されたい。
三 全要素生産性(TFP)上昇率が二・二%どころか一・〇%にも満たない現在は、「『三本の矢』の効果が着実に発現」していないという認識か。それとも、「『三本の矢』の効果が着実に発現」しているものの、全要素生産性(TFP)上昇率には反映されていないという認識か。いずれの場合においても、原因はどこにあると考えているのか、政府の見解を示されたい。
四 「中長期の経済財政に関する試算」について
 1 全要素生産性(TFP)上昇率が近年の水準(平成二十五年度〇・七%程度、平成二十六年度〇・四%程度、平成二十七年度〇・三%程度)や、それ以下となったケースが試算されていないのはいかなる理由か。
 2 全要素生産性(TFP)上昇率が直近の数値である〇・三%で推移した場合、ゼロ%で推移した場合、マイナス〇・五%で推移した場合の平成三十二年度(二〇二〇年度)の名目GDP、平成三十二年度(二〇二〇年度)の国・地方の基礎的財政収支、平成三十二年度(二〇二〇年度)における公債等残高の対GDP費の試算をそれぞれ示されたい。
 3 「中長期の経済財政に関する試算」(二〇一六年七月二十六日)における「経済再生ケース」では、平成三十二年度(二〇二〇年度)の名目GDPは五百八十二.七兆円とされているなど、「中長期の経済財政に関する試算」の公表の度に平成三十二年度(二〇二〇年度)の名目GDPは下方修正されている。それは、「『三本の矢』の効果が着実に発現」していないからと考えてよいのか、理由を明確にされたい。
五 「平成二十六年財政検証結果」等について
 1 平成三十六年度以降の長期の経済前提について、全要素生産性(TFP)上昇率が近年の水準(平成二十五年度〇・七%程度、平成二十六年度〇・四%程度、平成二十七年度〇・三%程度)や、それ以下となったケースが設定されていないのはいかなる理由か。
 2 平成三十六年度以降、全要素生産性(TFP)上昇率が直近の数値である〇・三%で推移した場合、ゼロ%で推移した場合、マイナス〇・五%で推移した場合の所得代替率の将来見通しの試算をそれぞれ示されたい。
 3 前述のとおり、近年の全要素生産性(TFP)上昇率は、平成二十五年度〇・七%程度、平成二十六年度〇・四%程度、平成二十七年度〇・三%程度と、「平成二十六年財政検証結果」における平成三十六年度以降の長期の経済前提のケースE、あるいは「平成二十六年財政検証結果」で財政のバランスが取れるまで機械的に給付水準調整を進めるといずれ所得代替率が五十%を割り込むとされているケースF、さらには「平成二十六年財政検証結果」で「機械的に給付水準調整を続けると、国民年金は二〇五五年度に積立金がなくなり完全な賦課方式に移行」とされているケースHをも大幅に下回っている。少なくとも平成三十五年度までの足下の経済前提については実態に即して見直した上で直ちに財政検証を実施し直す必要があると考えるが、見解を示されたい。
 4 財政検証について、法律では「政府は、少なくとも五年ごとに、(中略)その現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない」とされているが、「五年」としている理由を示されたい。また、「少なくとも五年ごと」とされているため、「五年ごと」より短い頻度で行ったとしても法律に抵触することはないと考えるが、相違ないか。むしろ経済状況が不透明な中、例えば「三年ごと」に行うことで年金財政への信頼性がより高まると考えられるが、見解を示されたい。
 5 財政検証について、法律で「財政均衡期間」は「財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする」とされているが、すなわち、実際に財政均衡期間の終了時期が来ることは永遠にないという理解でよいか。
 6 厚生労働省年金局が平成二十八年十月十七日に示した「民進党の要求事項(仮に今回の額改定ルールの見直しが平成十七年度から実施されていた場合の試算)について」に関して、「平成二十六年財政検証(ケースE)を基に機械的に計算を行った」とあるが、ケースF・G・Hのそれぞれで機械的に計算を行った結果(合計三パターン)も示されたい。

 右質問する。



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